SPECIAL TALK
#01 竹内敦志 メカニカルデザイナー
第1回は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』などのメカニカルデザインで有名な竹内敦志氏が、『ヤマト』から受けた影響について語っていただいた。
Q1 『宇宙戦艦ヤマト』に初めて触れたときのことを教えてください。
A1 小学生の頃に初めて『宇宙戦艦ヤマト』を見ることになったのですが、まだTVゲームなどない時代で、友達と日が暮れるまで遊び、帰ってテレビの前を陣取り必ずアニメを見るというのが常でした。当時、様々なロボット物に目を通していた中、ひたすら新鮮に映ったのが『ヤマト』でした。もともとSF小説が好きで、そこで感じていたイメージを奮起させてくれる作品がないことに物足りなさを感じていたので、『ヤマト』はそういう不満を解消してくれる作品でもありました。
Q2 『ヤマト』のどのあたりにいちばん感銘を受けましたか?
A2 敵との対戦に武器を使用する行為があるわけですが、それまで見慣れていたアニメでは、叫ぶことで武器を発射していました。要は段取り芝居だったのです。しかし『ヤマト』では、波動法を撃つには、艦長の指令のもとに、それぞれの部署に伝達、シリンダーが連結、と、発射までの段取りが子供心にわくわくしリアルに感じていました。
第1話がとにかく面白い! 昨今はお客さんが、最初に1話と2話くらいを見て、その先を見るかどうか決めてしまう状況があるので、1話はかなり気を配った作りのものも増えましたが、あの時代にあれだけ、行動原理的に、そうだよ!行くしかないよ! とぐいぐい引き込んでくれるシチュエーションを演出しているのは、すごいと思います。
Q3 アニメーターを目指すようになったのは、『ヤマト』の影響は大きかったと思いますが、どのあたりに影響を受けたのでしょうか。
A3 絵を描いて仕事がしたいと、かなり小さい頃から思っていましたが、直接の仕事が即サラリーに繋がるのは、アニメーションかな〜と考えていた時に、『ルパン3世カリオストロの城』を劇場で見てやっぱり、この仕事で食べていきたいと感じた記憶があります。
『ヤマト』では、クロノグラフ風のメーターや、羅針盤の球体宇宙儀などディティールの面白さが、印象に残っています。
Q4 リアルタイムで『ヤマト』を体験していない若い世代に向けて、この作品のどのあたりを見ていただきたいと思われますか?
A4 『ヤマト』は、いまでも色あせる事なく子供に夢をあたえてくれる作品だと思います。素直にこの作品の人間性、シチュエーション、大胆な発想を感じてほしいです。
PROFILE
竹内敦志
1965年4月3日福岡県北九州市生まれ。
『太陽の船 ソルビアンカ』で初プロダクションデザイン。『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』などのメカデザイン、『戦闘妖精雪風』で特技監督をつとめる。
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