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映画は細部に宿る 髙山文彦
映画マニアとしてアニメ業界に名高い髙山文彦監督に「映画の細部」を聞こうという本連載。「細部」が話題だけに、話題もあっちこっちの寄り道ほうだい。今回も果たしてどこまで行くのやら。
第6回 サム・ライミと『トムとジェリー』と『ポパイ』
―前回、サム・ライミの話題で終わったんですが、今回はその続きからということで……。
髙山 うん、じゃあ……。以前、とり・みきさんとも同じ話題で盛り上がったんだけれど、サム・ライミって最初の数本見たとき、「あ、こいつ俺と同世代だな」って思った。カートゥーンが好きで、いろいろネタにしている監督なんだよ。
―ってことは、髙山さんもかなりカートゥーンが好きだったんですか? そのあたりから聞かせてくださいよ。
髙山 子供の頃『ポパイ』と『トムとジェリー』がむちゃくちゃ好きだったんですよ。60年代中頃、『トムとジェリー』はシオノギ製薬、『ポパイ』は不二家製菓の提供で、ゴールデンタイムに放映していた。子供にも判りやすい内容だし、ギャグがダイナミックで面白いから狂っちゃって。その後、小学校5年の時、親父が仕事の研修会で福岡に行った時、一緒についていって親戚の家に泊まったんだけど、毎日ひまだから映画館に通ってたわけ。そのとき映画館で『トムとジェリー』大会をやっていて……要するに短編漫画映画をまとめて上映するのを、当時××大会と称していたわけだけど……その時初めてカラーで『トムとジェリー』を見たんだよね・・・俺ん家、テレビはモノクロだったから。
―日本のアニメはどうだったんですか?
髙山 うーん、『鉄腕アトム』とか『エイトマン』とか楽しく見てはいたけど、のめりこむほどじゃなかったなぁ。やっぱり『トムとジェリー』に比べて、ちゃちに見えたんだよね。「日本のアニメ、だめじゃん」ぐらいの感じで。あの頃テレビでやっていた『ポパイ』や『トムとジェリー』って、もともとは劇場で上映した短編漫画だから、予算もスケジュールも人材も桁違いなわけで、比べるのがそもそもの間違いなんだけれど、何しろ子供だからそんなのわかっていない(笑)。唯一、「おお!」と思ったのは、小学校2年の時に学校で見せられた『わんぱく王子の大蛇退治』('63年、演出・芹川有吾)かな。これはちょっと燃えた。一番しびれたのは、大蛇が出てくる時に、まず影から出て来るじゃないですか。しかも酒飲み始めた時に仲間同士でこう、互いにけんかするところが、なんかリアルに感じて、すげえと思った。中盤のアメノウズメの踊りなんかは、意図的に平面的な演出なんだけれど、大蛇が出てくると突然、立体的になるし。まあ、描いているのが若い盛りの月岡貞夫さんと大塚康生さんなわけで、あそこはすごかったよね。その前年に見たのが『安寿と厨子王丸』('61年、演出・藪下泰司、芹川有吾)で、同じ東映動画の長編でもこれは退屈だったんで、余計に印象が強かった。
―じゃあ、子供時代の基本はあくまでもカートゥーンにあったと。
髙山 うん。『わんぱく王子』は特別な例外。で『トムとジェリー』も好きなんだけれど、実はもっと好きだったのがその枠内で放映していたテックス・アヴェリーの『ドルーピー』とかなんだよね。
―資料を見ると、3本立てのうち、真ん中の一本でテックス・アヴェリー作品を放映していたそうですね。
髙山 そう。それが本当に好きで、当時スポンサーのシオノギ製薬がプレゼントのキャンペーンをやったんですよ。歯磨きの箱の蓋の部分を3枚送ると、トムとジェリーのポストカードプレゼントする、というやつで。それを送るときに「僕は『トムとジェリー』よりドルーピーの方が好きなんで、『ドルーピー』ください」って書いて送ったの。
―それで貰えたんですか?
髙山 当然ダメだった(笑)。やっぱり『トムとジェリー』のポストカードが送られてきて。今でも覚えているけど、歩いているジェリーの尻尾をトムが押さえている絵柄だったなぁ……。
―だからサム・ライミが似たようなものを見て育った、というのがわかった、と。
髙山 見ればすぐわかるからね。最初に見たのはいつかな。バブルのころかなぁ。新宿で終電車がなくなってオールナイトで『皇帝密使』('84、ツイ・ハーク監督)と同時上映で『死霊のはらわた』('81、日本公開'85)を見たら、これが面白くって。スティディカムふうの撮り方が、アマチュアっぽい若々しさにあふれていて気持ち良かった。
―『死霊のはらわた』って、スプラッター映画のはしりですよね。若者たちが休暇中の別荘で、悪霊を呼び寄せてしまうという。
髙山 そう、それで主人公がヘンになっちゃうシーンなんだけれど。突然パタっと倒れた後に、台所にある皿を次々と手にとって、自分の頭にぶつけて割るんだよね。これって『トムとジェリー』によくある芝居でしょ。それでピンときた。
―しかもそれだけじゃ、すまなかったわけですよね。
髙山 これは『死霊のはらわたII』のほうだったかなぁ、左腕が悪魔に取り憑かれて、本人と左腕とが戦うシーンがあるの。最後には、その腕をチェーンソーで切り落としてしまう。切断場面は直接見せないけど、効果音がすると血が飛び散って、そばに置いてある本にかかる。で、その本のタイトルがヘミングウェイの「A Farewell to Arms」(笑)。
―(笑)。ブラックなギャグですね。
髙山 これテックス・アヴェリーも似たようなギャグを何度もやってるのよ。超有名な『呪いの黒猫(Bad Luck Blackie)』という作品……子猫をいじめるブルドッグをこらしめるために、黒猫がそいつの前を横切ると、とんでもない不幸がブルドッグを襲うというやつね……こいつに出てくるのは、ブルドッグが本棚に逃げ込んだ子猫をギューっと圧縮すると、「KITTY FOILED」(箔を押した子猫)って題の本の形になっちゃうの。これ実は少し前にヒットした『KITTY FOYLE』('40、邦題は『恋愛手帖』、サム・ウッド監督)という映画のパロディなのよ。
―それはどういう映画なんですか?
髙山 俺も見てないけれど、MGMミュージカルで有名なジンジャー・ロジャースが、初めてミュージカルではなく、ストレートプレイに出演した作品。それで演技が評価されて、しかも大ヒットしたという。その女主人公の名前がKITTY FOYLE(キティ・フォイル)なんだけど。テックス・アヴェリーもMGMでアニメを作っているわけだしね。……それで、サム・ライミに話を戻すと、次の『ダークマン』(1990)では、ディズニーをやってるの。
―ディズニーですか?
髙山 内容が、顔を焼かれて醜く変えられた科学者の復讐譚でしょう。科学者が鏡に映った自分の顔を見て嘆くところが、シリー・シンフォニーの『みにくいあひるの子』(モノクロ版’31、カラー版’39)に似ている。しかも、顔を焼かれる時の時限スイッチにピースバード(水飲み鳥)のおもちゃが使われているんだけれど、スイッチが入るときのアオリのカットが、カラー版の『〜あひるの子』に出てくるデコイのカットそっくり。
―ハァ……
髙山 一番スゴイと思ったのは『キャプテン・スーパーマーケット』('92)。
―『死霊のはらわた』シリーズの3作目だけど、主人公が中世へ飛ばされてしまうという異色編ですね。
髙山 主人公が過去に飛ばされて「こいつは我が国を助ける英雄だ」みたいなことになって、とりあえず悪魔がいるというところに1人で出かけるんですよ。その悪魔がいるという場所が風車小屋なんだけれど、その風車小屋のシルエットがもうかなり、ディズニーの『風車小屋のシンフォニー』('37)に似ているわけ。その中に入ると、今度は主人公そっくりの小さな悪魔が出てきて、フォークだったか火かき棒だかで尻をついたりする。それでどたばたしているうちに、火のついたオーブンの上に尻餅ついてウァー! ってなったりして。なんかもう完全に『トムとジェリー』やテックス・アヴェリーの世界でしょう?
―そうですね(笑)。
髙山 しかも、その後のシーンでは人形アニメーションによる骸骨の軍団が現れる。
―今度は、ハリーハウゼンですか。
髙山 そう。お前この映画で、アメリカのアニメ史をやるつもりかと(笑)。
―そうやって聞いていると、腑に落ちますね。『キャプテン・スーパーマーケット』のディレクターズカット版のラストも、カートゥーンのオチに近いですよね。
髙山 で、一方劇場公開版のほうは、スーパーマーケットで完全にマカロニウエスタン風のアクションで締めくくっているでしょう。これはマカロニも好きなんだろうだなぁと思ったら、その後ちゃんと『クイック&デッド』('95)を撮っているという。これは「私、アメリカの西部劇よりも、マカロニウェスタンのほうが好きなんだ」という告白映画で(笑)。でもやっぱり、ジーン・ハックマンが撃たれた瞬間に、体に穴が空いて、そこから光が漏れるっていう、カートゥーン的な演出をやってるんだよね。
―そうして見ると徹底してますねぇ。でも、そう考えると『スパイダーマン』はわりと抑えめですね。
髙山 そうだねぇ。アクションはアニメっぽいといえばアニメっぽかったけれど。
―そういえばここ数年、アメコミ・ヒーローの映画化が続いていますけど、辿っていくとやはり『スーパーマン』('78)が嚆矢ということになりますかね。
髙山 でもあの『スーパーマン』は歴然とある種のパロディ意識でやってるでしょう。特に脚本担当の二人……デヴィッド・ニューマンとロバート・ベントンの『俺たちに明日はない』のコンビは、半ばコメディとして作っていると思う。冒頭からして、木に登って降りられなくなった猫を助けてくれみたいな事件で、「今時、コミックヒーローを描くとすればパロディにしかならない」という意識でお話を作っている。でもリチャード・ドナーはわりと大真面目に撮っていて、脚本と演出に温度差があるように思えた。そういえば、あの頃、大予算をかけて、コミックを実写化するのがブームだったのかな。あれがあったでしょう、『ポパイ』('81)。
―ああ、ありましたね〜。大コケして、ロバート・アルトマン監督のキャリアに大きな句読点を記すことになったという怪作ですね。
髙山 あれは好きな映画ではあるけど、アルトマンが、どこか狂っていたのは間違いないと思う(笑)。巨大なセットを建て、歪んだ人工的な空間を舞台にしているんだけど、ニューシネマ以降の、ロケで撮ったザラザラした映像が主流の時代に見ると、すごく嘘臭い画面に写る。おまけに撮り方がわりとぶっきらぼうなんですよ。架空世界に観客を導くための段取りも、おそらく意図的に端折っている。漫画の登場人物が異化効果をもたらすために存在しているようで、あんな映画を作ったら反発をくらうのは当たり前。この時、アルトマンがやろうとしていたことを、もう少し甘口にして、観客が世界に入り込めるようにすると、『シザーハンズ』('90、ティム・バートン監督)になると思うんだよね。オープンセットだけれど、あのカラフルな郊外の風景とか、人工的な空間でマンガっぽいというか、アニメっぽいでしょう。
―アルトマンは、10年早すぎた、ってことでしょうかね。
構成・文:藤津亮太
次回予告
日本映画界を代表する市川崑監督、死去。市川監督がアニメからそのキャリアを始めているというのは知る人ぞ知る事実。次回はそのあたりからスタートしてみるぞ、のココロだぁ!
※内容が予告通りとは限りません。
髙山文彦 プロフィール
アニメ制作スタジオのトップクラフト、アートランドを経てフリーに。1989年『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』で監督デビュー。現在公開中の『ストレンヂア 無皇刃譚』では脚本を務めている。代表作は『WXIII 機動警察パトレイバー』(総監督)、『ガンパレード・マーチ 〜新たなる行軍歌〜』(監修・シリーズ構成・脚本)など多数。
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