県土整備局主任を懲戒免職処分 無断早退や日誌改ざん 2009/5/27 11:10
県人事課によると、中倉技術主任は、二〇〇五年度から週一回二時間程度、吉野川市内の県道や河川のパトロール職務を放棄して釣りに行ったり、自宅に帰ったりしていた。さらにパトロール日誌や出勤簿などにうその内容を記載し、通常勤務を行っていたかのように偽装。パトロールに同行した部下の技師に虚偽の記載を命じていたこともあり、部下は「上司に逆らえなかった」と話しているという。 中倉技術主任は、無断欠勤相当(四十六日間)分の七十七万八千円を県に返還している。 県は、中倉技術主任の行為を黙認していたとして部下の技師二人を戒告処分。管理監督責任として、副局長を減給一カ月(10%)にしたほか、〇五年度からの上司七人を戒告や文書訓告などの処分にした。 中倉技術主任は一九八四年の入庁以来、東部県土整備局吉野川庁舎(旧川島土木事務所)で勤務。今年一月、同局幹部に匿名の通報があり、連絡を受けた監察局が調査を進めていた。 一方、防災センター所長は、〇八年十月から今年四月までほぼ毎日、数分から三十分、遅刻を続けた。三月、監察局に匿名の封書による通報があった。 県は管理監督責任があるとして、危機管理部長を文書訓告、副部長を口頭注意処分にした。 ◎県職員不祥事、恒常的怠慢見抜けず 徳島県が二十六日、長年にわたる無断早退などで懲戒免職とした東部県土整備局の中倉章仁技術主任(44)と、恒常的な遅刻で減給処分とした防災センター所長(59)の二人は、県がコンプライアンス(法令順守)の徹底を進める中で「職務怠慢行為」を繰り返していた。県は問題が発覚したのは、監察局設置や公益通報制度の見直しの成果とする。だが、長期間にわたってこれを見抜けず、規範意識に乏しい職員が後を絶たない事態に、構造的な問題を指摘する声が上がっている。 県によると、中倉技術主任は東部県土整備局吉野川庁舎(旧川島土木事務所)に勤務。業務は道路や河川のパトロールで、部下の技師と三人一組で行っていた。しかし、出勤と同時に外出し、昼休みに戻った後にまた外出するため、無断早退しても幹部職員は誰も気付かなかったという。さらに、パトロール日誌や出勤簿に虚偽の内容を記載。これを部下に命じたりもしていた。 「仕事もせずに遊んでいる職員がいる」。一月、東部県土整備局幹部への匿名通報を受け、監察局の調査で中倉技術主任の問題が判明した。 防災センター所長は、ほぼ毎日遅刻。しかし、所長室と職員室が離れている上に出入り口が別で、業務にも支障がなかったことから気付かれなかった。明るみに出る端緒となったのは、公益通報制度による監察局への匿名の封書だった。 二件の問題が発覚したことについて、斎藤秀生企画総務部長は「職員のコンプライアンス意識や組織の自浄作用が発揮された」と評価する。 しかし、多くの同僚の反応は冷ややかだ。中倉技術主任と同じ職場の男性職員は「昨年、あれほど不祥事が起きたのにまだ懲りないのか」と憤りを隠さない。 中倉技術主任の職場では、昨年五月に元南部県民局技術課長補佐の贈収賄事件が起きてから、公務員倫理に関する研修会を何度も開催。中倉技術主任も参加していた。中海義夫東部県土整備局副局長は「管理監督が不十分だったと指摘されても仕方ない」と話す。 県警が贈収賄を摘発する前から、逮捕された元技術課長補佐の不祥事を県に通報していた自営業者(53)は「自浄作用が働いているならば、なぜ贈収賄事件から一年もたって問題が出てくるのか。県は一連の不祥事の原因をあらためて検証し直すべきだ」と指摘している。
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