【第64回】 2009年02月13日
中国人留学生の夢を実現させた日本最大の中国情報サイト
「サーチナ」社長 端木正和
「中国を捨てる」!?
仰天発言で目指す次なる高み
端木が独立に踏み切るには、そこからそう時間がかからなかった。だが、手元にあるのは、貯めた70万円のみ。まだ中国情報局では稼ぎになっていなかった。カネなし、信用なし、人脈なしのなかで、茶、健康食品、キノコとありとあらゆる商品を扱う商売で食いつなぎつつ、経営のイロハを学んだ。
99年には、この事業を法人化して中国情報局を翻訳記事などを掲載する情報サイトに変貌させていった。
わが社はこれで勝負! 中国情報サイトとしては、類似サイトの追随を許さない「サーチナ」。政治・経済、社会から芸能・文化情報まで豊富なニュースが掲載されているほか、株価や主要指数など、投資情報も満載である。 |
中国情報局が初めて稼ぎになったのは2001年、中国株の取り扱いを始めた証券会社に情報を提供するようになってからだ。1社当たり毎月50万円、他社が提供していなかったチャートなどの市況情報から始めた情報提供ビジネスは、提供するコンテンツの質・量を充実させながら、その後の中国株ブームとともに急拡大した。
「一回、中国を捨てよう」――。
サイト開設10周年を迎えた昨年、端木は部下を仰天させる発言をした。もちろん、本気ではない。中国情報を含むもっと大きなフィールドで「日本市場で存在感を示す」という、より高い目標を社員に浸透させるための刺激策だった。
すでにサーチナで扱う情報は、ベトナム、タイ、ロシア、インドなど他の新興国にも広がっており、昨年末には、日本株投資情報の提供も開始している。10周年に合わせて、長年使ってきたウェブサイトの名称も中国情報局から今のサーチナに改称して、再スタートを切った。
新たな目標を掲げた端木の夢は果てしなく続きそうだ。(敬称略)
(『週刊ダイヤモンド』編集部 佐藤寛久)
もとき・まさかず/37歳。中国福建省出身。17歳で私費留学生として日本に渡る。日本に留学した当初から日本人と中国人の相互認識のギャップを感じ、これを解消したいという夢を持ったことが起業の原点。
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先達の苦難の道のりには、汗と涙に彩られた無数のドラマがある。そして、起業家達の苦闘の中には明日への成功のヒントとノウハウが凝縮されている。