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再犯の恐れ…対応苦慮 中国誘拐団の日本入国

6月4日8時12分配信 産経新聞

 ■引き渡し条約なし 身柄拘束も入国拒否も出来ず

 中国で暗躍する誘拐団メンバーの男(39)が東京都内に潜伏していることが明らかになった。中国では一人っ子政策による嫁、跡取り不足を背景に、人身売買を目的とした女性や子供の誘拐が相次いでいる。中国当局は近年、誘拐団の摘発を進め、一環として男の身柄引き渡しを日本側に要請していた。中国で何らかの犯罪に関与した容疑者は年間で数人、日本に入国していることが確認されている。しかし、日中間で犯罪人引き渡し条約を締結しておらず、身柄拘束も入国拒否もできない。警察当局は「日本でも罪を犯す可能性が高いのに…」と対応に苦慮している。

 ≪本腰≫

 中国メディアによると、中国での誘拐団の暗躍は社会問題化しており、中国当局はここ数年、誘拐団の摘発を進めてきた。今年4月上旬からは全国規模で集中捜査を開始。5月初めまでに72の誘拐団を摘発し、誘拐された女性214人、子供196人を保護した。

 中国で発生する誘拐事件の大半は身代金目的ではなく、人身売買目的だ。一人っ子政策がとられている中国では農村部で女児の堕胎が後を絶たず、男女の人数比のバランスが崩れているとされる。相次ぐ誘拐の背景には、農村部の嫁・跡取り不足があるとみられる。

 被害者の中には「仕事を紹介する」などといわれて誘拐され、農村部に嫁として売り渡された若い女性が多くいた。

 こうした状況を重く見た中国当局は4月から全国規模の捜査チームを作り、誘拐グループの摘発に力を入れてきた。また、誘拐された子供の身元確認を迅速に進めるために、父母のDNAデータなどを収集し、全国規模のDNAデータベースを構築している。

 ≪急務≫

 警視庁が今回、中国当局の要請に迅速に対応し、誘拐団メンバーの逮捕状を取ったのは、日本側にとって中国当局との捜査協力の枠組み作りが急務だからだ。

 警察当局によると、中国で罪を犯し、日本国内に逃げ込む中国人は年間数人いると確認されている。中国側が国際刑事警察機構(ICPO)を通じて加盟各国に手配すると、容疑者が正規のルートで日本に入国すれば、入国審査の段階で把握できる。しかし、日中間で犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため容疑者の身柄を拘束できず、過去に日本で罪を犯していなければ入国拒否もできない。

 日中の捜査協力をめぐっては、昨年11月に両国の捜査当局が外交ルートを通さずに証拠や書類を提供する「日中刑事共助条約」が発効。今年2月の日中外相会談では、犯罪人引き渡し条約の締結に向け交渉を開始することで合意した。

 捜査協力を強化する流れの中で、昨年9月には東京都江戸川区の会社役員殺害・死体遺棄事件に関与していた疑いがあるとして警視庁が行方を追っていた男が逃亡先の中国で身柄を拘束され、翌10月に日本に移送されている。

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最終更新:6月4日8時12分

産経新聞

 

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