倭建命は蝦夷征伐のために江曽島に来たか?を検証するために、日本最古の歴史書「古事記」一読したが、
1900年前の神話の世界のこととて、確認はできなかった。引き続き調査研究するこ
ととしました。
●古事記を読む。
高校生時代に古事記を読んで以来、実に60年ぶりに宇都宮市立図書館で借りた2冊の古事記の書籍を一読した。
その書籍は、
� ヾ位� 日本の古典 古事記 荻原浅男 校注・訳
�◆仝�語訳 古事記 [完全版] 訳・注釈 ―三浦佑之―
なぜ読もうとしたか、以前投稿した宇都宮市江曽島町にある「雷電山遺跡の由来」
の石碑に記載された内容は、
「約1900年前に大和朝廷に滅ぼされた蝦夷の酋長「武(タケル)」の館である。武を
征伐するために第12代景行天皇は、我が皇子である大和男倶那尊を総大将として派
遣して滅ぼした。一族郎党を処刑して戦死者とともに数百人の遺体を館北中央に埋
葬した。そこに塚を立て、雷電様を祭り、神社として旧の10月19日に祭りを行い供
養をする習わしが今日も引き継がれている。
というもので、第12代景行天皇の皇子は大和建命(ヤマトタケルノミコト)である
ことから、大和建命の下野国に東征来訪した事実を確認しようとしました。
●古事記の成立とその「序」
「古事記の序」には、臣下 安万呂(やすまろ)が申します。に始まり、皇帝陛下
(元名天皇)は、旧辞が誤り違っているのを惜しみ、先紀が誤り乱れているのを正そ
うとして、和銅4年(711)9月18日、臣下、安万呂に詔(みことの)りして、稗田阿礼
が誦めるところの、飛鳥の清原の大宮に座した天皇の勅語の旧辞を撰び録して献上
せよ。
と仰せられたので、すべての言葉を生かしながら書き連ねた。大和の音と唐の訓
とを交えて記録した。
内容は、天地の開闢(かいびゃく)から始めて、小治田(おわりだ)の御世(推古天
皇)で終わっている。そこで、天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)から日子波限
建鵜草葺不合命(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)までを上巻とし、神倭
伊波礼毘古天皇から品陀の御世(応神天皇)までを中巻とし、大雀皇帝から小治田の
大宮までを下巻とした。
併せて三巻を筆録し、謹んで献上いたします。
臣、安万呂、誠に惶(かしこ)まり、誠に恐れつつ、頓首々々
和銅5年(712)正月28日
正五位上勲五等 太朝臣(おおのあそみ) 安万呂
※古事記には、上巻の冒頭に「序」が置かれている。その文体は本文とは違
い、純粋な漢文体で書かれた
上表文の形式をとっている。
※編纂の命令を受けてから完成してから元明天皇に献上した期間はおよそ4ヵ
月とあわただしい作業であつたと推察できる。
※漢字の日本列島への伝来は弥生時代にさかのぼるであろうし、遅くとも五世
紀後半には、単に呪的な模様や符号としてではなく、まとまりをもつた意思
や出来事を記録する手段として用いられていたということは、埼玉県行田市
の稲荷山古墳から出土した鉄剣に彫られた文字列によってうかがい知ること
が出来る。伝来した文字の浸透は、古代ヤマト王権とそれに隷属する豪族層
たちの一部に限られていたはずだが、七世紀初頭には歴史を記述する試みが
開始される。そして、およそ百年を経た712年には古事記が、720年(養老4)
年には日本書紀が成立した。また、713年には地方の国々に対して地誌(いわ
ゆる風土記)の編纂も命じられている。(口語訳 古事記 [完全版]368p 二
歴史書への模索 1求められる歴史から抜粋)
古事記は分からないところの多い書物です。八世紀初頭に書かれた現存最
古の歴史書でありながら、九世紀あるいは十世紀に書かれた偽書だと主張す
る人はあとを絶ちません。成立当初からずっと、信頼できる歴史書は日本書
紀(日本紀)だったのである。と言われています。
現在最古の写本が、成立して660年も経たのちの、1371、2年に書写された
新福寺本古事記しかない。
この本は名古屋市中区大須の新福寺(真言宗)の宝生院に蔵された本であ
る。これは、同寺第二世の信瑜の命によって、学僧の賢瑜(けんゆ)が南北朝
時代の広安4年(1371)に上・中巻を、翌5年に下巻わそれぞれ書き写したので
ある。
この本は現存最古の写本で、しかも善本であることから国宝に指定されて
いる。今日の活字印刷本の『古事記』は、ほとんどがこの本を定本としてい
る。
◎本居宣長(もとおりのりなが)(1730-18901)は、1764年に起稿し、30年以上の歳
月を経た1798年に全44巻から成る注釈書『古事記伝』を完成させたのである。
同書の刊行は1790年に始まり、宣長没後の1822年に完結するという長大な時間
と莫大な労力とを要した事業であった。その結果。近代を迎えるとともに、古
事記は第一級の古典として注目されるようになったのである。・・・
※訳者によると、今後の古事記研究は、本居宣長の発見した古事記が果たして
真実かという点に対する検証を経ることなしに先に進まない。
という主張に首肯できる。
●倭建命の熊曾征伐
景行天皇は小碓命(おうすのみこと)に、「西の方に熊曾建(くまそたける)が二
人いる。これは朝廷に服従しない無礼な者どもである。だからその者どもを平定
しなさい」と仰せになり、小碓命をお遣わしになった。
そして、熊曾建を征伐したとき、「大和国では自分たち二人にまさった勇猛な
男子がいらした。私があなたに名前を差し上げましょう。今後は倭建御子とほめ
たたえて申しましょう」と申し上げた。それから熊曾建を殺した。その時からお
名前をほめたたえて倭建命というのである。
前記の碑文とほとんど同じ内容であるが、名前の「建」が「武」となっている
点が異なっているかと思う。
●倭建命の東国征伐
景行天皇は、また重ねて倭建命に、「東方の十二国の荒れすさぶ神、また服従
しない者どもを征伐平定せよ」と命じた。
※「十二道」は十二国の義で、『古事記伝』に、伊勢・尾張・三河・遠江・駿
河・甲斐・伊豆・相模・武蔵・総・常陸・陸奥かという。
倭建命は、伊勢の大神宮に参拝してから、叔母の倭比売命(やまとひめのみ
こと)から神宝の草薙剣と御嚢をお授けになった。
古事記に記載されている征伐の経路はは、尾張国・相模国・上総・甲斐・信
濃国・当芸(岐阜県養老郡辺りから)・尾津・三重・杖衝坂・能煩野(のばの)に
お着きになった。故郷をおしのびになり、国思歌をお歌いになり、このとき病
気が急変して薨去された。という記載になっている。
この内容からでは、下毛野に下向した記載がなく不明である。
※●今後、日本書紀をはじめその他の歴史書についても調査研究する必要を感
じます。
※●宇都宮市史についても調査研究する必要を感じます。
