市街地のビルの中で毎日を過ごしていると、時に息が詰まるような感じを覚える。梅雨がやってくる前に、と岡山県北へ車を走らせた。
県立森林公園の木々はまだ新緑の風情で勢いにあふれていた。鳥取県との県境に位置し、広さ334ヘクタール。ブナやミズナラの群生を縫って整備された散策道を、鳥たちのさえずりに励まされながら歩く。
標高1090メートルの高台・千軒平に立った。中国山地の山々が連なる雄大な景観がしんどさを吹き飛ばしてくれた。復路に立ち寄った「六本杉」は、高さ30メートルを超える推定樹齢約200年の天然杉。木陰に腰を下ろすと、自然がいたわってくれているように思えた。
人間界では米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻(はたん)が騒がれている。低燃費車、環境対応車で出遅れたのも大きな要因という。日本への影響が少なければいいが。
環境にやさしい暮らしが言われて久しいのに、背を向けるような車づくりを続けてきた揚げ句の転落。考えてみれば、人々の購買行動を通じ環境や自然からしっぺ返しを受けたといえるのかもしれない。
6月は環境月間。GMの現状を、ひとごとと考えるべきではなかろう。人工物に囲まれ、便利さや快適さばかりを追い求めて毎日を過ごすことは十分にGM的なのではあるまいか。