日米密約、2審も存否判断せず 外務省機密漏えい事件
沖縄返還をめぐる外務省機密漏えい事件で、有罪が確定した元毎日新聞記者西山太吉さん(76)が違法な起訴などで名誉を傷つけられたとして、国に謝罪と3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は20日、1審東京地裁判決と同様に「日米密約」の存否を判断しないまま、請求を退ける判決を言い渡した。
大坪丘裁判長は、違法な起訴との主張を「除斥期間(権利の存続期間、20年)が経過し、賠償請求権が消滅した」と指摘。沖縄返還に絡む密約を否定した外相らの発言についても「政府の公式見解を述べているだけで、原告の社会的評価を低下させていない」として退け、西山さんの控訴を棄却した。
判決によると、西山さんは1972年、外務省の女性職員から極秘電文を入手したとして女性とともに逮捕され、国家公務員法違反罪で起訴された。1審は女性有罪、西山さんは無罪で、2審は西山さんを懲役4月、執行猶予1年とし、最高裁の上告棄却で確定した。
西山さんは2000−02年に密約を裏付ける米公文書が見つかったことなどから提訴した。
【共同通信】
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