〔改正薬事法の背景と経緯〕
●すべての医薬品は、効果とリスクを併せ持っているのです
どんな医薬品にも、期待した効果(ベネフィット)と期待しない効果(リスク)とが存在します。
このリスクの中身は副作用と有害事象とに分かれます。副作用の中には期待しなかった効果ではあるが、有用な効果が得られることが稀にあります。(血圧の薬で、頭髪が生えたとかの例)
ここで問題になるのが、有害事象をもたらすリスクです。このリスクを上手に管理し、期待する効果を手に入れることが大切です。
リスクを上手に管理するためには、
1)自分の体質や症状に合っているか。(適合確認)
2)用法・容量は適正か。(適正使用)
3)この医薬品には、どんな有害リスクがあるのか。(リスク予知)
4)有害リスクと思われた場合、どう対処するか。(リスク対応)
などの情報をあらかじめ知ってから、正しく服用することが大切なのです。
●世界先進各国では、高騰する医療費を、大衆薬の活用で抑制しています
その一方、高齢化の進む世界先進国においては、医療費の高騰の主要因となっている生活習慣病や慢性疾患に対する対応が、医療政策の中心となってきています。特に欧米や豪州などの先進国は、その一つの活路として、大衆薬(一般用医薬品)の活用による生活習慣病や慢性疾患の予防および未病改善(血圧や血糖値が高いが、未だ病気(合併症)に至っていない状態で改善すること)に力を注ぎ、大きな成果をあげています。
米国や英国では、この生活習慣病や慢性疾患の予防・未病改善に大衆薬を用いて改善してしまおうとする、いわゆるセルフメディケーションの推進を国策として打ち出し、リスクの高い医薬品を安全にかつ効果的に使用するための様々な規制改革や販売制度改正を行っています。
●今後「医療制度の崩壊」か「高負担制度の導入」いずれかの選択となる
わが国の医療費は、現在約34兆円になっており、厚生労働省によると2025年の医療費は69兆円になると予測されています。
現状から言えば2025年を待たずとも、世界に誇ってきた国民皆保険の破綻と医療制度の崩壊は、時間の問題だと言われています。医療費を使う高齢世代の増加に対し、医療費をさほど使わないがその大半を負担する、若い世代にこのことをあまり知らせると、健康保険の加入および負担を拒否する方が増え、医療制度の崩壊がさらに早まると言われています。
●今20歳の方が37歳頃、消費税20パーセント時代がくるかもしれない?
昨年の11月4日に、内閣府より「政府社会保障制度国民会議」が発表され、新聞やテレビのトップで報じられました。
これによると、このままでいけば現在の社会保障(医療および年金)を維持するのには、2025年には現保険制度でいけば消費税率はさらに3.3%~3.5%、または保障費アップ分を税で全てまかなうと、さらに消費税率は9~13%アップになることになります。
今年20歳を迎えた方々が結婚をして子育てにお金がかかる37歳頃、消費税率20%時代がくるかもしれないのです。
この事は、他人事ではいられません。このままいけばこれらのことは、明日の私たちや、私たちの子供の世代に確実にやってくる現実なのです。