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高齢ドライバーに優しい車を 知事連合、開発へ腕まくり

2009年6月1日7時27分

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 お年寄りが運転しやすい車づくりを――。全国知事会長の麻生渡・福岡県知事ら各地の知事たちがそんな音頭をとり始めた。高齢者の事故の急増に対し、警察庁も6月から新たな対策に乗り出すが、高齢者向け自動車の開発は、公共交通機関が少なく、車を手放せない過疎地を抱える自治体にとっても大きな課題だ。一方で、自治体側には、自動車産業を後押しし、地域経済を元気にしたいとの思惑もある。

 「車からお年寄りを遠ざけるのではなく、お年寄りも使える車をつくる必要がある」

 東京の都道府県会館で先月18日、「高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合」の初会合が開かれ、会長に就いた麻生氏が狙いを説いた。愛知や埼玉など7人の知事を含む35県の担当者が集まった。

 警察庁によると、高齢者の運転する車による事故は10年で倍増。08年は10万2千件になった。若者が減っているのとは対照的だ。

 重大事故も相次いでいる。福岡県では2月、スーパーの駐車場でバックした76歳の男性の軽乗用車が後方の車と接触。動転してアクセルを踏み込み、4人を死傷させた。

 警察庁は6月から、75歳以上の運転免許証の更新時に「認知機能検査」を義務づける。免許証の自主返納も促すが、進まない。05年の警察白書によると、高齢者ドライバーの85%が「返納を考えたことはない」とアンケートに回答。理由として半数近くが「代わりの交通機関がなく不便」(複数回答)を挙げた。

 2月の1世帯の自動車保有台数は東京都の0.74台に対し、佐賀県は2.17台。高齢化する過疎地ほど車が欠かせない。知事連合は「こんな車なら、ほしくなる」というコンセプトカーを2年後をめどに提案する方針だ。

■地域経済、浮揚も

 自治体が高齢者向け自動車の開発を進めるのは、自動車産業の盛衰は、地域経済の浮沈にかかわるからだ。

 近年、業界は若者の車離れに悩んできた。運転免許の保有者に占める24歳以下の割合は、97年の13.7%から07年は8.9%に。昨冬からの世界同時不況で北米市場が冷え込み、大打撃を受けた。

 業界の視線はハイブリッド車、電気自動車など「環境」に注がれているが、トヨタ自動車九州の須藤誠一社長は「車の安全機能向上の開発は地道に続けている。それを生かす形で高齢者需要は掘り起こせる」と期待する。

白線を越えそうになったら警告音を発する▽目の動きから居眠り運転を防止する――など安全運転のための機能はすでに実用化されている。コストを考慮しながら、これらをどう集積するかが高齢者向け自動車開発の軸になる。(今村建二)

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