井上あずみデビュー25周年記念ミニアルバム『Harmony』発売! 井上あずみロングインタビュー!

『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』など、スタジオジブリ楽曲で知られる井上あずみが、デビュー25周年を記念したアルバム『Harmony』をリリースした。25年もの間、色褪せることのないその美しい声に彩られたアルバム、そして「君をのせて」「となりのトトロ」の名曲たちの誕生秘話など、さまざまな角度から彼女の25年に迫ってみた。衝撃の事実なども飛び出す超貴重な10000字インタヴュー!(文:澄川龍一)


――このたびリリースされたアルバム『Harmony』にも銘打っていますが、今年はデビュー25周年なんですよね。これまでのキャリアを振り返ってみて今はどういうお気持ちですか?

井上あずみ(以下:井上) あっという間に過ぎた25周年なのですが、『天空の城ラピュタ』が22年前、『となりのトトロ』が20年前の作品になるんですね。実質的にファミリーコンサートを始めたのが15年くらい前で、実を言うとあの当時は『ラピュタ』や『トトロ』を歌いながら、バイトをしていたんですね。

――えっ? それは意外ですね。

井上 皆さん「えーっ!?」て言うんですが、喫茶店や本屋さんでバイトしたり、広告代理店をかじっていたり、いろんなことをしてやっと15年くらい前から本当に歌手として生活できるようになったんです。

――では、後発的に『ラピュタ』『トトロ』が注目されるようになってから、周囲もガラリと変わったりしたのですか?

井上 ちょうど『となりのトトロ』が映画の賞をたくさん取ったときがあったんですよ。『キネマ旬報』(日本映画ベストテンなど。88年)第1位、『毎日映画コンクール』(日本映画大賞など。88年)、あと報知映画賞(第13回監督賞)、いろんな映画の中で邦画と同じようにアニメーションで1位になったのって、『となりのトトロ』が初めてなんですよ。で、そこでみんなが「『となりのトトロ』とは何ぞや」と、すぐにビデオが発売されたんですね。そこで劇場に行ってない人たちも『トトロ』を観なきゃと。こんなに賞を取ることは素晴らしいんだということで、アニメファン以外の方も一般の方がみんなも観るようになったんですよ。そしたら、『トトロ』ってお子さんだけではなくて、大人も十分観賞できる作品なんだということで、もう爆発的にヒットしたんですよ。

――なるほど。

井上 ですから、「となりのトトロ」を歌っていたときはあんまりヒットしなかったんですが、その後から「『トトロ』ってすごくいい映画だよね」と言われ、「さんぽ」や「となりのトトロ」をみんなが歌うようになったんですね。で、『魔女の宅急便』が上映されたときは「ヴォーカルアルバムを出すから、あずみちゃん歌ってみる?」というお話をいただき、「どんな作品かきっと知らないと思うから、映画館でちょっと観てきて」と言われて(笑)。それで『魔女の宅急便』を映画館で観て「すごくいい映画だな。これで何をやるのかな」と思って、「タタン、タタン♪」(「めぐる季節」のメロディを口ずさむ)と映画で流れてくるメロディに女性の声を集めて詞をつけてヴォーカルアルバムを出すので、「じゃあ、あずみちゃんも参加して」ということで参加させてもらったんですね。それが「めぐる季節」なんですよ。だから、一つ一つの作品の関わり方がちょっと違うんですね。『ラピュタ』は8月上映だったのですが、お話が来たのは6月で。

――えっ!? ものすごくギリギリじゃないですか(笑)。

井上 本当に間近で、映画の内容も知らず(笑)、曲だけ聴いて「いい曲だな“君をのせて”。こういう曲を待っていたんだ」と思って、オーディションを受けたら受かって。だから、パンフレットやポスターには私の名前は入ってないんですね。

――もう間に合わなくて。

井上 そう。間に合わなくて。イメージソングということで小幡洋子ちゃんが歌っている「もしも空を飛べたら」は載っているんです。だから、「君をのせて」はEDテーマじゃないんですよね。あくまで挿入歌なんです。

――流れるのはエンディングだけれども。

井上 で、『天空の城ラピュタ』はそういうこともあったので、宮崎監督が次にトトロという物の怪が心の綺麗な人しか見られないというお話を聞いて、「絶対やりたい!」と思い「スタッフの一員でもいいので!」って直談判しました(笑)。「じゃあ、ちょっと参加する?」ということで絵コンテまで見させていただいて。映画の前に「こういった感じの作品ですよ」みたいなことを軽くアピールするためのイメージソング集のアルバムを出したんですけど、それに仮歌から参加させていただきました。ここ(ティームエンタテインメント)の社長の北原拓さんも、「ねこバス」を歌っていて。

――そういう繋がりがあったんですね(笑)。

井上 そうなんですよ。社長さんとは20年前くらいからのお友達なんです。今回は縁があって『Harmony』を出させていただいて。ティームさんにとっても、私にとっても、北原拓さんにとっても記念のアルバムです(笑)。

――では、「君をのせて」や「となりのトトロ」が20年以上に渡って歌い継がれていく楽曲になるとは、当時は……。

井上 全然思っていませんでした(笑)。そういう余裕もなかったですね。だから、時代がちょうどピッタリになってきたのかな、私に(笑)。

――時代が井上さんに追いついた。

井上 いや、私がやっと追いついたのかな(笑)。で、こんな素敵な作品に関わってきたのに、「なんで私バイトしているんだろう」って思って(笑)。そう思ったときに、結局生の歌を間近でみんなに聴いてもらわなきゃいけないんだということで、テレビやラジオに出ることが自分でできないんだったら、もう何か付加価値を付けて、コンサートに呼んでもらう、来てもらうということをしたほうがいいということがわかって。当時は自分の中で“歌のお姉さん”的な地位があまり好きではなかったんですね、「私は歌手だし」みたいなところがあったので。それではダメなんだということがわかり、もう“歌のお姉さん”と言われてもいいと。とりあえずみんなに歌を聴いてもらおうと、自分の気持ちに整理をつけたんですね。こんなにいい作品を歌わせていただいているのに、これは自分の中で考えを変えなきゃダメだと思って、15年前からファミリーコンサートを始めたんですね。

――楽曲のヒットという前に、井上さんの気持ちに変化があったわけですね。

井上 それでファミリーコンサートをやったら大変だとわかりました。子供って、30分コンサートをやるとすぐ飽きるんですよ。大人のほうがまだつまらなくてもちゃんと聴いてくれる。でも、子供ってつまらないものはつまらないんですね。だから、初めは前のほうに座って待っているんですけど、つまらないなと思ったらお母さんと一緒にサーっていなくなってしまうんですよ。

――ぐずってしまったり。

井上 そうそう、ぐずっちゃったり「うえー」って泣いたり。お母さんたちは観たいんですけど、子供は「帰る帰る」って言いますよね。

――ちょっとでも面白くないと思った瞬間、もう我慢できなくなってしまう感じですよね。

井上 コンサートをやって歌のお姉さんの人を引き付ける力はすごいな、本当に大変だなって思いました。いや本当に申し訳ありませんでしたっていう感じです。

――子供もいるので普通のライブとはまた違いますよね。

井上 全然違いますね。15年前の当時はお母さんとお子さんとか、おばあちゃんとお孫さんが主にいらっしゃったのですが、今は家族みんなでコンサートに来る。お父さんも子育てをしなければいけない時代になってきたので、家族皆さんでいらっしゃっている方が多いんですね。あと、どうして時代が合ってきたかというと、20年前にお子さんだった方が今はお父さんお母さんになっているんですよ。で、『ラピュタ』などの当時に子供だった人がちょうど今25、6歳になっている。あの当時にお父さんお母さんだった人たちが、今はお孫さんを連れてくる。だから現在は3世代に渡って、すごく層が厚くなっているんですよね。本当に幅広い方が来てくれているので、歌のお姉さんの要素以外のものを見せないといけないんですよ。童謡やポップスを歌ったり、絵本の読み聞かせもしたり。いろんなジャンルの歌を歌える客層になってきた。

――世代によって好きな作品も違ってきますよね。

井上 子供たちは「さんぽ」と「となりのトトロ」を歌えばバッチリなんですよ。一緒に歌いに来たんですから(笑)。で、中学生高校生の人たちは合唱コンクールで「君をのせて」を歌ったりするので、あの歌を歌っている人を生で聴きたいと思って来るし、『魔女の宅急便』が大好きな人たちは小学生から高校生くらい、あとOLさんも大好きなんですよね。だから、「『魔女の宅急便』大好きなんで、“めぐる季節”を歌ってください」とか。それぞれみんな好きな曲がみんなあるんです。

――なるほど。

井上 本当にファミリーコンサートをやっていてよかったなあと。今だいたい年に80ヶ所くらいやらせていただいているのですが、過去の作品だからどんどん仕事が減るような気がしますよね。全然そうではなくて、どんどん広がってきて。たとえば「絵本の読み聞かせをコンサートでやってください」などがあって。あとNHKの「みんなのうた」のタイトルコールも去年の4月からやらせていただいているので、「みんなのうた」のファンの方がいらっしゃったりするので。

――まさにこの25年の積み重ねですよね。

井上 だからこそこうやって、井上あずみですと言ったときに、ティームさんもそうですが、こうやってアルバムを出していただけたり、いろんなお話がこうやって来たりするんだなあって思いますね。だから、本当にファンの方に支えられている。

――例えば最近でもJanne Da Arcのコーラスをやられていたり、Sound Horizonのアルバムにも参加されましたが。

井上 そうそう。(Sound Horizon の)Revoくんが『ラピュタ』大好きで、それで一緒に仕事がしたいということで、オファーが来たんですね。

――当時『ラピュタ』『トトロ』世代の人たちが今、こうして井上さんとコラボしたいという気持ちはよくわかります。それができるのも、井上さんの変わらない声があるからなのかなと。

井上 そうですね。Janne Da Arcのyasuくんは友達なんですけど、「あずみさんの『ラピュタ』大好きで、ああいうイメージの透明感のある曲を作ったんで、参加してもらえませんか」とやっぱり言われました(笑)。「いいよ。どんな感じ?」って言ったら、またそれがすごく難しいんだよね(笑)。言葉こそないのですが「アー」という感じで空、星から見守るお母さん。でも、実は女王さまで、冷たいんだけど優しいそういうイメージの曲なんですよ(笑)。で、Revoくんのほうは、私はSound HorizonやRevoくんのことを全然知らなかったんですよ。それで、ライブを観に行ったときに、「こういう王国があるんだ」と(笑)。

――移動王国ですからね(笑)。

井上 すごい世界だなあと。私、実はゲームやアニメ、マンガが大好きなので、「こういう世界か。そっか、マンガを実写でやるとこんな感じなのかな」みたいな(笑)。

――すぐ対応できたという(笑)。

井上 私もなりきれるので、すぐに対応できましたね(笑)。一緒にやったYUUKIちゃんもすごくいい子でした。あの当時、まだ学生だったので、レコーディングしているときにセーラー服で来たんですよ。「このかわいい子は誰だろう」と思ったら、彼女が一緒に歌うということで、「ああそうなんですか」って(笑)。それで「星屑の革紐」は、お母さんみたいなイメージで歌ってくださいと。死んじゃったお母さんなんだけどいつも彼女の心の中にはいて、でも犬なんだよねという説明を、Revoくんから受けても全然わかんなくて(笑)。「フランス語で言ってほしいんですよ」と言われたり(笑)。Revoくんも面白かったし、yasuくんも面白かった。それぞれやっぱり世界観をみんな持っているんですね。だから、みんなが付いてくるんだなと思うし。

――さて、そんななかリリースされた、25周年記念アルバム『Harmony』ですが、そんな井上さんの魅力的な声が詰まった作品になりましたね。

井上 これも結局、声質ですね。お母さんっぽい声とちょっと安らぎのある声と冷たい声と、宮崎さんもそうでしたが、声質を愛してくださっているのかなあと思いますね。だから「ハーモニー」はお姉さん的な感じで子供と歌っていますし、「花みずきの詩」は今風の歌い方をしています。「テレシーズと歩こう」もテレビ静岡でキャラクターソングなんですね。せっかくこういうキャラクターの歌や、いろんなテレビCMの曲のイメージソングも歌っているので「じゃあ、これを一つのアルバムにしちゃおうよ」と始まったのが『Harmony』なんですね。

――なるほど。

井上 一つ一つシングルになっても良かったのですが、CM曲やキャラクターソングだから短いと。みんな集めて一つの曲、アルバムにしたほうが、「あずみさん、アニメーション以外でもやっているんですね」とわかってもらえるかなと思って、アルバムにしました。それで、今回の「ハーモニー」は『みんなのうた』のテーマ曲。これは10秒くらいしかないのですが、もともとフルサイズであるんですよ。『みんなのうた』の特番だとEDテーマで流れたりするんですね。もともとこれは合唱曲として、合唱団が歌っていたのをひばり児童合唱団と私でカバーをした。

――それぞれ歌われた時期はバラバラなんですか。

井上 バラバラですね。「ハーモニー」と「小さな写真」はついこないだレコーディングしました。またギリギリで(笑)。

――原点回帰ですね(笑)。

井上 またいつものパターン(笑)。「花みずきの詩」と「テレシーズと歩こう」は去年です。で、「てのひらに風の色」は18年前の私の歌です。

――今年録ったものから18年前の楽曲も収録されていますが、通して聴いても特に違和感がなかったんですよね。

井上 そうですね。私も自分で18年前のやつを入れると、声が若かったり歌い方もいろいろあるので、ちょっと恥ずかしいなと思ったのですが、こうして聴いてみるとあんまり違和感なく聴けたので、「私、あんまり進歩してないのかな」と思いながら聴いていたんですけど(笑)。でも、あまり変わらないということは良いことですよね。何にしても井上あずみというのが残っているということなので。

――衰えていない、というところですよね。変わらないことに関しても、オリジナルを聴き続けているし、特に子供はそういう変化に敏感ですよね。

井上 敏感ですね。

――今回はヴォーカルもそうですし、サウンドも「てのひらに風の色」が18年前の音という印象もなかったんですよね。

井上 それ、私も言われました。「てのひらに風の色」って鈴木キサブローさんが作曲なさっているのですが、これは全部生音らしいんですよ。だから時代を感じさせないというか。今はすごく音も良くなっていますけど、みんなコンピュータで入れたりしますよね。久石譲さんはちゃんと生弦も使っていらっしゃいますが。だから、なおさら古くは感じないのかもしれないですね。大きいイメージですよね。

――井上さんの楽曲が世代を超えて支持されているのはそこにもあるのかなと。

井上 「花みずきの詩」はいつも私と一緒にコンサートを周ってくれているピアニストの方が作ってくれているので、「こういうふうにアレンジするとあずみさんの声が活きるね」と私の声質もすごくわかってくれています。みんなそうですが、声質をピックアップできるようにアレンジしてくださっているなと思いますね。

――今回新録された「小さな写真」は『トトロ』のヴォーカルアルバムに収録されていた楽曲のカバーですよね。

井上 オリジナルは久石さんが歌ってらっしゃって、上條恒彦さんがハウス食品のCMでも歌っている楽曲ですよね。男の方が歌ってらっしゃるのとはちょっと違った、お母さんが歌っている感じにしました。

――今回この曲にしようと思ったのはなにかあったんですか。

井上 実はですね、20年前にこの「小さな写真」の仮歌を私が歌わせていただいたときに、「いい曲だな、この曲私が歌えたらいいな」とすごく思っていたんです。詞も宮崎監督だし、久石さんも素晴らしいメロディを作られて……そしたら久石さんが歌われて(笑)、ずっと心残りの歌だったんですね。

――20年の時を経て、やっと収録できたわけですね。

井上 そう思っていた曲なのでコンサートでも歌わせていただいたんですよ。で、皆さんから「これ、あずみさんでCDにならないんですか」ということをよく言われまして。「じゃあCDにしちゃおうかな」と思って入れました。これ本当に名曲なんですよ。『となりのトトロ』ではこのメロディは出てこないのですが、曲として完成度が高いし、やっぱり宮崎さんの書いている詞がすごくいい詞で。私もそろそろ4歳になる娘がいるのですが、お母さんになったらまたちょっと違った感覚で歌えるかなというのもあるのと、娘に対してこの曲を歌いたいなと。個人的に言うと娘にも残してあげたいなと思ったので。

――なるほど。

井上 娘が大きくなったときに「ママが歌っているこの『小さな写真』っていいね。私もこういう曲を歌いたい」と言ってくれるといいなと思って。これは残しておくべきだなと思ったんですね。もちろん全部の曲がこれからもずっと残していきたい楽曲ですが、特に思い入れがあったのは「小さな写真」ですね。あと、「ハーモニー」も音楽の教科書に載ることができるくらいすごくいい曲だなと思っているんです(笑)。NHKの全国音楽コンクールで課題曲にならないかなと思うくらい。

――聴いていて思うのは、本当に楽曲として綺麗に耳に入っていくんですよね。アレンジもそうですし、ヴォーカルもそうです。

井上 わかりやすい曲ですよね。「さんぽ」や「となりのトトロ」とか「君をのせて」って、みんなが今でも大好きな曲じゃないですか。やっぱり曲がシンプルですよね。今はすごく難しい曲が多い中で、こういったシンプルな曲を残していくべきじゃないかなって私は思います。

――“残す”ということは、それこそ『トトロ』や『ラピュタ』で、すでに実践をされていますよね。

井上 よく言われます、いろんなアーティストの方に。「あずみちゃんさ、“さんぽ”も“となりのトトロ”も“君をのせて”もみんな知っている曲を歌っているわけじゃん。歌い継がれているじゃない?」って。で、その「ビリーブ」という曲も自分の歌にしちゃっているし(笑)。で、よく言われるのは「ずるいよね」って(笑)。で、また「ハーモニー」とかを歌うと、「またあずみちゃん歌い継がれていく歌を残していこうと思って作ったでしょう、ずるいよ」とか言われて(笑)。どんどんある意味では貪欲でいこうかなと(笑)。

――歌い継ぎまくる。

井上 はい。そう思っています(笑)。もうバイトしなくてもいいように頑張ろう(笑)。30年も40年も歌い継がれていく歌を歌っていこうと思って。

――そういった歌い継ぐところで、今回も8月のホール・ツアーですよね。

井上 これはですね、歌い継がれていくコンサートではないんです。実を言うと、このコンサートでしかやらない演目なんです。ジブリさんに絵を借りたり、それこそ影絵を出したり、照明を仕込んで、ねこバスが出たり。今回は25周年なのでやらせていただきました。

――それはそれでかなりレアなステージですね。もちろん初めての試みですよね?

井上 そうです。初めての試みで、第1部と第2部で別れているんですけど、第1部はスタジオジブリ作品名曲コンサートと題しているので、ジブリさんの作品、私以外でも素敵な方がたくさん歌っている曲がいっぱいありますよね。それをメドレーでみなさんに聴いていただいたり、あと25周年ということで井上あずみの曲を聴いていただいたりするんですけれども、第2部はガラっと変わってみんなで『となりのトトロ』を体感してもらおうと。先ほど言いましたイメージアルバムの歌を歌いながらそれに沿って、『となりのトトロ』のお話を読み聞かせすると。たとえば、サツキちゃんとメイちゃんが田舎に引越しをしてくるシーンだと、「タンタンタラララン♪」と入って絵や影絵が出てきたり。『となりのトトロ』を40分で朗読する、歌も歌う、サツキちゃんとメイちゃんになっちゃうみたいな。

――これは『トトロ』を見た人にはたまらない内容ですね!

井上 ずっと40分間歌いっぱなし、喋りっぱなしなので、水が2、3本必要かな(笑)。お喋りって本当に発声が違うんですよ。メイちゃんが迷子になってサツキちゃんが一生懸命「メーイ!」って探すシーンがありますよね。それもやるんですよ。その後に「まいご」を歌うんですよ。けっこう大変じゃないですか?

――演技、ナレーション、歌のすべてを担当されるんですから大変どころじゃないですよ。

井上 そして場当たりもあるんですよ。こっち側で喋って、真ん中に来て歌って、それでまっくろくろすけがぐわって動いたりするんで、演技もしなきゃいけないし、大丈夫かなって。

――それをお一人で休みなくやると。

井上 それで、子供たちに「ねえねえ、黒くてさ、ぐわぐわぐわってヤツ出てきたよね、なんだっけ?」と言って、子どもたちに言ってもらったりするところもあるんですよ。いろんなことをぐーっと40分でやると思うので、結構面白いと思います。

――これは、かなり観たいですね。

井上 どんなふうにやるんだろうって自分でも観たいです(笑)。だから、これは演出家の方はすごく大変だと思いますね。なるべくだったら、もちろん前で観てもらいたいのですが、ちょっと遠く離れて観るのもいいかもしれないですね。そのための大ホールなので。絵も見られて。最後には「となりのトトロ」を大合唱する。

――そういうのは、普段から作品と一緒に聴かせ続けてきたという、井上さんでしかできないところがありますね。

井上 女優ではないのですが、このときだけはちょっとミュージカルスターになる気持ちで頑張ろうかな(笑)。15年間ファミリーコンサートをやってきて、『トトロ』ではないものを10分から15分、絵本の読み聞かせをやってきたんですね。どういうところで子どもたちが引き込まれるかとか、お話をこうやってやれば、みんながもっとわかりやすいんだなとか、そういうのを勉強してきたことも、今回できるようになった要素ですね。これが初めてやるっていったらきっとできないと思うんですね。ただ、今までファミリーコンサートでやってきたことを糧にしてできるので、きっと安心して観てもらえると思います。

――井上さんの25周年を、ここだけの演出で観ることができるのは贅沢ですね。

井上 今までやってきたことの集大成が詰まっているコンサートなので、何回も私のコンサートに来てくださっている方も観てほしいですね。実を言うと「君をのせて」もすごいですよ。ちょっと言えないですけど(笑)、きっとびっくりします。もちろん絵も貸してもらえます。シータみたいに空から落ちてきませんけど(笑)。

――今回のアルバムもそうですし、親と子供だけではなく若者の層もあらためて井上さんに引き込まれる部分があると思うんですよね。

井上 そうですね。いろんな世代の人が聴けるアルバムですね。この人たちに聴いてくださいというのがないアルバムなので。あとインターネットって子供はしないですよね。今おっしゃった世代の人たちが、井上あずみと検索して、YouTubeなどを観て「へー」と思っている人はたくさんいると思うんですけど、ああいうインターネットが好きな人たちがこの『Harmony』を聴いても、全然違和感がないと思うんですね。その人いろんな好みがあると思うのですが、「僕は“ハーモニー”みたいな大きい感じの歌が好きだな」や、「小さい世界を歌っている“花みずきの詩”も女性的でいいね」という人もいれば、『トトロ』などのアップテンポが好きな人は「“テレシーズと歩こう”はかわいいよね」という方もいらっしゃる。『ラピュタ』のようなバラードが好きな方は、「てのひらに風の色」のような癖のない大きいテーマのものが好きな人もいるだろうし、いろんな要素が入っているアルバムなので、楽しめると思いますね。ぜひ、これはカラオケも入っているので、みなさん歌ってほしいなと。

――全曲のカラオケ・トラックをあえて入れたというのは、やはり歌ってもらいたいというところからですか?

井上 そうです。あえてです。やっぱり今はカラオケに小さい子も家族で行きますよね。で、カラオケがあると、空で歌うよりも音があったほうがみんな馴染みがあるし、コーラスも入れてあるんですよね。だから私のパターンのときも歌ってくれてもいいですし、「よし今日は合唱団を歌おう」とか、そういうこともできるアルバムなので、ぜひ井上あずみになったり、ひばり児童合唱団になったりしてくれればいいかなと思います。

――そういう意味を持ったカラオケ・ヴァージョンが入ることはいいことですよね。

井上 あと、「てのひらに風の色」はインストとして聴いてもすごくいい曲なんです。ずっと流していてもBGMになるアレンジって素晴らしいと思うんですよ。うちでは、娘が「ママの歌が入っている曲もいいけど、このカラオケもいいよね」って言っていて、ずっと流しっぱなしで、リフレインされている。それで「忘れないでね、どこまでも♪」ってコーラスの部分を歌うんですよ。本当に面白いですよ。そういう感覚でも聴いてもらえたらいいなと思います。アレンジャーのみなさんも素晴らしい方ばっかりなので。

――では最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。

井上 なるべく20年前の歌い方ができたらいいなとは思うのですが、時が経てば経つほど深みもあるような、今がちょうどいい感じで歌を歌ってきていると思うので、ぜひあの当時の井上あずみが好きだという方も、今の井上あずみの生の歌を間近でみなさんに聴いてもらえたらなと思います。べつにお子さん連れではなくても(笑)、そういう方もたくさんいらっしゃるので、子どもの心にかえって私のコンサートに遊びに来ていただけたらいいなと思います。


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井上あずみ『Harmony』
2008年7月23日発売
ティームエンタテインメント
品番:KDSD-225
税込価格:\1,600
井上あずみ『Harmony』


【収録曲】
01. ハーモニー
02. 花みずきの詩
03. テレシーズと歩こう
04. 小さな写真
05. てのひらに風の色
06. ハーモニー(Instrumental)
07. 花みずきの詩(Instrumental)
08. テレシーズと歩こう(Instrumental)
09. 小さな写真(Instrumental)
10. てのひらに風の色(Instrumental)


■井上あずみ デビュー25周年記念ツアー
スタジオジブリ作品名曲コンサート

【ツアー日程】
・千葉県文化会館 8月20日(水) 16:30開演
・習志野文化ホール 8月21日(木) 13:30開演
・大宮ソニックシティ 8月22日(金) 13:30開演
・グリーンホール相模大野 8月23日(土) 13:30開演
・新宿文化センター 8月24日(日) 13:30開演
・神奈川県民ホール 8月26日(火) 13:30開演
・府中の森芸術劇場 8月27日(水) 13:30開演
・所沢市民文化センター ミューズ マーキーホール 8月29日(金) 13:30開演/17:00開演
・群馬県民会館 8月30日(土) 13:30開演
・文京シビックホール 8月31日(日) 13:30開演

全席指定:4,000円(税込) ※3歳以上は有料となります
ローソンチケット:0570-000-407
光藍社:03-3943-9999


■井上あずみ公式ホームページ
http://www.doremi-net.com/


   




2008年07月31日

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