1954年、鈴木勝丸の紙芝居製作会社である阪神画劇社の専属作家だった水木しげる
に『黄金バット』などで知られる紙芝居作家、加太こうじが戦前東京の紙芝居の人気
タイトルだった伊藤正美の『ハカバキタロー』をアレンジして描くことをアドバイス
する。水木しげるは伊藤正美の許可を取った上、そのタイトルを『墓場の鬼太郎』と
した全く別のオリジナルシリーズとして『蛇人』『空手鬼太郎』『ガロア』『幽霊の
手』の4作品をリリース。
現在それらの作品は散失し見ることは出来ないが、この4タイトルが鬼太郎シリーズ
の始まりとなった。(すでに目玉おやじも登場、鬼太郎の髪型は水木しげるの甥が
そのモデル)
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怪奇秘譚墓場鬼太郎 紙芝居版 古書 価格 126万円
●竹内寛行版 『墓場鬼太郎9』 〈墓場鬼太郎〉〔兎月書房〕
表
横
裏
貸本時代のものなので、傷みはあります。表紙の白い筋は、模様ではなくイタミです。
裏表紙は、なんだか宗教画のようですね。値段は、当時150円でした。
【本の紹介】
水木氏が兎月書房で『墓場鬼太郎』を描いたのは、
<墓場鬼太郎3>まででした。
参考までに <墓場鬼太郎>「墓場の鬼太郎夜話第1話・地獄の片道切符」(1960)
<墓場鬼太郎2>「墓場鬼太郎夜話第2話・下宿屋」(1960)
<墓場鬼太郎3>「墓場鬼太郎第3話・あう時はいつも死人」(1960)
ビミョーに上記のタイトルが違っているのに、気が付かれましたか?文字の打ち間違えではありませんよ。
その後、水木氏と兎月書房が決別し、水木氏は三洋社へ移り<鬼太郎夜話・全4巻>を発表します。
この「夜話(よばなし)」シリーズは、なんと兎月書房で出していたもののダイレクトな続編で、
出版社が代わっても続いたという希なものでした。
さて、そこで考え出されたのが、
竹内版「墓場鬼太郎」
でした。
竹内版は兎月書房で水木氏が出していたものの続きというスタイルを取り、<墓場鬼太郎4>から始り、19巻まで続きました。
今なら著作権問題でもめそうな話ですが、水木氏は出版社への抗議はするものの
「あれは短編集の名前だから問題ない」との返答で、結局は黙認していました。
竹内寛行(たけうちかんこう・本によっては、たけうちひろゆき)氏は、水木氏とは紙芝居仲間で友人でした。
一応水木氏へは「一冊だけだから」というお願いをしていましたが、結局15冊も描いています。
当時は原稿料の半額支払いや未払いなどがあり、水木氏も含め漫画家達の生活は大変だったようです。
この「みんな貧乏だった」ということが、水木氏の黙認へとつながっているのかもしれません。
竹内寛行(本名・竹内八郎)氏は、明治40年2月8日に生まれ(水木氏よりも年上です)、平成7年9月24日に死去しました。
本人が死去してしまった今、竹内版鬼太郎の復刻は、かなり難しいでしょう。まあ、内容的にも難しいのですが・・・。
水木版鬼太郎に比べ、絵柄や話の内容に付いてあまり良い評価を得ていない竹内版鬼太郎ですが、
実際にその中身を見てみましょう。
最初の画像は表紙絵ですが、これは竹内氏の絵ではありません。
「SAKAE」とはいっているところから、「佐野 栄」氏ではないかと思われます。
佐野氏は、水木版墓場鬼太郎でも表紙を描いています。
ちなみに、竹内版鬼太郎の何巻かまでは、「原作・伊藤正美、画・竹内寛行」となっています。
でも実際は、全部竹内氏の作となっています。
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 扉絵・これは竹内氏の絵かと… |
 人物紹介 ちゃんちゃんこの色は、赤と黒になっています。 |
最初の数ページは、カラーとなっています。

目玉の親父の体がすごい…。
あまり目にする機会が少ない竹内版鬼太郎なので、全ページ公開したいところなのですが、
まあ、これくらいまでにしておきます。
この9巻では、妖狐が乗り移った死人がそこの家の人達を食べるというシーンも出てきます。
全体的にそんなにグロなシーンはないです。ただ、登場人物の顔がやけに写実的だったりします(誰かの似顔絵か?)。
「偽鬼太郎」なんて呼ばれる時もある「竹内版鬼太郎」ですが、もう少し大切にしていきたいものですね。
のりっぷは、これからもコツコツと集めたいと思います。
もしこの作品に付いて何か聞きたいことがあったら、メールか掲示板にでも書き込みして下さいね。
【おまけ】
著作権を得ているのか解らないのですが、竹内版をまとめた復刻版みたいなのが出版されました。
http://www.geocities.jp/norin/gegege/books/TAKEUTI-KANKOU/hakabakitarou9.htm