民主党の鳩山由紀夫代表はきょう、日帰りで訪韓し、李明博大統領と会談します。訪韓前には、民主党内の保守系議員から「会談では、永住外国人の地方参政権問題には触れない方がいい」と進言されたと聞きますが、妙なところで頑固な人ですから、果たしてどうなることか。参政権付与に関しては、党内も割れており、実際には難しいのではないかという見方もありますが、政治は勢いがつくと、前例も抵触する法律(憲法も含め)もはじき飛ばして突き進んでしまうことがあるので、私は必ずしも楽観していません。だいたい、護憲を主張する人たちは、「自分の思想・信条、実益上、都合のいい範囲において」憲法を守れと言っているだけのことが多いし。
で、鳩山代表の訪韓か…と感慨にふけって(?)いるうちに、そういえば、確かだいぶ以前に鳩山氏の訪韓をめぐり記事を書いたことがあるなあ、と思い出しました。会社のデータベースで検索してみると、8年前に該当の記事がありました。以下の記事がそれです。
【視点】鳩山民主代表の教科書をめぐる発言 尋常でない政治干渉[ 2001年05月04日
◆党報告は採択への圧力警告 自ら、公正さ逸脱
訪韓中の鳩山由紀夫民主党代表が、扶桑社の中学歴史教科書の内容を「偏狭なナショナリズムに基づいたもの」と決めつけたうえで、市町村教育委員会での同教科書の採択は「望ましくない」と述べたことは、公正であるべき教科書採択への明白な政治的干渉であり、尋常ではないことを指摘したい。
鳩山氏は三日、「偏狭なナショナリズム」とした理由について、産経新聞の取材に対し、(1)「侵略」を「進出」と記述している(2)韓国併合をめぐって「韓国内で併合に賛成する声があった」と記述している-などを例示した。
まず、「侵略」問題については昭和五十七年の教科書検定で中国・華北への「侵略」が「進出」と書き換えられたと報じられたことが誤報だったという基本的な事実を把握しているのだろうか。町村信孝文部科学相(当時)は三月十二日の参院予算委員会で「当初、そういう報道があったが、現実に侵略を進出と書き改めさせた教科書はその時点ではなかったことが後刻判明した」と説明した。
一連の経緯を踏まえて、扶桑社本は、糾弾的・情緒的なニュアンスのある言葉は歴史教育にはふさわしくないと判断し、「侵略」との表現を使っていない。ほかの七社の教科書をみても、「侵略」と「進出」の書き分けなどに明確な基準はない。
日ソ中立条約を破って満州、樺太などに侵攻したソ連の行動を「進撃」(教育出版)、「進出」(東京書籍)と書いた本も、検定をパスしている。
また、日韓併合に関して扶桑社本は「一部に併合を受け入れる声もあったが、民族の独立を失うことへの激しい抵抗がおこり、その後も独立回復の運動が根強く行われた」と歴史事実に基づいてバランスよく記述している。「一部に併合を受け入れる声」という部分が気に入らないから削除すべきだとの意見を付けることは、そうした事実に目を背けることになるのではなかろうか。
教科書採択への政治的干渉については、民主党の「教科書問題検討ワーキングチーム」が四月にまとめた中間報告に「採択権者への圧力や買収となる行為は明らかに採択の公正をおかす」と教科書採択への圧力を警告する一文があることを自ら、踏みにじったといえよう。
チーム内には「なかなかいい教科書だ。こういうのもあっていい」との見方もあっただけに、鳩山氏の突出ぶりは異様ともいえる。国民の税金から政党交付金を受ける公党の党首が、一出版社の営業妨害を公然と口にしたのだから。
また、鳩山氏のこの時期の訪韓に対しても、党内から「(日本の有力者から)都合のいい発言を引き出したい韓国にとって、飛んで火にいる夏の虫だ」(若手)と懸念する声があった。
外遊先で当事国の意向に沿うような発言をしたのは「相手側が日本に干渉する論拠を与え、火に油を注ぐ結果になりかねない」(文相経験者)と危ぐする意見も出ている。野党第一党の党首としての資質を問われる訪韓になったのではないか。(阿比留瑠比)
…当時、私は防衛庁担当でしたが、なぜか教科書問題も担当していました。後になってみれば、そんなの当然だろ、別にどうということないよね、という話が、そのときどきには大問題になり、大きな国際問題にまで発展することがときどきありますね。鳩山氏も韓国で、余計なことを言わなゃいいけどなあ、と切にそう願います。
教科書採択問題に関してはいろいろな記事を書きましたが、ふと連想することがあり、下記の二つの記事もついでに紹介します(鳩山邦夫氏の名前も出てくるところがなんとも…)。当時、ふだんは内ゲバなんかしている左翼が、ことあれば連携して運動する点がある意味、うらやましいと思いながら書いたものです。左派・外国勢力がこれだけ重視する教育は、やはりとても大切だと思う次第です。あのころは超党派の保守系議員の議連活動がけっこうあったものですが、ここ3年ばかり、ばったりと絶えてしまいました。
歪められた教科書採択 家族にも嫌がらせ・脅迫 教育委員現場から報告 [ 2002年04月08日
昨夏の中学歴史教科書採択をめぐる左翼過激派らによる妨害活動。その実態について、自民、民主などの国会議員でつくる「歴史教科書問題を考える超党派の会」(中川昭一会長)の総会で、実際に採択にかかわった当事者三人が生々しい証言を行った。そこからは扶桑社の教科書を推した教育委員とその家族に集中した嫌がらせや脅迫の手口と、教科書問題をきっかけに左翼勢力が連携を深めていった実態が鮮明に浮かび上がってくる。三人の「採択現場からの報告」と国会議員らの反応を二回にわけてリポートする。(2回目はあす掲載予定)
◆左翼勢力連携し圧力 事なかれ主義に傾く
■東京都の調査
都立の養護学校で扶桑社の教科書を採択した東京都の横山洋吉教育長は、昨年七月一日から九月十日にかけて都内で実施した採択の実態に関する調査結果を明らかにした。それによると、都教委に届いたファクスや手紙などによる抗議・要請は九千七百七十四件。そのうち、同一文面を用いた組織的な反対要請が四千九百九十四件にも上り、全体の半数を超えていた。また、都外からの要請も四千八百六十八件と約半数を占め、うち約三千件が教職員組合など団体からのもので、採択反対運動の主体が市民運動というより特定の組織によるものだった実態がうかがえる。
これと同時に、都教委には「教育長はヒトラーだ」「あなたたちのようなバカがいる都教委には失望した」「教育長を罷免したい」など嫌がらせ電話や無言電話が相次いだほか、教育委員らの自宅にまで恐怖心をあおるような脅迫電話や無言電話があったという。
横山教育長は都内の区市町村教委の各事務局あてに「覚えておけ」と記した差出人不明の同一文書が送られてきたことも証言した。
■「人間の鎖」
宮坂委員によると、当日は中核派が入った「杉並の教育を考える親の会」や共産党関係団体、新左翼系の「杉並の教科書を考えるみんなの会」などのメンバーが区役所を囲み、赤旗や中国国旗を振りまわし教育委員らの恐怖を駆り立てた。
六月ごろからは、宮坂委員自身も約百通の手紙を受け取ったが、「九割が悪口雑言」で無言の圧力を感じていた。他の教育委員の自宅には、カミソリの刃が同封された手紙も届いた。有形無形の圧力から、妻も自宅を二週間ほど空けることになり、この間は夕食も外食になったが、外出することに恐怖を感じ、かかってきた電話に一度も出られなかったという。
宮坂委員は「こうした状況で果たして公正な採択ができるかどうか考えてほしい。扶桑社教科書の市販本は六十万部も売れているのに、採択がほとんどないのは不自然だ」と訴えた。
■思想統制
扶桑社の教科書を支持したという理由で、反対派の上原公子・
伊東氏は
また、上原市長が自らを教育委員から外した問題に関しては「検定に合格した教科書を推薦したことが解任の理由となるなら、教育委員は市長のロボットにしかなれない」と市長側の“思想統制”を痛烈に批判した。
危機感ない文科省 歪められた教科書採択 制度など抜本見直しなく [ 2002年04月09日
昨夏の中学歴史教科書の採択をめぐり、左翼勢力などから組織的な“圧力”を受けた現場の恐怖について、教育委員ら三人の当事者が証言した「歴史教科書問題を考える超党派の会」(中川昭一会長)の総会。三人の切実な訴えを聴いた国会議員からは、採択現場の異常な実態への驚きとともに、政府の対応への疑問が呈されたが、同席した文部科学省側には事態の深刻さに対する認識は薄く、今後の公正な教科書採択の確保に不安を残した。
■続出した不満
「証言にあった通りで、政府が毅然(きぜん)たる態度をとれなかったことが内政干渉を招いた最大の原因だ」(自民党の鳩山邦夫氏)「三人の発言には胸が痛くなった。検定した以上、公平に採択されるように努力しなかったら検定の意義はない」(同党の中川義雄氏)
三人の証言後の自由討議では、議員から教科書検定に介入してきた中国、韓国に対する政府の姿勢や、正常な採択実施を確保できなかった文科省への不満が相次いだ。
特に、文科省の玉井日出夫・初等中等教育局審議官が「採択は自治事務」と自分の“管轄外”と言わんばかりの発言をしたことに「責任逃れだ」と批判が集中。民主党の松原仁氏らが「脅迫の中で採択が行われたのは事実だ。自治事務だと見逃していいのか」と追及したが、玉井審議官は「(文科省の)教科用図書検定調査審議会で見直しの審議を始めている」と述べるにとどまった。
■公安調査庁は
総会には、公安調査庁の佐藤洋介調査第一部総括調査官も出席、教科書問題における扶桑社教科書の採択妨害活動について「中核派は活発に動いた。革労協解放派というセクト、ゲリラ闘争をやっている革命軍についても動静を注視している」と述べ、左翼過激派が重要な役割を果たしていたことを強調した。
教科書採択と過激派をめぐっては、先月の「超党派の会」総会でも、同庁の景山和彦調査第一部管理官が「過激派は、扶桑社本の採択阻止闘争を通じ、従来の枠組みを超えた共闘関係、反戦活動の陣形ができつつあると評価している」「過激派と共産党は教科書問題の一点で連携している」などと分析。教科書をきっかけに左翼勢力が新たな連携を模索していることを明らかにしている。
こうした証言を受け、「向こうはけんかのプロ。地域の教育委員は脅されたら勝ち目はない」(自民党の米田建三氏)「左翼からの脅かしを防いで採択をきちんとするために、警察も公安調査庁も刑法を適用するとか、やるべきことをやらなければならない」(民主党の小泉俊明氏)といった意見が出たほか、文科省と警察当局の連携が必要との主張もあった。
■繰り返す恐れ
「地方の教育委員の中には体を張ってやっている人が何人もいるが、文科省からは危機感がまるで感じられない。これでは、また同じことの繰り返しになる」(小泉氏)
出席議員らは、「異常な空気の中で採択現場は大変な苦労をされた」(自民党の平沢勝栄氏)「もっと現場のことを知らなくてはならないことを痛感した」(中川会長)という感想を漏らすとともに、現状改善のための施策が何もとられていない点に懸念を示した。
都立養護学校で扶桑社の歴史教科書を採択した東京都の横山洋吉教育長は、自由討議の中で「あのような世間の空気で採択しにくかったのは否定できない」と振り返ったが、その後も採択の制度や仕組みで抜本的見直しは行われていない。
今回の総会について中川会長は「現場がこれほどひどいとは、ナマの声を聴くまで分からなかった。一人一人の子供や親にとって非常に重要な問題であり、国民にももっと知ってもらいたい。健全な教育行政、教育現場が構築されるよう、政府が一丸となって取り組まないといけない」と話している。
…余談ですが、冒頭の署名記事に関しては、ちょっといイヤな思い出もあります。夜、防衛庁の記者クラブで仕事をしていると、本社の受け付けから電話がかかってきて、「署名記事を見た読者からです」と電話をつながれました。
まあ、それはいいのですが、これが産経の読者でも何でもなく、たまたまこの記事を目にした鳩山由紀夫信者の女性からの「抗議」だったのです。まあ、デスクの手が入っているとはいえ、署名記事である以上、抗議なり問い合わせなりがくるのは別にいいのですが、その内容が意味不明でまいりました。「鳩山さんは絶対に正しい。鳩山さんを批判するな」と言い募られ、「鳩山さんの言うことと、広辞苑に書かれていることは絶対だ」などと訳の分からない論拠で抗議されても、話は噛み合いません。しばらく耳を傾けた後、「お話は承りました」と電話を切っても、何度も何度も電話をかけてくるので仕事になりません。周囲の人にも迷惑をかけるので、しまいには電話機のモジュラージャックを引き抜くしかありませんでした。
だからどうしたと言われても困りますが、まあそんなことがあったというだけのお話です。脈絡もなく、結論もないエントリでごめんなさい。
by 花うさぎ
民主・鳩山代表の訪韓で連想し…