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【解説】
IT史に輝く「すべったテクノロジー」ベスト25[後編:10〜1位]
「少数に絶賛も、多数に非難」の悲しきプロジェクトたち
(2008年07月19日)
8位
電子マネー
eコマース(電子商取引)に何か1つ、いまだ不十分なものがあるとすれば、それは電子マネーにほかならない。店舗がバーチャル化したのなら、買い物客の財布も完全にバーチャル化すべきである。
ドットコム・バブルの時代、代替通貨と「ロイヤルティ・プログラム」を提供する小規模な企業が生まれた。彼らが提供した電子マネーの多くは、オンライン・コンテンツ・プロバイダーが容易に代金を回収できるようにするための手段と位置づけられていた。
しかし、一般消費者は、あくまでも実体のある現金のほうを好み、普及には至らなかった。これは、新興インターネット企業の従業員がストック・オプションでの給与払いを受け入れていたのとは対照的である。つまり電子マネーは、価値が出るかどうかわからない株よりも、さらに信用が置けないものと見なされていたわけだ。
7位
64ビットPC
大手CPUベンダーがプロセッサの製品名に付ける数字に一喜一憂するユーザーは少なくない。だが、動作周波数のギガヘルツ競争が一段落したころから、ベンダー各社の争いは映画『スパイナル・タップ』のごとき様相を呈するようになった。「おまえのプロセッサは何ビットだ? 16か、それとも32か? 俺のは64ビットだぞ!」といった具合である。
AppleとIBMがデスクトップPC向けプロセッサの64ビット化に熱心に取り組むようになったのは、おそらく2002年のことで、AMDとIntelも即座に追随した。しかし、「はたして一般的なPCユーザーが16エクサバイトものメモリ空間を必要とすることなどあるだろうか」という根本的な疑問については、どのベンダーもあえて考えようとはしなかった。
現在でも、64ビット対応OSは依然として32ビット版ほど普及しておらず、またアプリケーション側の対応も進んでいない。だが、だれもそのことを気にしてはいない。今求められているのは、ビット数ではなくコア数であるからだ。
6位
カーリー・フィオリーナ氏
人はカーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏のことを「Steve Jobsになれなかった女性」と呼ぶ(写真3)。米国Hewlett-Packard(HP)のCEOに在職していた1999〜2005年の間に、“ギーク的誠実さ”を重視する企業文化を転換し顧客を離反させるという、ほかのだれにもできないことをやって見せたにもかかわらず、だ。
Fiorina氏は、高い評価を得ていた計測機器/医療機器事業をスピンオフし、ファンの多かった電卓事業も外部委託した。7,000人もの従業員に解雇を言い渡したのも彼女である。
「垢抜けしない」というHPのイメージを改善し、より顧客受けのするイメージを作り上げようとするFiorina氏の取り組みの中で、最も人々の記憶に残るのはCompaqの買収であろう(ちなみに、HP版iPodなるものも存在した)。
Fiorina氏の在籍中、HPの株価は下落したが、同氏はHPを去る際に2,100万ドルの退職金を受け取った。HPがわずか538ドルの資本金でガレージからスタートしたことを考えれば、悪くない額である。
写真3:2003年の「ITU Telecom World」コンファレンスで講演するCarly Fiorina氏。2年後の2005年、HPを去った |
【解説】IT史に輝く「すべったテクノロジー」ベスト25[前編:25〜11位]
「少数に絶賛も、多数に非難」の悲しきプロジェクトたち
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