核実験を強行した北朝鮮への対応を巡り、1日行われた日米両政府の次官級協議のために来日した米国のスタインバーグ国務副長官が、協議後の中曽根弘文外相との会談で「北朝鮮との対話というカードは持ちながらも、これまでと同じ形では進まない」と述べ、対話重視の対北外交を見直す考えを示したことが分かった。米側は次官級協議でも、同様に「今までと同じわけにはいかない」と述べた。オバマ米政権の対話路線が、核実験や弾道ミサイル発射を防げなかった点を踏まえ、「圧力」を強化する考えを示したとみられる。
スタインバーグ氏は中曽根外相との会談で「これまでと同じ繰り返しであってはならない」とも強調。中曽根氏は、米側の対北圧力路線の強化について「私たちも望む方向だ」と歓迎の意向を示した。
会談に先立つ次官級協議には、藪中三十二(みとじ)外務事務次官やスタインバーグ氏らが出席。北朝鮮の核問題に関する6カ国協議が有効に機能してこなかったのではないかとの反省を踏まえ、「新アプローチ」を関係国と協議する方針でも一致した。新アプローチは6カ国協議の議長国である中国の影響力行使を求める考え方とみられる。北朝鮮の核保有を「絶対容認できない」として完全な核放棄を求め、国連安全保障理事会での強い制裁決議採択に向けて協力することを確認した。日本側は「拉致問題も非常に大事だ」と念押しした。【犬飼直幸】
毎日新聞 2009年6月2日 2時30分(最終更新 6月2日 2時30分)