演歌歌手の松原のぶえ(47)が4日、都内の病院で生体腎臓移植手術からの退院会見を開き、順調な回復ぶりをアピールした。手術は5時間10分に及び、所属事務所社長で実弟の廣原伸輝氏(45)の左腎臓を移植。入院中には、かつて公私ともに親しかった作曲家の三木たかしさん(享年64)ら身近な人々も亡くし「一緒に(あの世に)連れていかれるかとも思った」と、死を意識した当時の心境を涙ながらに明かした。
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ポロポロとこぼれ落ちる涙をぬぐい、松原は苦笑いした。三木たかしさんが亡くなったのは、5月14日の手術日の3日前。また、入院中には母方のおば、そしてペットの犬が2匹、次々と他界したという。「(入院中に)一気に大切なものが亡くなってしまった。一緒に連れていかれるかと思った」。死を覚悟した当時を思い、安どの涙が止まらなかった。
デビュー前から抱えていた腎臓病は、胸の内に隠して活動してきた。「歌の世界が好きで(芸能界に)入った。弱いところを見せて同情されたくなかった」と説明。所属レコード会社にまで病気を隠し、入院直前の4月下旬まで新曲「夢の星屑(かけら)」(9月2日発売)のレコーディングを行っていた。
実は1年前から透析なしでは生活できなくなり、孤独な闘病が始まっていた。顔は土色になり、足を伸ばせないため正座で寝たこともある。今年に入ってからは、1日おきに通院。「尿毒が頭に回って死ぬ一歩手前だった。ここ1年は人間をやってるのも嫌だった」という。
弟の左腎臓を松原の右腎臓に移植する手術は5時間にも及んだが、術後の経過は良好。透析の煩わしさからも解放され「トイレの仕方を忘れてました」と笑う顔は以前よりも白くなり、眼球の黄ばみも消えている。
7日には、大阪・堺市で開催されるカラオケ大会にゲスト出演して早くも仕事復帰。「お客さんの前に立てるのがうれしい。第2の人生の始まりです」。号泣から一転、再スタートに笑顔を振りまいた。