2007.08.23
御殿場事件・判決の矛盾
昨日だけで、2万件を大きく超えるアクセスがありました。
御殿場事件への関心の高さを改めて痛感しています。ありがとうございます。
スーパーモーニングをご覧になれなかった皆さんに、本日放送した昨日の判決への疑問を、ブログでもお伝えしようと思います。
控訴審でも、1年6月の実刑判決。その理由について、高裁は主に3点の理由をあげています。
1:新しい犯行日・2001年9月9日の天候について
判決理由ー「御殿場駅では、3ミリの雨が降っていたが、事件現場で雨は降っていたとは特定できない」
現場とされた中央公園の周囲は、当日台風15号の接近により、大雨洪水警報が出され、1ミリから3ミリの雨が計測されています。
高裁の判断は、これについて、「確かに周囲では降っていたが、現場だけは降っていない可能性がある」というものです。
気象協会によると、「現場だけ降っていないことはありえない」ということですが、仮に現場の中央公園だけ降っていなかったことにしましょう。
犯行日、少女は3ミリの雨が観測されている御殿場駅から、少年たちと徒歩で公園に移動し、その後も、夜11時に帰宅するまで、外にいたと供述しています。
その上で、少女は「服が濡れた覚えはない」「傘をさした覚えはない」と供述している。
公園の周囲は雨が観測されている9日の夜。移動している少女の頭の上だけ、雨が降らなかったのでしょうか。
少年たちの自白調書にも、雨に関する供述は出てきません。
疑問です。
2:少女の供述の信用性について
理由ー「犯行日については変更したが、経緯や状況については、具体的でほぼ一貫しているので、信用性を認められる」
少女の供述は、犯行日の変更のみならず、変遷しています。たとえば、
*「手首をつかまれ、無理やり連行された」は、後になって、「声をかけられたのが嬉しくて、自分からついていった」と、変わった。
*「脅されて、母に嘘電話した」は、後になって「電話はしていない」と変わった。
*「犯行時間は「夜の10時から11時くらい」が、「夜9時半前後」に変わった。
*「帰宅時間は、深夜12時すぎ」が、「夜11時ころに帰宅した」に変わった。
これだけではない、少女の供述の変遷がありながら、一貫性があると断言した高裁の判断は疑問です。
3:少年たちの自白調書の任意性について
理由ー「自白供述の任意性に、疑いを差し挟む余地はない」
川井被告と、勝俣被告が進んで書いたといわれる、直筆の申立書には、
川井被告「2001年9月16日の夜、中央公園でレイプしようとしました」
勝俣被告「去年の9月16日の夜のことは、後輩たちが話しているとおりだと思います」
とあって、日付けは少女が嘘をついた、最初の犯行日が書かれています。
自白に任意性があるというなら、犯行日が16日と少女が嘘をついている時点で、少年たちは「犯行日は9日だ」というのではないでしょうか。
また、少女を駅から連行したとされるA少年らの調書には、
「少女に命令し、家に嘘電話をかけさせた」
「手首をつかみ、無理やり連行した」
などとあり、これも上記で書いたとおり、少女が供述を変更する前の内容のまま。
さらに、
「現場の横にある、終日亭(東屋のような休憩所)には、ロープが張ってあり、入れなかった」
と、彼らの自白調書に書かれています。
確かに、最初の犯行日9月16日に、ロープは張ってありました。
しかし、公園の管理記録や、業者の証言により、このロープは9月14日に張られたものだと確認されています。
つまり、新しい犯行日の9月9日には、ロープはなかったのに、自白調書には、「張られていた」とある。
ロープの件は、控訴審で証拠採用されているのに、まったく判決要旨では触れられていません。
これだけを見ても、少年たちの供述に任意性を認めた高裁の判断は疑問です。
長くなりましたが、以上が、今回の控訴審の判決に、疑問を抱く主な理由です。
御殿場事件への関心の高さを改めて痛感しています。ありがとうございます。
スーパーモーニングをご覧になれなかった皆さんに、本日放送した昨日の判決への疑問を、ブログでもお伝えしようと思います。
控訴審でも、1年6月の実刑判決。その理由について、高裁は主に3点の理由をあげています。
1:新しい犯行日・2001年9月9日の天候について
判決理由ー「御殿場駅では、3ミリの雨が降っていたが、事件現場で雨は降っていたとは特定できない」
現場とされた中央公園の周囲は、当日台風15号の接近により、大雨洪水警報が出され、1ミリから3ミリの雨が計測されています。
高裁の判断は、これについて、「確かに周囲では降っていたが、現場だけは降っていない可能性がある」というものです。
気象協会によると、「現場だけ降っていないことはありえない」ということですが、仮に現場の中央公園だけ降っていなかったことにしましょう。
犯行日、少女は3ミリの雨が観測されている御殿場駅から、少年たちと徒歩で公園に移動し、その後も、夜11時に帰宅するまで、外にいたと供述しています。
その上で、少女は「服が濡れた覚えはない」「傘をさした覚えはない」と供述している。
公園の周囲は雨が観測されている9日の夜。移動している少女の頭の上だけ、雨が降らなかったのでしょうか。
少年たちの自白調書にも、雨に関する供述は出てきません。
疑問です。
2:少女の供述の信用性について
理由ー「犯行日については変更したが、経緯や状況については、具体的でほぼ一貫しているので、信用性を認められる」
少女の供述は、犯行日の変更のみならず、変遷しています。たとえば、
*「手首をつかまれ、無理やり連行された」は、後になって、「声をかけられたのが嬉しくて、自分からついていった」と、変わった。
*「脅されて、母に嘘電話した」は、後になって「電話はしていない」と変わった。
*「犯行時間は「夜の10時から11時くらい」が、「夜9時半前後」に変わった。
*「帰宅時間は、深夜12時すぎ」が、「夜11時ころに帰宅した」に変わった。
これだけではない、少女の供述の変遷がありながら、一貫性があると断言した高裁の判断は疑問です。
3:少年たちの自白調書の任意性について
理由ー「自白供述の任意性に、疑いを差し挟む余地はない」
川井被告と、勝俣被告が進んで書いたといわれる、直筆の申立書には、
川井被告「2001年9月16日の夜、中央公園でレイプしようとしました」
勝俣被告「去年の9月16日の夜のことは、後輩たちが話しているとおりだと思います」
とあって、日付けは少女が嘘をついた、最初の犯行日が書かれています。
自白に任意性があるというなら、犯行日が16日と少女が嘘をついている時点で、少年たちは「犯行日は9日だ」というのではないでしょうか。
また、少女を駅から連行したとされるA少年らの調書には、
「少女に命令し、家に嘘電話をかけさせた」
「手首をつかみ、無理やり連行した」
などとあり、これも上記で書いたとおり、少女が供述を変更する前の内容のまま。
さらに、
「現場の横にある、終日亭(東屋のような休憩所)には、ロープが張ってあり、入れなかった」
と、彼らの自白調書に書かれています。
確かに、最初の犯行日9月16日に、ロープは張ってありました。
しかし、公園の管理記録や、業者の証言により、このロープは9月14日に張られたものだと確認されています。
つまり、新しい犯行日の9月9日には、ロープはなかったのに、自白調書には、「張られていた」とある。
ロープの件は、控訴審で証拠採用されているのに、まったく判決要旨では触れられていません。
これだけを見ても、少年たちの供述に任意性を認めた高裁の判断は疑問です。
長くなりましたが、以上が、今回の控訴審の判決に、疑問を抱く主な理由です。
URL:http://yaplog.jp/nagano/archive/297