ここ最近、医師が強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪で逮捕されたり、判決を受ける事件が続けて報道されています。今回は、この問題について考えてみたいと思います。
今年の5月7日に、大腸内視鏡検査を受けた当時20歳代の女性の陰部に内視鏡を入れるなどわいせつな行為をしたとして、53歳の外科医が逮捕された事件が報道されました。この事件については、この日経メディカルオンラインにも論評記事が掲載されています(2009.5.29「手が滑ったのか、わいせつか―行き過ぎた医療訴訟が現場を疲弊させる―」)。
私も、初めてこの事件の報道を聞いたときに、「前代未聞の事件では?」と驚くとともに、「どうしてこのような事態が生じたのか?」という疑問を持ちました。なぜそう思ったのかと言いますと、大腸内視鏡検査は、通常医師が単独で行うことはなく、看護師や検査技師、同僚の医師などが立ち会っているものです。複数の人間が立ち会うであろう場所で、どうして強制わいせつ罪を疑われるような事態が生じたのか、今一つ想像できなかったのです。