同じコンセプトの商品でバッティングしてしまう……
不思議な技術ですね。
小幡 グレイスマニュファクチュアリング社は、業務用のチーズおろし器で知られる刃物メーカーです。「マイクロプレイン」というブランド名でチーズおろし器を作っています。またそれを応用した「マイクロプレイン・パーソナル」というブランド名で、ワイドスクラッチの原型になった商品を出していました。私たちはそれを、当社の「スクラッチ」(2940円)のライバル商品として、世界から集めていた足裏角質削りグッズの中の1つとして入手したんです。
使ってみると、便利でいい。ぜひ商品化したいと思いました。
2006年10月発売の「スクラッチ」は足裏の角質を確実にこそぎ落とすという機能性が受けて大ヒットした商品でした。ワイドスクラッチと、使用目的はバッティングするわけですね。
小幡 そうです。そこがワイドスクラッチを手がける上で一番、懸念した点でした。
ワイドスクラッチは、かかとの広い範囲を、ごしごしと削り落とせます。一方のスクラッチは、特殊加工された小さな筒の先で削ります。だから、どうしてもかかと全体を削るには時間がかかります。また削った跡が棒状に残ってしまい、ボコボコするという問題もありました。
スクラッチはこれまで100万本以上を売りました。足裏の角質落としの商品といえば、数百円の軽石くらいしかなかったマーケットです。2940円もの値段をつけて投入したのに、「確実にこすり落とせるから」とお客様に価値を認めていただき、新たな市場を作ることができた。
そこへ、「こっちの方がいいですよ」と同じコンセプトの商品を出していいのか。お客様への裏切りとも取られかねません。それに店頭では、せっかくスクラッチの棚を大きく取っていただいているのに、バッティングする商品を出せば単純にスクラッチがワイドスクラッチに差し替えられるという結果になってしまう。
迷いました。でも、スクラッチを出してから、角質の悩みを抱える方々から、当社にさらなる要望が寄せられていたのも事実でした。
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