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【世界の街から】

モスクワ 認識あれど鈍い反応

2009年6月2日

 「あと五十年待てば日本の要求は三島になる」−。先のプーチン首相の訪日後、ロシア有力紙にこんな論評が載った。谷内正太郎政府代表が述べたとされた北方領土「三・五島返還論」に触れ、交渉をずるずると長引かせればもっと譲歩を引き出せると皮肉ったのだ。

 そもそもロシアメディアでは、首脳訪日に際し領土関連報道自体が珍しい。返還へ向け、協議の加速を期待した日本側との温度差は大きい。

 以前、ロシアのある大学で東洋史に詳しい三十人ほどのロシア人学生たちに「北方領土はどちらの領土か」と尋ねたら、意外にも「日本」という回答がわずかに上回った。ただし、「返還」に関しては全員が「損だから必要なし」。

 最近、ロシア側は北方領土問題を放置しないとの意向をたびたび表明しているが、素直に甘い結果を期待するには、この国は少々、手ごわい。

 (酒井和人)

 

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