2009年6月1日10時26分
ダイヤの無料配布の行列は、銀座4丁目交差点付近からJR新橋駅周辺まで連なった=1日朝、東京都中央区、福留庸友撮影
ダイヤの無料配布の行列は、銀座4丁目交差点付近から、JR新橋駅周辺まで連なった=1日朝、東京都中央区、福留庸友撮影
無料配布されたダイヤモンド
東京・銀座に1日午前、長蛇の列が出現した。お目当ては、東京都中央区銀座5丁目に店舗を構えるフランスの老舗(しにせ)ジュエリーブランド「モーブッサン」がこの日から先着5千人限定で無料配布を始めた0.1カラットのダイヤモンドだ。不況のあおりで低迷が続くジュエリー業界。大胆な企画に銀座の同業者からは驚きや歓迎の声が出た。
午前9時の無料配布開始直前には、老若男女約1500人が並び、人の列は中央通りに沿って約600メートルまで伸びた。
最前列にいた大田区の会社員下田のりひこさん(39)は、前日の午後7時から並んだ。手に入れたダイヤの裸石は恋人へのプレゼントに指輪に加工する予定という。始発電車でかけつけた埼玉県深谷市の大学4年生山田実香さん(22)は「人生初のダイヤ。お母さんにプレゼントしようかな」とうれしそうだった。
同店は今年2月、旗艦店として銀座にオープンした。配布したダイヤは1個5千円相当といい、総額2500万円分。モーブッサンジャパンのヤニック・デリアン社長は「ダイヤで店の知名度をあげ、暗い話の多いジュエリーの世界を明るくしたい」と話す。
今年創業130年になる宝飾店「天賞堂」(銀座4丁目)の担当者は、モーブッサンの企画に「ダイヤの無料配布は初めて聞く。大胆ですね」と驚く。不況の影響で、ジュエリー部門の売り上げの落ち込みは大きく、最近では指輪やネックレスなどを店に持ち込み、買い取りを求める客も増加傾向という。
銀座4丁目に本店を置く「ミキモト」の広報担当者は「銀座の街の活性化につながる」と歓迎する。「外資ブランドのジュエリーショップが増えてきているが、それも銀座に魅力があるからこそ。店同士で競い合って銀座を盛り上げていきたい」としている。(宮嶋加菜子)