2009年6月3日6時4分
【モスクワ=副島英樹】ロシアのプーチン首相が初のコラムを執筆し、雑誌「ロシアのピオネール」に掲載された。タイトルは「なぜ人を辞めさせるのは難しいのか」。こわもてのイメージの半面、解任や更迭には慎重なプーチン氏の「人事哲学」の一端が明かされている。
指導者としての志を説くプーチン氏は「頻繁な配置換えは良くないと確信している」と持論を展開。人を代えても新任者は慣れるまでに半年はかかる。結果的には前任者と状況はあまり変わらない。仕事の態勢を確立したなら最後まで任せよう――と述べる。
「ある人の悪い評判を誰かから聞いたというだけでその人を辞めさせてはいけない」とも主張。なぜなら「しばしば複雑な政治的争いが絡んでいるからだ」と語る。そうした場合には「ソ連時代の指導者と違って私は個人的に話をする。その人を部屋に呼び、目と目を合わせ、具体的にこういう不平がありますよと直接伝える。それが実際とは違うなら、どうか反論するようにと促す」と記している。
さらに、部下の人心掌握術として、電話や面会など直接のコンタクトを重視。誕生日には直接お祝いの電話をかけると明かしている。
プーチン氏が人事に慎重なのは、ソ連国家保安委員会(KGB)の出身ゆえに、無用な敵をつくらないための流儀とも言われてきた。
「ロシアのピオネール」は昨年創刊された知識層向けの雑誌。編集長はコメルサント紙のプーチン番の名物記者で、プーチン氏のお気に入りともいわれている。