--------------ポルクとクックの物語-----------------
第十二話 無欲と強欲
7人用 ♂×4 ♀×2 両×1
6人用 ♂×3 ♀×2 両×1(タイラとペドル被り)
ジャンル・・・ファンタジー
設定・・・・・黒の魔法が支配する世界。
その世界の中で、結界をつくり聖域の中でひっそりとくらす人々
聖域の中では小さな幸福がまだあった。
しかし、その小さな生活さえ、黒の世界が飲み込もうとしていた。
そんな混沌とした世界のなかでのポルクとクック二人を中心とした物語。
あらすじ・・・やっとのことで見つけたポルクが、恐ろしい黒の使い手になっていたことを知ったクックは、
己の進むべき道を見失う。クックの迷いを察したタイラはいったんレーゼの元へと引き上げることにした。
一方、ポルクの成長を知ったイザクは、黒の王への反逆の時を伺う。
クック =♀ 少女(15歳)ポルクを助ける為、白の魔法を修行している。
くそまじめで、一途である。猪突猛進タイプ。
タイラ =♂ 少年(19歳)レーゼの弟子で、白魔道を学んでいる。言葉は悪いがおひとよし。クックに惚れている。
レーゼ =♀ 大人(見た目40歳くらい)白の魔法使い。厳しい口調だが、優しさも持っている。実際の年齢は不詳
ザリス =♂ (60歳くらい)黒の魔法使い。ポルクにやぶれ、右腕を失くし、復讐にもえている。
ゴラス =♂ (50歳くらい)元黒き王の近衛隊長で、イザクの前の貴族長。
黒の王国随一の剣豪と言われていたが、イザクが貴族長になってから影が薄い。
ペドル =♂ (30歳くらい)ゴラスの弟子で、主人に忠実。人はいいが、頭が悪くのろまである。
術も剣も上達していない。
ナ レ =♂or♀(年齢性別不問)
クック =♀
タイラ =♂ (セリフ少ないのでペドルと被りOK)
レーゼ =♀
ザリス =♂
ゴラス =♂
ペドル =♂
ナ レ =♂or♀
聖域の村レーゼの屋敷-----------------------------------
ナ レ:タイラとクックはレーゼに課せられた任務をいったん中断し、
聖域の村に帰っていました。
レーゼ:二人ともごくろうであったな。
タイラ:はい。でも三の村の浄化はできずじまいだし、
任務の半分も進みませんでした。
クック:・・・・・・・・・・・・
レーゼ:しかたあるまい。
予想外の出来事も多かったろう。
次は私も共に行こう。
タイラ:レーゼ様がですか?
そいつは心強いけど、俺達だってまだまだやれますよ!?
レーゼ:わかっている。
しかし、どうやら事を少しばかり急がなくてはならないようだしな・・・
ナ レ:レーゼは部屋の隅に置いてある、白いテーブルにちらりと目を向けました。
そこに置かれていたのは、あのイザクの折鶴でした。
タイラ:なにか問題でも起きたんですか?
レーゼ:ふむ・・・心配するな。
問題というほどではない。
ただ、お前達だけでは対処できないことも、今後でてくるということだ。
タイラ:たしかに、最後に見た黒の使い手は恐ろしい力を持っていました!
正直、俺達じゃかなわないと・・・・・
レーゼ:まだまだ勉強しなければならないことが、多いということだ。
さて、今日はもう休め。
タイラ:あ・・はい!ありがとうございます。
レーゼ:クック、お前は残れ。少し話がある。
クック:・・・はい。
タイラ:(小声で)クック!ちゃんとレーゼ様に相談しろよ!
きっと進むべき道を教えてくださるはずだぜ!
じゃあな!
ナ レ:そういうと、タイラは部屋から出て行きました。
後に残ったクックはうつむいたまま、ただただ黙っていました。
レーゼ:クック。私に何か聞きたいことがあるんじゃないのか?
クック:・・・・・聞きたいことなんて・・・別に・・・
レーゼ:どうした?遠慮なく話してみろ。
言いたいことがあるのだろう?
顔に書いてあるぞ?
クック:え!?
ナ レ:クックは慌てて自分の顔を両手で覆いました。
クック:・・・何て書いてあるんですか?
レーゼ:ん?
あっはははははは。
クック!今のお前は迷いの森に迷い込んだ妖精だな。
せっかくの美しい羽と心が、くすんでみえるぞ?
クック:迷いの森の妖精?
レーゼ:そうだ。今のままでは、進むべき道もわからないまま、
悶々とした日々を過ごすだけだと言っているのだ。
クック:レーゼさまぁぁぁぁ!!
ナ レ:クックは泣きじゃくりながら、レーゼに抱きつきました。
レーゼは思いがけぬ、ぬくもりに少し驚いたようでした。
しかし、すぐに平常を取り戻すと、わが身にしがみ付くクックの
頭をそっと撫でました。
クック:私・・どうすればいいんですか?
レーゼ:まずは落ち着いて、伝えたいことを考えてごらん。
次に、何があったのか順番に話してみなさい。
そして、自分の気持ちは最後に話しなさい。
ナ レ:クックは、こくりと肯きました。
漆黒の町ゴラスの屋敷--------------------------
ザリス:おい!
ゴラス様はまだか?
ペドル:も・・もう少しで、い・・いらっしゃると思います。
ザリス:まったく・・
このワシをこんなに待たせるとは・・・
しかも、こんな頭の悪そうな弟子一人にワシの相手をさせるなんて・・・
ナ レ:漆黒の町の貴族の一人ゴラスを訪ねてきたザリスでしたが、
部屋に通されたまではよかったのですが、もうかれこれ小一時間ほど
待たされて、イライラしていました。
ペドル:マ・・マスターはもう少しで、も・・戻られると思いますので・・はい・・・
ザリス:ふん!そう願いたいワイ!
ナ レ:しばらくすると、ドカドカと屋敷中に響き渡る大きな足音が近づいてきました。
ペドル:お・・お帰りなさいませ!マスター!
ゴラス:いやあ、待たせたましたな。ザリス殿。
ザリス:とんでもありませぬ!
お忙しい中、こんなジジイのために、
時間を割いていただいて、もうしわけありませんのう。
ゴラス:いやいや!!なにか今日は私にとって特別な情報をもってきていただいたとか?
いったいどのような・・・・
ザリス:左様・・・・
しかしその前にちいとばかり、確認しておきたい事がありましてな・・・
ゴラス:確認とな!?いったいどんなことですかな?
ザリス:フム・・・
ゴラス様といえば、この黒き王国の中でも屈指の貴族で、
魔力もさることながら、剣の腕は国一番との噂をよくよく耳にしておりますぞ!
ゴラス:ぐわっはっはっは!これはこれは・・・
私のようなものに、そのような世辞をくださるとは・・・
ザリス殿こそ、なかなかの術師だと存じておるが・・
ザリス:まあまあ、話はこれからじゃ。
だれも、おべっかの言い合いに来たわけじゃないわい。
つまり、あんたは剣の腕こそ一流じゃが、魔道師としての実力はまだまだということじゃ!
ゴラス:なんと!!!
ペドル:(M)・・ゴ・・ゴラスさまが一番気にしてることを・・・
ザリス:おまけに、黒き王に取り入る器用さも無いゆえ、
あとから町に来た、若いイザクにその地位を奪われおった。
ゴラス:ムムっ!!
ペドル:(M)な・・なんてことを・・ゴ・・ゴラス様に殺される・・・・
ナ レ:ゴラスの顔がこわばり、瞬く間に顔が真っ赤に高潮していきました。
今や鬼のような形相になっている、ゴラスに気づきもせず、
ザリスは喋りつづけました。
ザリス:そんなことじゃから、他の貴族から
兵卒上がりの貴族は駄目だとか、
筋肉馬鹿だとか、言われるんじゃ!
ゴラス:筋肉馬鹿・・・・・!
貴様ぁ!!言わせておけば、好きなことを言いおって!!
そこになおれい!!そのウス汚い首を一太刀で刎ねてやろう!
このゴラス腐っても、元近衛隊長だ!!
ここまで侮辱されて、黙っておるわけにはいかん!!
ペドル!!剣を持ってまいれ!!
ペドル:かっかしこまりましたマスター!す・・・すぐお持ちします!!
ナ レ:ペドルは部屋の外に走り出しました。
ザリス:うひゃああああ!!
まままま・・・待ってくだされ!!
今わしが言っていたことは・・・・・
ゴラス:この期に及んで、言い訳を!?
そのよく廻る舌から切り取ってやるから覚悟するがいい!!
ザリス:おおお待ちくだされ!!わしじゃない!!
イ・・イザクのやつ・・・そう!イザクめが、
そんなひどいことを言っておったのですぅぅぅ!!
ゴラス:ムウ!!
それは・・・誠か!?
ザリス:ははあ!!
わしの尊敬するゴラス様のことを・・・
まったくもって許せないことでしてぇ・・・
ゴラス:おのれ・・・イザクめぇ・・・・
ナ レ:怒りに震えていたゴラスでしたが、イザクの名前を聞いたとたん、力なくドスリと椅子に座り込みました。
ザリス:とんでもない奴ですな!!
ゴラス:ムウウウ・・・・・
ザリス:ん!?
ゴラス様!!
ゴラス:なんだ?
ザリス:いや、もっとこう・・カーッとならないのですか?
さっきワシに怒ったように、首をはねてやる〜!!とか?
ゴラス:いや・・・・・
ザリス:なんでじゃ!!
もっとこう・・・
馬をだせ〜!!とか
剣をもってまいれ〜!!とか
来ると思ったのにのう・・・
ゴラス:イザクは本に強いしな・・・
魔力ではまったくもって、あやつに勝てんわい。
しかも、あやつには優秀な弟子が2人もおるというではないか!?
ザリス:優秀な弟子じゃと?・・・・ふん!!
(小声で)ポルクの奴め、調子にのりおって・・・
ゴラス:剣の腕では負ける気はせんが、イザクの黒魔法は天下一品だ。
弟子二人と、束になってこられたら、わしとて、ひとたまりもないわ。
わが弟子のペドルはと言えば、剣の腕も中途半端だし、黒魔法は肝心の
魔力が弱くて役に立たん・・・
ザリス:いやいや、あの弟子はいけませんな・・・
なんせ、頭が悪すぎる!!しかし・・・・
ひひひ・・その役立たずに強い魔力を授けてみてはいかがかな?
ゴラス:何!?
あのペドルに強い魔力をを授ける?そんなことができるのか?
ザリス:できますとも!!
ワシの術をもってすればのう!!
弟子に強い魔力を身に付けさせ、その力を利用して、
ゴラス様の自慢の剣に、魔力を宿し闘えば、いかに貴族の名手イザクとはいえ、
かなわないでしょう!
ゴラス:ふむ・・・・・おもしろい。
その話もっと詳しく聞かせてもらおうか・・・
ザリス:もちろんですとも!!
(M)ひっひっひ・・・これでイザクのやつに一泡ふかせてやることができるわい・・・・
結界の村レーゼの屋敷--------------------------------------------------------------------
ナ レ:クックは結界の外で自分が体験したことを、事細かにレーゼに話しました。
三の村での戦い・・・
ついに見つけることが出来たポルクの、成長した姿・・・
そして、目にした悲惨な光景・・・
レーゼはクックが話し終わるまで、ただただ、黙って聞いていました。
レーゼ:そうか・・・
クックもつらい思いをしたな・・・
クック:わたし・・どうすればいいのか判らなくて・・・
レーゼ:しかし、タイラのやつも成長したな。
クック:タイラが?
レーゼ:そうだ。タイラの言葉を思い出してみろ。
クック:・・・私が本当にポルクのことを愛しているなら、
ポルクの幸せだけを考えてやれっていう言葉ですか?
レーゼ:そのとおり。その気持ちこそ、我らが力の源であり、
慈愛の神アガペーの古(いにしえ)からお言葉なのだ。
クック:慈愛の・・・心?
レーゼ:いかにも。見返りを求めない愛こそ、本当の愛なのだ。
クック:見返りを求めない・・・
レーゼ様!!
私、難しいことはよくわからないけど、タイラのその言葉を聴いて、
自分が恥ずかしくなったの!
レーゼ:ほう・・どうしてだ?
クック:だって、私ったらポルクのこと愛しているなんて言っておいて、
ポルクの今の生活とか、気持ちなんてこと理解しようとはしてなかったんだもの。
そんなの愛情なんかじゃないわ!
レーゼ:そうだな・・・・・
クックはよくそこに気づくことができたな。
クック:タイラのおかげです!あの時タイラが私を止めてくれていなければ、
今頃わたし・・きっと後悔していたわ!!
レーゼ:それで、クックはこれからどうしたらいいと思うのだ?
クック:正直わかりません・・・・
でも、今度ポルクに会ったら、きっとこの間より、
ずっと素直に気持ちをぶつけることが出来ると思うわ。
レーゼ:ほう・・・・
今度会ったら、なんと声をかけるつもりかな?
クック:う〜ん・・・・・・
ナ レ:クックはしばらくの間、レーゼの部屋に灯(とも)されている、ペチカの火に目をやり
考えました。
ゆらゆらと揺れるやさしい炎の中にポルクの顔が浮かんだような気がしました。
そして思いついたように言いました。
クック:ひさしぶり!!
・・・・かな・・・・
レーゼ:あっははははは。クック・・それでいい。
それでいいのだ!
・・・他に心配事はないかな?
クック:ありません!
レーゼ様・・・私とてもすっきりしたわ!
今度はレーゼ様も一緒に行ってくださるっていうし、
楽しくなりそう!
レーゼ:おほん・・・遊びではないのだがな・・・
しかし、心配はいらない。
私がお前達二人を導くから、しっかりとついてきなさい。
クック:わかりました!!
ナ レ:クックは元気いっぱいに返事をしました。
でも、本当はもうひとつだけ、聞きたいことがあったのです。
ザリスが言ったあの一言。
「レーゼ・ライラ」とういうのが、レーゼの名前だとしたら、
自分や自分の家族と、いったいどういう関係があるのか。
クック:(M)でも・・・・・
今は聞かないでおこう・・・
本当に私のおばあさまなら、いつかきっと打ち明けてくださるはずだわ。
言わないってことは何か理由があるはずよ!
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ペドル:マスター!!お・・お待たせしました!!
ゴラス:剣一つをもってくるのに、どれだけ時間をかけておるのだ!!
まったくもって使えん奴だ・・・
ペドル:も・・・もうしわけございません・・・へ・・部屋を飛び出したまではよかったのですが、
ど・・どの剣をお持ちすればいいのか、サ・・サッパリわかりませんで・・・
ゴラス:まあいい。ペドルよ、そこに座れ・・・
ペドル:え!?あ・・・・はい!
ナ レ:いつもなら顔を真っ赤にして怒るはずのゴラスが、今日に限って、
ペドルのミスを怒りもせず、淡々としているのを見て、ペドルはキョトンとしました。
ゴラス:お前はわしの弟子となって10年、いまだに術も剣も未熟で、
戦いの経験もない。使いを頼んでも、万事が今のようにのろくて、
役に立たん・・・
ペドル:す・・すみません・・・
わたくし、ゴラス様の恩に報いるために、が・・がんばってるつもりなのですが、
ど・・どうしても、のろまで・・・お・・お役に立てていません・・・
ゴラス:ほう・・役に立ちたいとは思っておるのだな?
ペドル:も・・もちろんです!!
ゴラス:ペドルよ!わしの役に立つことならなんでもするか!!?
ペドル:はい!!このペドル、ゴラス様の為なら命も投げ出す覚悟です!!
ゴラス:よく言ったペドルよ!
では、これをその身に取り込むがいい。
ペドル:こ・・これは!?
ナ レ:ゴラスが差し出した、赤ん坊のこぶし程の大きさの、怪しく光る黒い結晶を見たペドルは、
得体の知れない恐怖を感じていました。
ペドル:・・・こ・・・これは一体、何でしょうか?
ゴラス:案ずるな!役に立たぬお前に力を授けてくれる、魔法の石だ。
ささ!その石を飲み込むがいい。
ペドル:し・・しかし、わたくし、そ・・そのような石の話を聞いたことがありませんで・・
そ・・そんなものを飲み込むのは、お・・恐ろしゅうございます・・・
ゴラス:貴様、さっき私の役に立ちたいと言ったではないか!!
さっさと飲まんか!!!
ペドル:ひいいいぃぃぃ!!!
ナ レ:ゴラスは、涙をながして嫌がるペドルの後頭部を押さえつけ、無理やりに黒の結晶をペドルの口に
ねじ込みました。
必死にばたばたと抵抗するペドルでしたが、しばらくして、諦めたのか動かなくなりました。
そして、少しの時間の後、ペドルに変化が現れました。
ペドル:う・・・・うおおおおおおお!!!
か・・身体が・・・身体がああああああ!!
ナ レ:ペドルの涙が、黒くにごり、その白目も黒く染まっていきました。
そして断末魔の悲鳴のような声のあと、ペドルはバタリと床に倒れこみました。
しかし、気を失ったペドルの身体の変化は止まりませんでした。
身体中のいたるところから、黒い氷柱(つらら)のようなものが、皮膚を突き破って
真っ黒な血しぶきと共に、のびてきました。
ゴラス:うう・・・これほど無惨な姿になるとは・・・
ナ レ:ペドルの様子を見ていたゴラスは、ペドルのあまりに悲惨な変体の過程を目の当たりにして、
胃の中のものが、込みあげてくるのを感じました。
ゴラス:おええええぇぇ・・げほげほ・・
ゆ・・許せよ・・・ペドル・・・
貴様の犠牲は無駄にはせん!
必ずやイザクを倒し、このゴラス・・・貴族長に返り咲いてみせるわ!
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