エヴァTVシリーズが日本テレビで
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090603-00000000-maiall-ent
発表になりました。「新劇場版」第2部「破」にあわせ、『新世紀エヴァンゲリオン』のTVシリーズが深夜枠で再放送されるというニュースです。それだけなら「ありがち」とすませてしまいそうなんですが、またしても氷川的に「!」と頭にランプが点灯するようなポイントがあります。それは、放送局が「日本テレビ」だということなんですね。
ここに反応する人はあまりいないと思うのでちょっと突っ込んで解説しておきますが、『宇宙戦艦ヤマト』から始まる70年代末のいわゆる「アニメブーム」の中で、「日本テレビ再放送枠」のはたした役割ってすごく大きなものがあったんですね。平日の夕方5時台、6時台の枠で、よみうりテレビの『ヤマト』や『ルパン三世』を繰り返し繰り返しリピートしたことで、それが劇場映画化やリメイクにつながったという事実があって、これは作品の初出しか書いてない年表では分からないことのひとつです。
で、その枠で再放送人気が出たことで「定番」になったアニメ作品の中には他の局で放送したものもあったわけです。代表的なものが『エースをねらえ!』です。これは本放送は毎日放送の制作なので、系列だとTBSになるはずですが、77年の日本テレビの再放送で爆発的な人気が出ました。そのTBSは『ウルトラマン』の再放送をしてたのに、怪獣ファンで裏切って『エース』を見る人が続出して、ちょっとした騒ぎになったことなど思い出します(笑)。すぐ直後にもっかい『エース』を再放送したくらいの人気でした。
まあそれで当時的には雑誌「ランデヴー」で『エースをねらえ!』特集とかやったわけですが、あの特集で使ったセル画にいわくがあって。まだビデオデッキが普及してなかったので、その再放送を録画したファンのところまで(藤沢だったか遠いところまで)出かけていって、氷川がTV画面を撮影、それをもとにプロのアニメーター含む方々がセルに起こすという黎明期ならではの、ちょっと今では考えられない方法でやったわけですが。
話それました。
ともかく、そうした『エース』ブームが今度は日本テレビでの『新エースをねらえ!』というリメイクを経て、不朽の名作・劇場版『エースをねらえ!』につながっていく。そしてその後も続編OVAや、はては実写版(明らかに初代エースのアニメの方の演出をベースにしている)へとつながっていくのも、あの77年、日本テレビの再放送がなければ! みたいな……。
えーと、そういう走馬燈が「なに?日本テレビで他局の作品の再放送を?それは幸運を呼び込むもの!」とかいう感じでランプ点灯にいたったというわけでした。長い説明ですいません。
まあ、この再放送にはそうした歴史的な側面だとダブルでもうひとつ意味がありまして。いまものすごく数が増えた「深夜アニメ」ですが、その元祖は「スーパーヅガン」とか「エルフを狩るモノたち」とかいろいろあるんですが、これだけ数が増えるきっかけになったのは、97年かな、テレビ東京深夜枠でやった『新世紀エヴァンゲリオン』の再放送の高視聴率にあると言われてます。
そういうわけで、「日テレで他局ものを再放送」「エヴァを深夜で再放送」って、麻雀で言えば最初からリャンハンついてるみたいな感じなわけです。非常に楽しみ。
一方でこう並べてみると、32年前、12年前、今ではたしてこうした再放送事情がどう変わって世の中に受け止められるのか。その結果もまた、「TVでアニメを放送すること」の意味と「受容のされ方」の変遷をなんらかの形で示してくれそうで、そういう点でも結果に注目しています。
なお、既報ですけど『新劇場版』も「序」が7/3、21時に金曜ロードショー枠で放送です。これも庵野秀明総監督が喜びのメッセージを寄せられているように、大きな意味がありますね。バージョンも1.01のはずです。TV用の補正はあると思いますが、1.01をHDで観られるのはこれだけのはずなので、こっちもブルーレイ録画の予定です。
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