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【栃木】

県警、関係者『無罪判決ではない』

2009年6月5日

 威信をかけて菅家さんを逮捕したはずの県警。釈放されたことで当時の捜査のあり方にも厳しい目が向けられることになり、幹部は四日、不測の事態の対応に追われた。

 宇都宮地検から刑の執行停止の一報が入ったのは午前十時二十分ごろ。県警は「釈放であり、無罪判決が出たわけではない」とテレビカメラの前での会見を拒否。午後二時、高田健治刑事部長の「執行停止は重く受け止める」というコメントを白井孝雄刑事総務課長が読み上げた。

 白井課長は「事件当時のDNA型鑑定は、当時の方法にのっとり適正に行われた」と釈明。一方、女児の下着に付いた体液と菅家さんのDNA型が不一致だった再鑑定の結果を受け、県警は「下着に触れた第三者のDNAを抽出した可能性がある」として直前まで元捜査員らのDNA型鑑定まで進めていた。

 誤認逮捕や自白強要の可能性、真犯人の再捜査についても白井課長は「審理を見守りたい。とにかく重く受け止めている」と繰り返すだけで、厳しい表情を崩さなかった。

    ◇

 菅家さんを逮捕した県警の元捜査幹部は「高検の判断が出たことは、受け止めるよりほかに仕方ない」と苦渋の表情。だが「再審開始イコール無罪ではない」とも強調した。

 菅家さんが自白したとされる十八年前の夜。足利署捜査本部の取調室で捜査員の手を握り、泣きながら「やった」と認める菅家さんの姿と、大勢の市民が署を取り囲んだ様子が目に焼きついている。

 「県民の期待のもと、全力の捜査だった。間違いはない。DNA型鑑定以外にも、自白だって、状況証拠だって崩れていないじゃないか。動じずに裁判の行方を見守る」と、自らに言い聞かせるようにつぶやいた。

 

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