診療報酬改定プロセスの見直しを−財政審
財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審、西室泰三会長)は6月3日、診療報酬の改定プロセスや配分などの見直しを求めた「2010年度予算編成の基本的考え方について」(春の建議)をまとめ、与謝野馨財務・金融・経済財政相に提出した。医師不足解消に向け、「経済財政改革の基本方針2008」や昨年11月にまとめた建議も踏まえ、医療政策における本質的な課題に対し、早急に取り組む必要があると指摘している。
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春の建議では、特定の地域や診療科などの医師不足、救急医療での患者の”たらい回し”など、医療提供体制をめぐるさまざまな問題が起こる要因として、▽医師の偏在▽病院勤務医の厳しい勤務環境およびそれを背景とした医師の病院離れ(開業医志向)―を挙げた上で、「医師が真に必要とされる部門に適正かつ効率的に配置できていない」と指摘。医師の偏在是正に向けた方策として、医療費配分の見直しを示した。
具体的には、「現在の診療報酬には、医師の経験や専門性が全く反映されていない」として、「医師の能力などに応じた配分が可能となるような見直しを行うこと」が必要だと指摘。診療報酬の点数の改定率を内閣が決め、具体的な診療報酬は中央社会保険医療協議会(中医協)で決定する現在のプロセスを改める必要があるとした。
また建議では、中医協の機能が医療費の適正な配分には重要だとしながらも、中医協以外の場でも医療費の配分について幅広く議論し、「それが中医協の議論・決定にも適切に反映される必要がある」とした。さらに、「委員の構成も含め、中医協の在り方そのものの見直しも検討する必要がある」とも指摘した。
このほか、医師が行っている業務や事務の役割分担の見直しを進め、勤務医の就労環境の改善を図ることや、地域の医療機関の役割分担・機能分化も推進すべきとした。
建議は医療費負担の見直しにも言及。将来世代へツケを回さず、医療保険制度を持続可能なものとするために、自己負担や民間保険によるものなど「私的医療支出」を増やす選択肢も視野に入れる必要があるとした。その上で、▽混合診療の解禁を含む、患者による選択の自由度を高める方策の拡大▽少額の医療費の患者負担の在り方を検討する、いわゆる保険免責制の導入―など、「以前から財政審で指摘されてきたさまざまな課題が論点となるだろう」との見方を示した。
更新:2009/06/03 22:57 キャリアブレイン
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