母の肺がん闘病記

私の母が肺がんと診断されたのは平成 3年 の4月でした。
4月のあるとき、がっかりとした声で
「がんがあると言われちゃった。」
と電話がかかってきました。
次の診察の時、私も時間を作って母に同伴して病院に出かけました。
呼吸器内科の主治医は胸部のレントゲンとCT画像をシャーカステンに掛けて、母の右肺の下葉に影があることを示しました。私が同伴した時には、既に初めの診察から一ヶ月以上経っており、その間に、鑑別診断がなされたとのことでした。
鑑別診断として候補に挙がっていたのは、肺結核、そして慢性の限局性の炎症等で、既に、それを鑑別するためにツベルクリン検査や抗生物質の投与が行われており、その結果は陰性で、ほぼ、98%癌であろうということでした。
治療の選択を質問すると
新しく出た(当時)分子標的薬の「イレッサ」を使うとのことでした。
イレッサは既に治験の段階で「間質性肺炎」の副作用のために、何人もの方が亡くなっていることを知っていましたし、肺がんには有効な抗がん剤は無いことも承知していたので、その場で、抗がん剤の治療はお断りして、私のクリニックで行っている治療を母にする由を伝えました。
こういう申し出は、勿論、担当の医師の気持ちを著しく損ねるものですが、私自身が医師であるということで、顔での反応とは裏腹に、その申し出を受諾していただきました。
ありがたいことに、定期的なレントゲンでのチェックをしていただけることになりました。
早速、クリニックに戻って、母のための点滴を用意し、一日に2本ずつ、毎日続けました。
一週間後の診察の時に、レントゲンを拝見させてもらうと、少し影が薄くなっているように見えます。
そのことを指摘すると
「条件によっても多少の写りかたの違いはありますから。」
とのこと。それは納得。
そのとき、丁度5月の連休に入ろうとしているときで、連休が終わったら早々に肺の生検を予定しますと言われました。
生検は、そんなに大きな身体的な負担にはならないだろうからと思って、この時は承諾しました。
さて、連休は、本来は母を連れて沖縄に旅行するプランを立てていたのですが、落ち込んでいた母は、行く気にならないと旅行を辞退しました。本当は気分転換のために、こういうときこそ、旅行が必要なんだと説得しても、決意は固いらしく結局母は旅行を取りやめました。

旅行先のホテルで、生検についてもう一度考えて見ました。
「主治医は否定しているけれど、レントゲン上での陰影は薄くなっていることは確かである。がん組織自体が治癒の方向に進んでいるとするならば、その環境を乱すのはたとえ生検というマイナーな処置でも避けたほうがいいのではないか。

そう判断しなおした私は、直ちに主治医に連絡して、生検の予約をキャンセルしてもらいました。

それからも、毎日点滴を続けます。
続けていくうちに、初めは点滴を抜いた後が皮下出血を起こし易かった状態から、抜いた後がとても綺麗にキープされてゆく状態に変わってゆきました。一ヶ月間は土日を除く毎日点滴をしていましたが、それ以降は一週間に2回、そして一週間に一回に減らしてゆきました。
その後の、レントゲン検査でも、病巣がどんどん小さくなってゆくことが確かめられました。特に主治医のコメントはありません。
そして、癌という診断から3ヵ月後には殆ど陰は見られなくなり、9月のレントゲンで全く肺が綺麗になったため、診察は終了しました。

さて、最後の主治医のコメント。
「がんで無くて良かったですね。」
ちょっと、ちょっと、98%癌といったのはあなたでしょう、と思いながら
「がんでないなら、なんと言う病名でしょう?」
「慢性の肺炎と思います。」
「でも、先生は、当初の鑑別診断で、その病気は否定されましたよね。」
「・・・・・。」
「なぜ、がんでないのですか?」
「治ったからです。」
「それでは、先生はがんは治らないものだと思っていらっしゃるのですね?」
「はい、そうです。」
それ以上の会話は成り立たず、病院を後にしました。
その後、母は美容院などで、「肌が綺麗になって、しわが少なくなって、若返ったよ。」
といわれて喜んでしました。
その後、7年経ちますが、再発は全く見られません。いま81歳ですが、とても元気です。
もし、あのままの主治医が勧める治療を母が受けていたとしたら、
母の述懐です「あの時は年を越すことが出来ないと思っていた。」
と。

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メモ2 末期がん?

だれが「末期がん」と名づけたのでしょう?

「末期がん」「進行がん」という言葉を聞きますね。
もし、あなた自身や、家族、あるいは近しい人がこのような診断を受けたらどうしましょう?もう、手遅れと考える人が大部分ではないでしょうか?
腫瘍というものには、良性腫瘍と、悪性腫瘍とがあります。がんはこのうちの悪性腫瘍に分類されるのですが、良性腫瘍と、悪性腫瘍はどこが違うのでしょうか?
良性腫瘍はゆっくりと大きくなって、周囲の健康組織と明確な区切りができていて、離れたところには転移しない腫瘍で、脳腫瘍などの特別な場合を除いて、命を落すことはほとんどありません。
これに対して、悪性腫瘍は周りの健康な組織にどんどん浸潤してゆき、組織を破壊してしまいます。また、様々な化学物質を産生し、患者さんの肉体全体を蝕むことも少なくありませんし、また他の部分に転移して、あらたながん病巣を造ってしまいます。また、一旦治療が成功して姿が消えても、再発という形で現れることも少なくありませんし、現在の死亡原因の一位を常に占めているように、この病気で命を落すことが多いのです。
がんは、その進展の具合によっていくつかのステージに分類されています。
がんが発症した場所のごく一部にとどまっている「早期がん」のステージから、
あちこちに転移を起こしてしまっているステージまでの間にいくつかに分けられます。
最後の表現のように、あちこち転移してしまっていたり、元のがんを中心に広く浸潤してしまっている状態になった場合に「末期がん」という表現をよく使います。

でも、この「末期がん」は人間が便宜的につけた名前で、決して「神様」がつけたものではないのです。
私の友人は、腎臓癌で、あちこちの骨に転移巣があり、「進行がん」「末期がん」の状態でした。でも、考え方や、生き方、そして食生活を変えることで、全てのがん病巣が一年で消滅し、その後何十年とたっていますが、再発は勿論無く現在も至って元気です。

アメリカの国立がん研究所(NCI)で発行されているブックレットで、「進行がんー一日一日を生きる」というものがあります。その中の一フレーズがとても印象に残るものです。
「We are all born with the will to survive(私たちは、長生きしてやる(生き残ってやる)という意志を持って生まれてきた」
ですから、末期と思われていた人たちも、思いがけないほど命を永らえることも少ないことではありません。

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メモ1

免疫検査が重要である意味

がんは免疫の病気である
がんを患っている人は、免疫(特に細胞性免疫)が低下していることが知られています。そういう観点から、がんは免疫の病気であるということができます。

細胞性免疫って何?
免疫とは「厄病から免れる」という意味から作られました。体の持っている病気を克服する力です。免疫は非常に複雑なシステムで、まだ解明されていない部分も多いのですが、免疫の働きを「液性免疫」と「細胞性免疫」の2つに大まかに分けることができます。
「液性免疫」というのは、免疫を司る細胞が、抗体というたんぱく質をつくり、その抗体が悪いことをする物質にまとわりついて(抗原抗体反応といいます)、悪いものを破壊してしまう免疫システムです。
一方、細胞免疫というのは、悪いものをやっつける力を持ったリンパ球自身が直接悪い細胞(細胞、菌あるいはビールス)を攻撃するものです。
がん細胞に主に立ち向かってゆくのが免疫システムの中でも「細胞免疫」というパートなのです。
勿論、「液性免疫」もがん細胞が細胞の表面に作り出す異常たんぱく質などに刺激されて(抗原となる)、抗体を作りがんを攻撃するという役割も持ちます。

なぜがんでは免疫が低下するの?
まだ詳しくは解明されていません。
しかし、がん細胞から免疫を抑制する様々な物質が作られていることは分かっています。
体を守る免疫システムは複雑なシステムであるということは前述しました。免疫に携わる細胞はお互いに協調して働くために、色々な物質を「連絡役」(正式にはサイトカインと呼びます)として作り出し、血液中に放出しています。その「連絡役」の物質が、ある部分の免疫活動を抑制したり、刺激したりして、免疫システムを正常に運営しているのです。
ところが、興味深いことに、がんは免疫を抑制するために、この免疫システムが作り出すのと同じ物質を作り出して免疫を抑制しているのです。

慢性的な炎症の存在が免疫を抑制する「片棒」を担ぐ
炎症とがんの関係は、他の項でも取り上げますのでそれも読んでください(4月2日未稿)
炎症というのは、例えば汚い傷をそのままにしていると、細菌が繁殖して赤く、熱を持って腫れてきますね。あれが炎症反応というもので、他にも、アレルギー反応などでも起こります。
さて、体の中に慢性的に炎症を起こしているところがあり、皆さんが健康に良いとされているリノール酸を沢山含んだサラダ油(あるいはてんぷら油)を体に取り入れると、炎症組織はリノール酸からプロスタグランジンE2という化学物質を生成します。実は、このプロスタグランジンE2は細胞免疫が活性化するのを妨害してしまうのです。

まず細胞性免疫のチェックから
がん患者さんは、免疫が低下していることはよく知られていることですが、医師は低下しているのが当たり前と思いすぎているのか、一般の病院では、がん患者さんの免疫状態をあまり調べようとはしません。
一つには複雑な免疫システムの何処をチェックすれば良いのか、分からない場合があることもありましょう。
しかし、がんの患者さんと、健康な人では、一部の「連絡役」(サイトカイン)とインターフェロンγの値が明確に違いがあるのです。

例えば、抗がん剤や放射線、あるいは手術でがんが無くなっても、免疫の状態が改善しないと、将来の再発の危険性が存在することになります。
がん完全に押さえ込むためには最終的には自分の体の治す力が残されているか否かに罹っているといっても過言ではありません。
この中心的な役割が、「細胞性免疫」を主とする免疫システムの健常かです。このため、がん治療中、あるいは治療後でも、定期的に「免疫」状態の様子をチェックする必要があるのです。

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