おくすり最前線

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〔改正薬事法の背景と経緯〕

 
   ●販売制度のルール化は、「販売者責任制度」の導入となる

 

次に、この薬事法改正によって何が変わるのか述べましょう。

まず、販売業者についてこれまで医薬品の販売についてのルールはありませんでしたから、一般用医薬品の事故は「行政の許認可責任」「メーカーの製造物責任」「消費者の自己責任」の三極責任から成っていました。

つまり、何か問題があれば、店舗はその受付窓口は行いますが、全てメーカーにまわすことになっていました。メーカーは、その製造物責任(PL法)として、訴訟から示談まで対応してきました。

医薬品の事故、または副作用被害が広範囲・大多数に至った場合は、その方々が集まり訴訟団を結成し、国を相手どって訴訟し国の許認可責任を求めます

そして、多くの軽度の副作用および有害事象は自己責任として、理由もわからず消費者が我慢してきたのです。どこにも相談できず、いわば泣き寝入り状態でした。

 

しかし、この改正薬事法によって販売のルールが定められ、今後は販売者の「販売責任」が大きく問われることになります。大衆薬の陳列方法や、医薬品ごとの情報提供者および情報提供内容、専門家の常駐体制の維持など、多くの販売業者に販売ルールを義務づけたのがこの改正薬事法なのです。

そして、このルールを守らなかった事業者には、行政処分として営業停止や許可取り消しが命ぜられるばかりでなく、もし事故が起こった場合には刑事責任民事責任が問われることになります。

生活者・使用者が何かあったらすぐ購入した販売店に相談し、早急な対応がとられなければならないことを販売店に義務付けた制度なのです。

 
 
 
          ~私たちは知っています。
              生活者や消費者を守ることを規制強化だとはいわないことを。
       正義の味方のように規制緩和と騒ぐ人ほど我田引水な人が多いことを~
 
 
  ●販売ルールの導入で、大衆薬の可能性が大きく高まります
 

こうして、いわば野放し状態であったわが国の大衆薬販売(提供)制度に一定のルールが設けられ、

 

1)消費者・生活者の安全の確保及び担保

2)セルフメディケーションに必要な医薬品供給体制の確立

3)国民の健康の維持及び生活習慣病の減少

4)高騰する医療費の抑制及び医療制度の維持

 

を実現することが可能となったのです。

 

初めこそ利用者も、事業者も少々のキツさを感じるかもしれませんが、やがて、この改正薬事法は世界で最も誇れる制度として、全ての国民が体感することになると思います。