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密約かたくなに否定 変わらぬ政府の姿勢 '09/5/31

 日本政府は、米軍艦船などの核兵器持ち込みを黙認する密約をかたくなに否定してきた。日米安全保障条約改定時の岸信介政権をはじめとする歴代保守政権に加え、かつて政府を追及した旧社会党も1994年の連立政権樹立に伴い立場を一転させた。政府の姿勢は変わらないままだ。

 60年2月の衆院予算委。岸首相は「核兵器を持ち込んでいないことは米当局もたびたび声明しているので、核兵器を装備した艦隊が日本に入っていることはないと信ずる」と答弁した。

 池田勇人首相は63年3月、米軍の原子力潜水艦の寄港を断るのは「核兵器を装備しているから」と答弁。ケネディ政権は密約がほごにされたのではないかと動揺し、ライシャワー駐日大使を通じて密約を日本側に再確認した。81年になると、そのライシャワー氏が密約のからくりを暴露、園田直外相は「個人的発言で、そうした事実はない」と釈明した。

 この間、佐藤栄作首相は67年に「平和憲法と核に対する(非核)三原則を考慮しつつ安保問題に取り組みたい」と発言。核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」と宣言した非核三原則を理由に74年にノーベル平和賞も受賞している。

 核持ち込みを疑い、政府の追及を続けた旧社会党だが、約半世紀ぶりに同党から首班に就いた村山富市首相は「日米には信頼関係が確立されており(核持ち込みの)疑念と心配はない」(95年5月の衆院予算委)と姿勢を転換させた。

 密約を外務省から聞かされていた小渕恵三首相は「密約が存在しないことは歴代の首相、外相が繰り返し明確に述べており、私も確信を持って密約がないと申し上げたい」(2000年3月の党首討論)と断言している。(共同=土屋豪志)




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