フリースタイルスキーのモーグルナショナルチームが1日、福島・猪苗代合宿を開始した。五輪本番仕様に改造されたジャンプ台からプールに“着地”するウオータージャンプトレーニングを中心に行い、上村愛子(29)=北野建設=は、里谷多英(32)=フジテレビ=らとともにびしょぬれになりながら、エアの感触を確かめた。6月下旬にカナダ、8月には南半球で雪上合宿を行うことも決定。バンクーバー五輪金メダルへ続く階段を、1段ずつ上っていく。
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雪のない緑のスキー場に、大きな水の音が響き渡った。ジャンプ競技のような助走から踏み切り、空中でエアの動作を決めて、プールに着水する。夏季恒例のウオータージャンプ。水を滴らせながら何度も飛んだ上村は「去年の台より、飛びやすかった。かなりいい合宿になると思う」と手応えを口にした。
五輪シーズン最初の国内合宿は本番を意識してスタートした。ウオータージャンプ台をバンクーバー五輪会場のサイプレスのエア台と同じ形状のものに改良。高野ヘッドコーチは「作ってもらいました。サイプレスはキック(踏切位置)がなだらか。それに合わせた」と説明。雪のない国内でも、バンクーバー仕様の台での反復練習を可能にした。
国内でエアに磨きを掛け、海外には雪を求める。五輪イヤー特別の試みで昨年まで実施しなかった6月のカナダ、8月の南半球での雪上トレーニング敢行が決まった。昨季の世界選手権を圧勝した上村のスキー技術は完成の域。「体の使い方は自分の中で決まってきている。間隔をあけずにスキーに乗れるのはうれしい」と喜んだ。
心は五輪モード。「完成度を上げていく。スタートからゴールまで(自分に)百点満点をあげられるようにしたい」と誓う。国内で水びたし、海外で雪まみれになりながら、一歩ずつ金メダルに近づいていく。