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大臣閣議後記者会見の概要 ( 2002/08/30 )
於記者会見室 10:40〜11:05


(閣議/閣僚懇)
 それでは、今日の閣議と閣僚懇談会のご報告をさせていただきます。
 一般案件は5件でありまして、当省関係はテロリスト等に対する資産凍結、これが1件ございました。国会提出案件、これは6件ございまして、当省関係はございません。公布、これは条約でございますけれども、3件、これも当省関係はございません。政令が10件ございまして、当省関係では、化学物質の審査、輸出貿易管理令、それから特定物質の規制等に対するオゾン層の保護について、これらはいずれも政令改正という形です。人事案件が4件ございまして、内閣総理大臣の海外出張についてございました。配布資料が3件ございました。

 大臣発言になりまして、総務大臣から、労働力調査結果、消費者物価指数、家計調査結果について報告がありまして、皆様方ご承知だと思いますが、7月の完全失業率が季節調整値で5.2、先月と同水準になったと、しかし前年同月と比べても非常に悪化をしていて、16カ月連続で水準を下回ったとの報告がございました。
 また、厚生労働大臣から、有効求人倍率については、0.52倍で前月の0.53倍を0.01ポイント上回ったと、こういう報告がございました。非常に厳しいと、こういう状況でございます。ただ、1点、主要産業における新規求人数の対前年同月の増減率によりますと、産業合計で6月まではマイナス3.0、5月はマイナス0.0でございましたけれども、7月はプラス4.6になって、16カ月ぶりにプラスになったと、こういう報告がございました。
 それから、厚生労働大臣から、スウェーデンとイタリアへの出張報告がございました。
 内閣官房長官から、皇后陛下のスイス国のご旅行についての報告がありました。
 尾身国務大臣から、中国への出張報告がございました。
 それから、総務大臣から、認可法人に関する行政評価、監視、これを行う旨のその概要の説明がございました。
 人事案件として、既にこれは報道で発表されておりますけれども、来年4月1日に発足をする日本郵政公社の総裁に商船三井の生田会長を本日付で発令すると。
 それから、農林水産大臣より、農業生物資源研究所理事長を岩渕雅樹氏にかえると、こういう報告がございました。
 総理大臣から、川口大臣の臨時代理が官房長官、尾身大臣の出張の臨時代理が中谷大臣、それから総理大臣の出張は規程により官房長官、これに代理を任命すると、こういうことでございました。

 閣僚懇談会に入りまして、私から、昨日発表いたしました原子力発電所における事業者の自主点検作業記録に関する不正等について、後で申し上げますけれども、報告をさせていただいたわけでございます。
 それから、竹中経済財政担当大臣から、QEが今朝の8時50分に発表になったということで、GDP4〜6月が0.5%、その内訳は内需が0.2、外需が0.3,少し高めに出てきた。それから、QEの発表を早めにするようにした。従前は2カ月半ぐらいかかっていたものを、今回は2カ月ちょっとで発表できた。さらに次回は1.5カ月ぐらいで発表する体制をとりたいと、こういう報告でした。
 そして、今回はいろいろ生産の部分等が従来データ的に少ないということがあって、そういったことも加味して、幅広いデータに基づいて出すようにしたということで、これは大体予測していた線であって、特段のこの数字の中で政策の変更をする必要はないと、こういう経済財政担当大臣の言葉がございました。

 それでは、まず私から、大変国民の皆さんに心配をおかけしました東京電力の不正データの件について、申し上げさせていただきます
 東京電力の三つの原子力発電所におきまして、80年代の後半から90年代に行われた自主点検等の結果に関する不正な記載の疑いについて、経済産業省において約2年間にわたり入念な調査を積み重ねてきた結果、昨日本件を明らかにしたところです。既に皆様方ご承知のとおり、今般問題となった29事案は事業者がみずから点検を行うものでありまして、定期検査において国が直接立ち会って確認を行うものではないわけですけれども、その中で現在も残存している可能性がある原子炉内部のひび割れ等の8基11事案でありますけれども、経済産業省といたしまして、外部の専門家の意見を求めつつ、解析を行った結果、安全上の影響はないということを検証したところでございます。
 しかしながら、東京電力においてこのような問題が生じたということは、同社の安全に対する姿勢を大いに疑わさせるものでして、エネルギー供給の基幹をなす原子力そのものに対する国民の皆様方の信頼を大きく損なったわけでございまして、全く言語道断だと、このように思っております。私といたしましては、東京電力がみずから自浄作用を発揮することを強く求めていくとともに、当然のことですけれども、今後経済産業省といたしましては、徹底的かつ厳正に調査を行って、全容の解明をしてまいりたいと、このように思います。そのために、今後当省においては、法律に基づく立ち入り調査や報告徴取により、事実関係の把握に努めまして、9月中を目途に中間報告書を作成してこれを公表してまいりたい。また、当省の実施する調査について、これも当然でありますが、外部の専門家からの評価を受けるため、評価委員会を設ける方針です。さらに、今回調査を行っている事業以外に同様の事案が発生していないかどうかを確認するため、東京電力以外の電力会社等に関しても総点検をしろと、こういう指示をしたところでございます。
 大変国民の皆様方に不安とご不信をお与えしたと、このことは本当に申しわけないことだと担当大臣として思っております。原子力行政というのは、私が繰り返し安全性を第一に担保するということを申し上げておりました。こういう事態が起こったことを大変残念に思っていますけれども、この安全性第一ということを今回のこのケースを重く受けとめて、さらに努力していきたいと、このように考えております。
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【東京電力自主点検データ不正記載問題】
Q:
 今回の不正記載の件については、東電が昨日予定されていたプルサーマルの事業を見送らざるを得ないということを表明しました。地元の反発も大変大きいわけでして、当然という気はいたしますけれども、エネルギー政策を預かる担当大臣として、核燃料サイクル事業、プルサーマルに対する影響、これはどういうふうにお考えか、続行は可能なのか、そのあたりについて第一にお尋ねしたいと思います。

A:
 今回の東京電力の不正な記載というのは、我が国最大の電気事業者の立場である同社が引き起こした問題でありまして、先ほど申し上げたように、言語道断なことだと思っております。このような一企業の問題と国のエネルギー政策上の重要な課題でありますプルサーマル計画の推進とは別次元の問題だと思っておりますけれども、最大の電気事業者がみずから原子力に対する国民の信頼を裏切ることがエネルギー政策そのものへの不信を招く結果になりかねないと。ですから、そういうことがないように、まず今般の東京電力の不正記載問題の解明を私どもは徹底的に図らなければならないと思っておりますし、本当に厳しい状況だと思いますけれども、必要な対策を力一杯講ずることによりまして、国民の皆様方の信頼の回復に全力を尽くさなければならないと、こう思っております。

Q:
 東京電力の経営責任について、これは昨日の会見では明言を避けたようですが、現在の社長である南社長、それから問題が起きた当時の過去の経営陣も含めて、大変大きな過失責任があるのではないかと思われますけれども、大臣はこの点についてはどうお考えですか。

A:
 今、一生懸命調査をして、我々も9月中を目途にやっているのですけれども、これが完全な事実とすれば、これは到底国民の皆様の納得を得られる問題ではないと思っています。いずれにしましても、東電としては原子力への国民の皆様方の信頼を裏切ったことについては重く受けとめるべきだと、こう私は思っております。

Q:
 一定の経営責任を明らかにすべしと、そういうお考えですか。

A:
 そうですね。今、調査を徹底をしてこれから行うわけでございますので、その調査結果を踏まえて、そういったことが事実ということになれば、当然だと私は思います。

Q:
 内部告発から2年ぐらいかかっているのですけれども、これに対しては余りに長過ぎるのではないかという意見もあるのですが、その点はいかがでしょうか。

A:
 これは2年ということが経過しましたけれども、一つは告発者の立場というものを考慮するということもございました。それから、告発に基づいて何もしなかったということではなくて、即刻東京電力、そして関係者に私どもとしては、その告発に基づいて行動を開始をしましたけれども、その過程において「そういう事実というものがない」というようなことがずっと続いていたようです。そういう中で、我々としてはさらに追及をし、そしてGEサイドの話も調査をしてみるというような形で結果が出てきて、そういう中で東電もある意味では認めざるを得ないと、こういうことでございまして、2年というのは確かにご指摘のように、長いというご指摘はある意味で甘んじて受けなければいけませんけれども、国が直接管理している点検の部門ではなくて、あくまでも自主点検の範疇の中であったということ、そういう中で、私どもとしては鋭意やっていたわけで、今申し上げたような形で、結局、昨日の発表になったと、こういうことでございます。

Q:
 この2年間の国の検査は甘かったということを考えていらっしゃるのですか。

A:
 国が独自に行う検査に対しては徹底してやっておりましたが、自主的検査という形で、あくまでも事業者の自主的な検査に任せていたわけでございます。しかし、今になってみれば、そういうご批判はあることは当然だと思っていまして、今後、私どもとしては対策としては、そういう自主点検のあり方や国が関与する検査体制、こういったことも安全性第一ですから、この際徹底して体制を考えていきたい、こう思っております。

Q:
 自主検査の範囲とか国がかかわる範囲は今後見直していくのですか。

A:
 そうですね。そういうことを今後見直して、私どもとしては新しいそういう検査体制というものを徹底的に検証をし、検討していかなければならないと思います。

Q:
 それは、今まで自主検査、事業者に任せていた部分も国がどんどん関与していくということでしょうか。

A:
 それはいろいろ範囲、範疇があると思いますけれども、私どもとしては、そういう自主的な検査の今までのあり方というものをよく検証して、どういうところに問題があったか、そして問題があったといったらそれを改善するという形で国民の信頼を得られるような体制をつくると、こういうことに尽きると思います。

Q:
 農水省の場合も、検査に入ってから、後から後からまた新しいことが出てくるという例もあるわけで、立入検査の範囲というものを余り限定すると、また向こうに隠されるという繰り返しがあったようなのですが、この辺経営の意思決定の流れとか、広く調べられるというご意志はおありでしょうか。

A:
 そういう中の一つとしては、例えば抜き打ち検査というもの、そういう手法も取り入れることは私は必要ではないかと思います。

Q:
 今回のこの2年間の調査について、国の調査自身に対しても立地県から批判の声が上がっていますけれども、それについては大臣はどう考えているのでしょうか。

A:
 私どもとしては、国のやる検査というのは厳正にできたと、こういうことを自負しておりますけれども、そういったご意見というのは、謙虚に耳を傾けて、私どもはこれからの検討しなければならないと思っております。

Q:
 内部告発から昨日まで2年間かかったということについては、それ自身はどう考えているのですか。

A:
 先ほど詳しくお話ししましたけれども、一つはそういう内部告発があったときに、そういう告発者の立場というものの保護もありますし、申告内容にかかる調査の円滑な実施等の観点及び検証していない不確実な情報を公開することはできないことから、直ちには公表できない場合があると思っています。こういうような扱いについては、米国においても同様だと、このように聞いているところです。ですから、今回本件について公表するということにいたしましたのは、当方が追及をした結果、東京電力が申告内容にかかる疑いについて、その可能性を認め、みずから本格的な調査を行うとともに、当院が実施する調査に対して全面的に協力することを表明したこと、このような状況のもとで、当院としての調査の円滑な実施の上で支障がないと判断するに至ったためです。私どもとしては2年間決して無為に過ごしていたわけではなくて、そういう範囲の中で全力でやってきたと、こういうことでございます。

Q:
 東電の経営者の方々から、大臣のところへ謝罪にお見えになるというご予定は聞いていらっしゃいますか。

A:
 当然、そういうことになると思いますけれども、昨日の夜から今朝ですから、今は具体的にはまだ私のところには来ていません。

Q:
 この問題は第一義的にはもちろん東電の問題というか、ミスというか隠蔽だと思うのですけれども、経済産業省としての責任というか問題はなかったのですか。

A:
 これは、そういう人たちの検査体制の中で、東電の事業者の自主的検査という範疇の中でのことでありまして、私どもとしてはその手続きに従ってしっかりとやってきたことは事実でありますが、しかしこういったデータの改ざん等の問題が現実のものとなってきたと、こういうことを考えますと、先ほども触れましたけれども、今後の体制としてこれを反省材料として、しっかりとした安全性を担保し、国民の皆さんに安心をしていただく、そういう体制をつくることが一番の急務だと、こういうふうに思っております。

Q:
 体制をよく考えますというお話ですが、むしろこれからは自主点検というものを強めていこうと、各電力が自主点検を重点に彼らの努力に期待するような改革、見直しをしようとしていた矢先だと思うのですが、そういう意味では自主的にやるべきものの前提が崩れたという意味では、大臣のおっしゃられる今後の検査体制のあり方を考えるというのはどういう方向に行くのか、よくわからないのですけれども。

A:
 自主的にやっているということが大きな時代の要請の流れにあると思いまして、そういう形でそれを進めてきたところですけれども、今回の事案は明らかにそれを損なうものであります。したがって、電力会社は徹底的な反省の上に立って、事態の改善をしていただかなければならないと思いますし、私どもとしても、そういう大きな自主的な方向というのは捨て去るという意味ではなくて、それはそれで尊重しながら、どういったところをしっかりすればいいかと、こういうことを今後この問題が起こったことによりまして、そういう観点を含めて安全対策、検査対策というものを徹底していかなければならない。したがって、それを全く逆行させるという形ではなくて、どのようにお互いに信頼関係に立って、そして安全性を担保できるかと、こういう基本姿勢が私は必要だと、こう思っています。

Q:
 各電力ないしはそういうメーカーあたりも含めて総点検されようとされていると思うのですが、東京電力だけでなくて、日本の電力、原子力産業全体に対する不信だと思うのですが、その点はどのように今後対応されようとしていますか。

A:
 原子力というものは、21世紀全般を踏まえても、この国のエネルギー政策にとってはどうしても必要不可欠なものだと思っております。それから、安全性というものを担保できれば、CO2の発電量が発電時ゼロでございますから、そういう意味では地球にやさしいエネルギーだと、こういうことでございまして、国がエネルギーの基本政策の中で原子力というのは重要な位置づけがございます。しかし、何と言っても安全というものが大切でして、安全ということを本当に確保できないと国民の皆様方の信頼を得られない、こういうことで、電力会社に関しては今申し上げたように、東京電力だけではなくて、調査をさせていただいて、またその関連に関しても私どもはそういう国の非常に必要なエネルギー、それを担っていただく使命感を持っていただくように、管轄する役所として私どもは責任を持って皆様方とさらなる信頼関係を構築しながら、原子力行政の安全性、これをしっかりと確保していきたいと思っています。



 (以 上)

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