「釣りバカが終わるというのは、私にとって歴史的な事件です」
1988年、「男はつらいよ」の併映作品として誕生した「釣りバカ日誌」。三國扮するスーさんと、西田敏行(61)のハマちゃんコンビが繰り広げるコメディーは、21本製作され、22年にわたり愛されてきた。
根底には、その時代時代の社会、家庭、会社組織への問題提起もあり、三國は「今回は過去最高に、社会のひずみに切り込んでいる。影響力のある偉大なる映画です」と同作への思いを切々と語ったが、突然、「実は、心筋梗塞になりました」と口にした。
それは松竹の上層部、西田、スタッフの一部だけが知るトップシークレットだった。高齢に加え、病を抱えながらファイナルに立ち向かう三國を、静かに見守ってきた。2003年3月、自身も急性心筋梗塞で倒れ、九死に一生を得た西田も「僕の倒れ方と違い、スマート。心筋梗塞仲間です」などとわざと軽口をたたき、三國を気遣った。
松竹によると、三國は「乗ると動悸がする」という大の飛行機嫌い。北海道行きに備え、4月24日、都内の病院で検査を受けたところ、心電図に異常が見つかり、心筋梗塞の疑いと診断された。同28日にカテーテル手術を受け、翌29日の検査の結果、担当医がロケ参加を了承したという。
術後わずか5日後の5月3日、撮影開始。中標津町入りした同31日の直前にも検査を受けたが問題はなく、現在も、自覚症状や体調の異変などはない。
「涙をのんで飛行機に乗ってきました」と笑いを誘ったスーさんと「海外の映画祭には必ず行くのにね」と突っ込んだハマちゃん。平成コメディー映画のゴールデンコンビは、“歴史的事件”をいとおしみながら、日々、撮影に臨んでいる。