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派遣切り無視できず…映画「ハゲタカ」徹底解剖(中)

“リーマン・ショック”余波

 敏腕ファンドマネジャー・鷲津政彦と、日本の大企業買収を目論む中国系ファンドとの息詰まるマネーゲームを描いた映画「ハゲタカ」(6日公開)。この映画自体も、激変する世界の金融情勢の荒波をもろにかぶったという。昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻で始まった「リーマン・ショック」で、脚本の大幅な変更を迫られたのだ。

 作家・真山仁氏の「レッドゾーン」をもとに脚本作りに着手したのは昨年3月ごろ。邦銀と米銀でM&A(企業の買収・合併)に関わった専門家や弁護士など、現場を生で体験している経済監修チームがアドバイスを送った。

 「アカマ自動車」買収を目論むファンドを中国系に設定したのは、昨夏の北京五輪の影響だ。ファンドの背後にいる中国政府が、日本メーカーの自動車生産技術奪取の目的をしだいに露わにしていくという、国家的戦略で動く大国の不気味さが描かれる。

 この時はまだ脚本が時代の先を行っていた。

 「日本の代表的な自動車メーカーが外資に買われる。しかも中国に。あのころは、どこの専門家に聞いても『それは絵空事だよ』で片づけられた」(大友啓史監督)

 確かにそのころ、トヨタは世界最強だった。しかしリーマン・ショック後はGMはもちろん、トヨタはじめ日本の自動車メーカーも逆風にさらされた。減産に次ぐ減産で、国内では“派遣切り”が一気に社会問題化していったのだ。

 製作チームは決断を迫られた。派遣切りは無視できないほど、大きな問題となっていた。

 鷲津役の大森南朋(37)は「派遣村を大々的にとりあげたニュースを見て、また脚本が変わるんだろうなと思いながら、年を越しましたね。やっぱり年明けに、脚本が変わると言われた」と笑いながら振り返った。「いつ脚本がもらえるんだろうと、ちょっと不安でした」とも。

 現実を反映し、映画の後半は派遣切りが大きなテーマになった。中国系ファンドを率いる劉一華は、アカマ自動車の若い派遣工に接近。派遣切りから、アカマ自動車非難の世論を形成していく。「派遣工のエピソードは、ワーキングプアーという言葉があるから入れた」と大友監督。

 刻々と変化する経済は、まさに生きもの。脚本作りでシミュレートしたことが現実になっていくとすれば怖い。

ZAKZAK 2009/06/03

ハゲタカ

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