きょうのコラム「時鐘」 2009年6月1日

 JR高岡駅で特急が停止位置を間違えた、という記事が先ごろ、載った。すぐに気付いてドアを閉め、事なきを得た。列車の遅れは約2分

こんなミスがニュースだろうかと、ふと思った。ラッシュ時、バスが遅れるのは珍しくない。やっと来たバスがすし詰め状態で、バス停を素通りされることもある。利用客のいら立ちは、特急の停止ミスの比ではない。が、いちいちニュースにはならない

特急の停車ミスなど、めったにない。まれなことが起きれば、やはりニュースである。それほど、わが国の鉄道は正確で安全な運行を誇ってきた。その安全神話が崩れたのが、4年前のJR宝塚線での脱線事故である

107人が犠牲になった事故の刑事責任を問う捜査で、異例の家宅捜索があった。最高検の求めによる補充捜査だという。厳正な捜査が、悲劇を繰り返さぬブレーキになってほしいと願う

関西からの帰り、特急が遅れたことがあった。強風のために湖西線がストップし、米原経由となった。正直、いらついた。が、事故の犠牲者が命じる安全運行の励行である。そう思うと、いら立ちが薄れた。