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インタビュー

Vista導入の“見送り”を決断 前OSとの互換性がネックに

大成建設 理事 情報企画部長 木内 里美氏

2008年11月17日 page:3/3前へ

 

■ところで、御社はXPをいつまで使い続けるのですか。2014年にはサポートが打ち切られるので、それまでには決断しないといけません。

 Vistaをスキップすることを決めた以上、XPの寿命が尽きるまで使い続けるのが当社の基本方針です。問題はその後ですが、普通に考えれば、Vistaの後継OSである「Windows 7」に移行するのが一番自然でしょうね。ただ、心配なのは、7もVistaと同じような問題を抱えている可能性があることです。もしも、Vistaと同じように多大なコスト負担を強いられるようだと、7にかわる代替案を用意しなくてはならない。

 代替案の1つは、XPを2014年以降も使い続けることです。確かにMicrosoftのサポートは打ち切られますが、工夫次第で乗り切れなくはない。その方が、ずっと安くつくかもしれません。

 もう1つは、LinuxをクライアントOSとして利用する方法です。現在、社内システムの大半は、ウェブ上で動いているので、Linuxに変更しても大きな問題は生じません。心配な点といえば、MS Officeの文書の読み書きくらいです。しかし、これも2014年までにはOfficeのファイルフォーマットがオープン化され、どんなシステムでも動くようになるかもしれない。いずれにせよ、あらゆる工夫を凝らして、社員の快適な利用環境を守っていかなくてはなりません。

■木内さんは、そもそもどんなOSが理想だとお考えですか。

 一言で言えば“存在を感じさせないOS”ですね。OS自身が出しゃばるのではなく、人知れず動く。そんな存在であってほしい。Vistaを見ていると、まったく逆ですね。肥大化が極限まで進み、ますますユーザーが使いにくくなっている。ここまで複雑になると、もう誰もコントロールできません。

 今の時代、いろいろな工業製品にOSが組み込まれていますが、存在を意識させるOSなんて1つもないでしょう。本来、パソコンのOSもそうあるべきです。シンプルな構造を備え、よく配慮されたインターフェースを持ち、セキュリティー面での安全性も併せ持つ。もちろん、ソフトの継承性もしっかり保ってほしい。そんな素晴らしいOSが登場すれば、企業ユーザーもみんな喜んで移行すると思いますよ。


 
(聞き手・小谷 宏志=日経PC21編集長 出典:日経PC21 2008年9月号 )
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