初代スクラッチで作り上げたブランド力の大きさを実感

どんな要望ですか。

小幡 「もっと太くして、一度に多くの角質を削れるスクラッチがほしい」

 「スクラッチの削り跡を整えるものがほしい」―といったものです。

 実は足の角質には2種類があるんです。

 1つは、かかとのように踏みしめて厚く固まった角質。水分が少なく、鏡餅のひび割れのようにガサガサになります。加齢による肌の乾燥とも関係しています。

 もう1つは、親指の横などに多くできる、強い力が1カ所にかかったことによって肥大するタコのような角質です。こちらは年齢を問わず、高いヒールの靴を履く人などによく見られます。

 前者は広く薄く削れるワイドスクラッチが削りやすいし、タコのような後者は特定の範囲をしっかり削れるスクラッチの方が適しています。

 そこで、「2つは異なる用途の商品である」と提案することにしました。

 ワイドスクラッチは米国版をほぼそのまま輸入することにしました。パッケージや商品のラベルなどを変えて、個人向けにわかりやすく説明しました。

 「かかとおろし」という表現と、「あの大ヒット商品、スクラッチのシリーズだ」というスクラッチへの高い評価があったおかげで、スクラッチも展示したままワイドスクラッチの大きなコーナーを設けていただいています。

 テレビ通販では、スクラッチの持ち手にゴムをつけた「ラバーグリップスクラッチ」(3360円)と「ワイドスクラッチ」(3360円)を2つセットで6000円前後の値段で売っていただいています。売れ行きは上々です。初代スクラッチで作り上げたブランド力の大きさを、改めて感じています。

(敬称略)

(次週に続く)

長田美穂
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。全国紙記者を経て99年2月よりフリーに。
著書に、時代を代表する商品を素材に消費社会論を展開した「ヒット力」(日経BP社)とその新装改訂文庫版「売れる理由」(小学館文庫)、現代の少女の心の病をテーマにした「問題少女」(PHP研究所)、昭和のアイドル史を写真と共に綴った「アグネス・ラムのいた時代」(共著、中央公論新社)がある。月刊誌、週刊誌に寄稿多数。
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