ディスクドライブなどの可動パーツを非搭載とすることで、音質に与える悪影響を完全に排除でき、より高音質な音楽再生を楽しめるのがネットワークミュージックプレーヤーのメリット。ここでは高音質配信を楽しむためのオススメモデルをご紹介しよう。

 
ネットワークミュージックプレーヤー

LINN
KLIMAX DS
¥2,940,000(税込)

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【プロフィール】
2007年に発売された、LANネットワークに接続されたPCやNAS内の音楽ファイルの再生に特化したLINNのネットワークミュージックプレーヤー。DSは“Digital Source”の略。最高192kHz/24bitまでのFLAC(Free Lossless Audio Codec)/WAV/AIFF/MP3のほか、Appleロスレス形式のオーディオファイル再生に対応している。楽曲の再生には、Windows対応の付属PC用ソフト「Linn Gui」を採用。HDD内の音楽ファイルをリスト表示し、付属のリモコンから選曲して再生することができる。本体背面にはイーサネット端子、ステレオ音声出力(XLR/RCA)のほか、RS232端子を搭載している。本機をトップエンドとして、「AKURATE DS」のほか、デジタル出力端子を搭載する「MAJIK DS」、本体内にアナログ方式のステレオアンプを内蔵した「SNEAKY MUSIC DS」がシリーズにラインナップしている。

 

【山之内氏のコメント】
既存DSシリーズについては、今回自宅試聴室へのKLIMAX DS導入レポート等でも伝えているので詳細はこちらをご覧いただきたい。DSシリーズについては“次のステップ”に早くも期待したいところ。これまでのラインナップはある程度オーディオの知識、PCの知識に長けている人を対象にしてきた製品だと思うが、これからはその辺りにあまり詳しくないユーザーでも使える製品を出してくると期待している。ソフトウェアを含めた使い勝手の向上も課題のひとつとなるはず。また既存ラインナップのリニューアルも楽しみだ。

SONNETEER
Morpheus
¥441,000(税込)

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【プロフィール】
英FTM Marketing社のブランド“SONNETEER”から発表されたネットワークミュージックプレーヤー。ネットワーク接続はGigabit LANに対応し、大容量のデータを高速に扱えるほか、本体802.11b対応の無線LAN機能も内蔵する。再生可能なファイルフォーマットがWAV/FLAC/AIFF/WMA/MP3/AAC/AU/RMと豊富なほか、イーサーネット経由以外にも、RCA/3.5mmステレオミニ音声、USB端子、SDカードスロットを本体に設け、様々な入力ソースに対応する。インターネットラジオも楽しめる。本体にはバナナ接続専用のスピーカー端子が搭載されているほか、オプションとしてパワーアンプも用意されており、プリアウト出力経由で接続することも可能だ。フロントパネルのディスプレイは有機ELを採用。モーションセンサーによるパネルの点灯コントロールにも対応する。

 

【山之内氏のコメント】
よりカジュアルなネットワークミュージックプレーヤーの使い勝手を狙った製品。インターネットラジオの操作性が良いことと、USBメモリを本体に直接差し込んで、メモリ内の音楽ファイルが再生できる点が特徴。特にUSBメモリ再生は96kHz/24bitの高音質ファイルにも対応しているところが注目すべきポイントで、大変貴重な存在。本体ファームもソフトウェアアップデートで進化する余地があり、先の発展性を見据えている点も好感が持てる。また本体をドライブレスにしたことにより、デジタルアンプ内蔵と合わせて本体の薄型化を実現、音質も高めている。実際に試聴した際にも優れた再生能力を確認している。やや残念なのはコントローラーの自由度が低いこと。本体のディスプレイでは3行までしか表示ができないので、曲のリストを読むのにも制限がある。iPhoneなどとの連携も含め、外付けコントローラーへの対応にも期待したい。

PIONEER
PDX-Z10
¥150,000(税込)

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【プロフィール】
パイオニアと英国「Air Studio」のエンジニアとのコラボによりサウンドチューニングを施したミュージックレシーバー。本体にプレーヤー部のほか、新開発のPWM(Pulse Width Modulation)プロセッサーを使用したフルデジタルアンプを搭載する一体型システム。音楽ソースの再生はSACD/CDのほか、CD-R/RWに保存したMP3/WMA形式のファイル、USBメモリーに保存したWMA/MP3/AAC/WAV/FLAC形式のファイルなどが楽しめる。またLAN端子でネットワーク接続したPC内の音楽ライブラリーも再生でき、DLNA1.0に準拠したメディアサーバー機能を持つLAN HDDやオーディオシステムに保存されている楽曲ファイルの再生にも対応する。USB端子はiPodからデジタル入力が可能だ。圧縮音源を補間する同社独自の音質補正技術「アドバンスド・サウンドレトリバー」も搭載している。

 

【山之内氏のコメント】
iPodとのデジタル接続を実現している点に注目したい。一方でもう少しコントロール系を充実させてくるともっと面白い製品。本体にディスクドライブも搭載しているが、ドライブレスの製品もラインナップして欲しい。
まだ本機の音質をチェックしていないので、ぜひ近くオーディオ性能を確かめてみたいところ。


SOTEC
HDC-1L“music Nettop”
¥59,800(税込)

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【プロフィール】
オンキヨーの高音質化技術を搭載した“SOTEC”ブランドのオーディオPC“music Nettop”「HDC-1L」。6万円を切る低価格を実現した本体単体モデルのほか、パワードスピーカー付属モデルや、さらに19型ワイド液晶ディスプレイを付属したモデルもラインナップする。低消費電力を特徴とする「インテル Atom 230」をCPUに採用し、独自制御による冷却ファンの回転を低く抑えているほか、内蔵HDD/DVDドライブなど回転系機器の取り付けには振動対策を徹底。騒音レベル18dBの静音化を実現した。そのほか、本機専用に開発されたサウンドボード、オンキヨー独自のVLSC2回路、バーブラウン製DAC「PCM1796」を左右チャンネルそれぞれに搭載するなどの高音質化も図られている。付属リモコンで操作ができるオリジナル音楽再生ソフト「PureSpace」使用時には、他のアプリケーションの警告音やメール着信音などをシャットアウトできる技術「PDAP(Pure Direct Audio Path)」も利用できる。

 

【山之内氏のコメント】
PCを介した高音質オーディオの分野では、いまUSB DACが進化途上にあって面白いジャンル。私個人としても、USB DACのテスト用として、今後オーディオグレードのPCは導入しなければならないと考えているので、オーディオルームに入れられるような高音質PCには今後も期待したい。その際にはぜひ中途半端なものではなく、ファンレス構造+SSDの完全無音設計、サウンドカードは外部に持たせるなど音質向上にこだわり抜いたオーディオPCを指向して行けば、これはとてもマニアックで面白い世界になるだろう。

◆海外ブランドのネットワークミュージックプレーヤー
上記で紹介したモデル以外にも、まだ日本国内に紹介されていないネットワークミュージックプレーヤーの注目機種が存在しており、新製品も次々と発表されている。SlimDivices社の「Transporter」はLINN DSシリーズやSONNETEERのMorpheusのように、本体にドライブやアンプを搭載しないコントロールセンター。AKMのDAC「AK4396」を搭載し高音質化を図っている。NAIM「HDX」はCDの音源をリッピングして貯められる400GBのHDD搭載プレーヤー。192kHz/24bit再生にも対応する。MERIDIAN「Sooloos」はエンドユーザーに対するカスタマイズ&インストールサービスもパッケージにして販売するコンセプトの製品。ジャケット写真を20枚ほど一覧表示して、インターフェースも提供している。データのリッピングまで依頼次第で対応するというセット販売も行う。データサーバー、ネットワークプレーヤー、コントローラーから構成されており、サーバーやプレーヤーは複数用意されている。専用コントローラーのほか、PCやクレストロン、iPhone/iPod touchなどからもコントロールが可能だ。
SlimDivices
Transporter
NAIM
HDX
MERIDIAN
Sooloos

 
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