細田幹事長記者会見(役員連絡会後)
平成21年6月2日(火)
於:院内平河クラブ会見場
(役員連絡会の内容説明)
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細田博之幹事長発言
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昨日の役員会における麻生総裁の発言を紹介した。
「補正予算の成立にご尽力していただき感謝する。まだ補正予算関連法案、海賊行為対処法案、国民年金法改正法案や、その他、臓器移植法案、憲法審査会設置、政治資金問題等々が残っている。それらをしっかりと成立させて、かつ景気対策も非常に大事な局面なので、会期を7月28日(火)までの55日間延長し、しっかりと対応したい」との発言があった。
(細田幹事長から)「政府与党で一致結束して、残る重要法案の成立に努力していきたい」
「党首討論でも十分な主要課題に対しての議論が行われていない。すなわち、外交防衛問題をどのように考えるのか。海賊対策にしても、アフガンにしても、北朝鮮にしても、どのように民主党が考えているか。今の政府与党の考え方は、全部政策として示している訳ですから、それをもっと戦わせていかなければいけない。年金・医療・介護等の社会保障とその財源問題についても、その通りであって、3つの年金合体論とか税金で基礎年金を全部賄う案は思いつき的に出てきているが、それを政権を取ったらこうしますというところまでは到底固めていない。政権を取ってから考えようなんてことばかり言って、議論しないことは適当ではない。医療についても、前の老人保健制度に戻ると、多く自治体が破たんしてしまうし、75%の自治体で保険料が上がるので、とりあえず今、出しているものはどのように財源措置も含めてやっていくのかをしっかりしていかなくてはいけない。基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に上げることにも反対している。政治資金問題は言わずもがなで、西松建設の問題について、違法裏金はしっかり対応していく必要がある。天下り機関への支出や無駄使いだとか言っているが、これは徹底的に議論する必要があると思う。我々は景気対策上必要なものを補正予算として成立させている」と発言した。
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公開質問状について
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本日の役員連絡会、副幹事長会議でも了承されたが、先般の党首討論で鳩山民主党代表が提示した問題については、公開質問状を出すということになった。今日、この会見に並行して民主党に届けています。それは例によって、民主党の長妻昭衆議院議員やその他の人が衆議院の調査局に約860ページに渡る調査、報告書を出させて、各団体・企業等への役所OBの存在だとか、それぞれの予算の内容だとか、随意契約、入札の問題とか、これを取り上げています。これだけの膨大な作業をさせること自体も行政上大問題だと思いますが、それだけではなくて4,500の天下り団体に、25,000人の天下った人がいて、その予算が12兆1,000億円流されていると。その半分が随意契約だといっているのですが、いろいろな意味で誤りがあったということです。出身者がいろいろなところにいるということは事実ですが、その中で予算に関連するところがごく一部出るということも分かりますし、この予算は実際に見てみると、例えば財政融資金貸付が4兆円超あると。これは書いてありますが、後ほど見てほしいのですが、例えば国民生活金融公庫、平成19年度予算ベースですから合併前ということです。国民生活金融公庫に出している資金繰り、融資資金1兆8,000億円が入っています。これが無駄だと言っていますが、これは企業に流れるお金ですから、これは必要だとして政府が出しているわけです。中小企業金融公庫も6,000億円、国際協力銀行も発展途上国支援に4,000億円、日本政策投資銀行の資金繰りその他で4,000億円とか、あるいは奨学金にあたる日本学生支援機構へ6,000億円、農林漁業金融公庫に2,000億円というものをその資金が必要だから出しているだけであって、これを二重のミスがあるのは、これは天下りしているから出しているのであって、従来もこれがなくなれば必要のないお金であるかのように言っているわけです。12兆円はもう節約、ゼロになるんですというような感じで言っていますが、大半はこのお金というのはそういう目的で使われるものに準ずる政府機関で仕事をさせているわけですから、そこで経由して個別に融資をしたり、外国へ出したり、あるいは奨学金として出したりしているので、そのことを飛び越えていっているということです。それからこういうお金は、相手が何とか金融公庫ですから、全部、公開入札の範囲でなくて、随意契約の範囲だと言って額をまとめてしまっています。つまり随意契約か入札かというのは、公共事業のように誰でも良いから応募してくださいと。その中で一番安いものを選ぼうという特別なものだけ、入札すべきなのであって、零細企業の融資というのは、国民生活金融公庫に変わる組織がある訳ではありません。これは随意契約の範疇ではありません。そもそも政府機関として執行するためのお金ですから、これを随意契約だという二重の誤りです。
それから私学助成とか国立大学の運営費などについてもそうですし、独立行政法人という場合も元々の住宅金融公庫の住宅金融支援機構に対する3,000億円とか、宇宙研究開発機構の2,000億円、新エネルギー産業機構の2,000億円、国際協力機構の2,000億円、日本原子力研究開発機構の2,000億円というように、準ずる政府機関であったもの。今は独立行政法人になっても公の仕事をさせなければならない機関に、国の予算を供給しているわけなので、そういう点でまったく指摘が、指摘の姿勢がよろしくないということです。つまりあらゆるお金に補正予算でもそうですが、間接的にどこかの団体を経由して出すということが、悪いことであることであるかのように言っていますが、政府というのは本省と部局しかないのですから、それが予算の目的に従って、ひとつひとつ配分したり、そういうことは無理です。したがって、政府機関や独立行政法人にお金を出して、このような目的で使うんですと、交付金であれば、法律に基づいてしっかりとした基準で出しましょうと。もちろん違法に使えば、会計検査も入るし、そういうことで配分して、言わば手足として使っている行政の仕組みですから、手足として使うことはいけないんだと言ったら、本省で全部まかなわないといけないし、それを無駄使いのように言っては、何をかいわんやです。使途がどうかということをより詳しく精査しているのはもちろん良いと思いますが、十把一絡げにして12兆円もあります。無駄ですと。しかも法人が決まっているのは随契ですなんて言って、そういう取り上げられ方をすること自体が非常に国民の皆さまに対して誤解を与えるのみであって、行政不信を与えるのみの言い方なんです。それではどうするんですかと。それで政権交代、政権交代と言っていますが、それではどういう手法でするのかと反論したいわけです。もちろん膨大な人間が、いわば政府の仕事であると代行するという意味で、元公務員が働いていることは事実です。これについては今後、新しい天下り等は規制するということは全部決めていますので、ただ今までの膨大なそういう考え方での機構運営というのは、考え方は変えないといけないというのは合意していますから、その点はどんどん人が変わっていき、その問題はその問題でまた別の問題であると。ただし使途について無駄使いであると言うのは早計であるし、これが随意契約であると言うことは早計で、これは誤りです。
そこで公開質問状で、今お配りしたような内容を答えてくれと。そうしないとまた皆さん方も分からないからこの膨大なものを分析する力がなかなかないですから、そうかと、民主党が言っているからその通りなんだろうと報道して、翌朝の早朝からやっているテレビ番組で12兆6,000億円の無駄はこれをゼロにしましょうなんていうことをおっしゃって、そうですそうですということになってしまう。それを狙っていると思いますが、実にこの客観性のない、しかも不適切な指摘であると考えています。もちろん合理化を進めることは、いつの世でも必要ですから、その問題と12兆円の問題は別問題であるということです。
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改めて会期延長の理由と延長国会の運営方針について、幹事長のお考えをお聞かせください。
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55日間の延長ということですが、1月5日から始めましたので、普通、通常国会は7月、8月まで開いていますが、会期が150日間ということで、明日までになってしまった訳です。まだまだ、法案、条約など残っております。できれば大幅に延長して、その全てを上げたいという気持ちもありますが、中庸を取って、野党の対応にも期待して、国のため、景気対策のために修正するものは修正し、早く成立を期するための最適な期間が55日であると考えた訳です。
野党の対応によっては、なかなか成立が難しい法案が出てくる可能性はあります。何でも60日と言っている訳ではないですから。明日が会期末ですから、今日を数えても57日しかありません。今日、衆議院を通過した法律でも60日は担保されない訳ですから、野党をある程度、尊重ではないけれど、信頼して、適度な期間にしたということでしょう。
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不勉強な状態でテレビ番組に出演することについて、与党内から批判の声がありますが、このような現状について、どのようにお考えですか。
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準備不足の人がまま見受けられる。つまり、何が野党側から問題になるか、テレビ番組において何が問題になるということは、大体わかっている訳ですから。ちゃんとこちらにはこちらの、政府与党の理屈、経緯があって、そして正しく対応しているものがたくさんある訳ですから。それが何か指摘をされた時、十分答えずに、言われっ放しで終わるような人もいますので、それは国民の皆さんのためにもならないと。やられて、どうもあちらの方が正しいようだなという印象を持たれてはいけないので、攻めてくる槍に対しては、ちゃんとした鎧を着て、まず跳ね返す。そして、こちらも槍を持って、槍と言うと例えが良いかわかりませんが、相手の主張の欠点や誤解を突く。これが政治の討論です。その討論をしない場合が見られるので、社会保障でも安全保障でも全部論点が分かっている訳ですから、それをわが党の、あるいは政府与党の立場として説明して、なるほどそうかというようなことを言い切ることが大事だということです。
例えば、年金制度が壊れますよというのが一番ひどい指摘です。壊れはしないのです。しかし、もう年金は壊れるから、保険料を払っても仕方ありませんよと言うことが、年金が壊れる一番の元ですから。あらゆる計算もして、それは全部折り込み済みなのに、そう言われるということで、先日出演したテレビ番組などでは、激しいやり取りをしたのですが、そこを言わないと、国民の皆さんはわからないのではないですか。年金制度は壊れてしまうんだと思われたら、保険料を払う人がどんどん減るということもあり得ます。それを放置しては駄目なのです。年金制度は、手取りが減るようなことはありませんし、それは大丈夫だということを言わないといけない。
ちなみに年金報道も正しくありません。ちゃんと一人暮らしで単身の方がずっと払っていくと、5割を切るなんてことはありません。共働きで、所得の関係で足せば相当な年金が確保できるような人が、定年までの所得と比べると、それは2人分ですから。2人分を2人で引退後を暮らす水準が5割を切ることが計算上元々あるし、そこが悪化したということではありません。それを正しく把握していない報道もありましたし、そこを突いて、言ってきたことが狂っていますよと、どんどん手取りが減りますということを言って、そうかとあなた方が言ってきた年金制度は崩壊する可能性がついに出てきたんですとか、少子化のためにおかしくなっているんですとか、それは事実ではありません。ある大学の先生、権威がちゃんと分析して、言っていましたが、そういう年金制度の信頼というのは、若い人の今後のためにきちっと取っている訳ですから、それを不安に陥れることは政権を取ろうとする人がやることではありません。ただ政権を取り易いから攻めるけれども、そこで虚偽のことを言ってはいけません。それから、不安をもたらして、信頼を完全に失わせることは、使ってはならない武器を使っていることであることははっきりしている訳です。年金制度を否定して、公的年金を止めましょうということと等しいですから。それは非常に問題があると思います。
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党の政権公約作成について、以前幹事長は補正予算成立後と発言されていましたが。
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もうぼちぼち、だんだん機が熟してきたと思っています。それには、先ほど言った野党に対する反論も含めて、検討を始めないとならないと思います。もちろん政策的にはずっとやって来ている訳です。取りまとめというのは選挙間近で良いと思いますが、考え方の整理は始めるべきでしょう。