2009年6月3日 2時30分 更新:6月3日 2時30分
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が10年度予算編成に向け、3日に与謝野馨財務・金融・経済財政担当相に提出する建議(意見書)の全容が2日分かった。10年度に改定予定の診療報酬について、「民間賃金や物価動向を十分に踏まえ検討する必要がある」と、景気悪化による賃金や物価の低下を反映させ、報酬も抑制すべきだとの提言を盛り込んだ。
診療報酬は、医療機関などが診療などへの対価として受け取る報酬。医師の技術料などの「本体部分」と薬価に分けられ、2年に1度改定される。前回の08年度の改定では、本体部分を0.38%増と8年ぶりにプラスとした一方で、薬価は1.2%引き下げたため、診療報酬全体では0.82%減と4回連続のマイナスとなった。
日本医師会などは、「医師不足などの医療危機は医療費の削減が原因」と、診療報酬の引き上げを求めている。これに対し建議は、「医師が真に必要とされる部門に適正に配置できていないことが大きな要因」と指摘し、地域や診療科ごとに開業医の定員を設けることなどにより、医師の偏在を是正することが医師不足の解消につながると訴えている。【平地修、谷川貴史】