【ワシントン斉藤信宏】米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻(はたん)した米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は2日、大型SUV(スポーツタイプ多目的車)ブランド「ハマー」の売却交渉で、中国・四川省の重工業メーカー、四川騰中重工機械と暫定合意し、正式合意に向けて詰めの協議を進めていると発表した。売却金額などの条件については、契約上、現時点では公表できないとしている。GMを代表するブランドの中国企業による買収は、世界の自動車産業の主役交代を象徴するものとして注目されそうだ。
GMは経営再建策の一環として、世界に10以上あったブランドを大幅に絞り込む方針を決め、昨年夏から「ハマー」の売却先を探していた。しかし、燃費効率の悪い大型車のため売却先の選定が難航、売却計画は宙に浮いた形となっていた。
GMは9月末までにハマー売却を完了するとしている。四川騰中は販売網も引き継ぐ見通しで、正式に合意すれば販売店や製造工場など3000人超の雇用が守られる。ただ「ハマー」は米軍車両をモデルに設計されており、中国メーカーによる買収に反発の出る恐れもある。
再建後の新GMは「シボレー」「キャデラック」「GMC」「ビュイック」の4ブランドに絞り込む方針を決めている。
毎日新聞 2009年6月3日 東京夕刊