東京都と川崎市はそれぞれ、昨日、19日にニューヨークから帰国した女子高生の新型インフルエンザへの感染が確認されたと発表しました。
感染を確認された2名は、神奈川県川崎市の洗足学園高校の生徒で、今月11日から18日にかけて同校の教員1名、生徒5名と模擬国連に参加するためにニューヨークに滞在し、19日コンチネンタル航空09便で成田空港に帰宅したとのことです。

これを受けて、市川市においてもこの模擬国連に参加した生徒や、機内で近隣座席だった濃厚接触者がいないかと、朝から市役所はもちろん、保険所、県、関係省庁始め、様々なところのヒアリングを行うなど、表からも裏からも情報確認作業を行いました。

結果から言うと、機内での濃厚接触者17名の中に市川保健所管内の方はいませんでした。

また、模擬国連に参加した学校を調査すると参加した学校は6校あり、その内1校が千葉市の私立高校でしたが、この学校から参加した生徒2名、教員1名は、25日までの間は自宅待機することになっているとのことで、市川市民でないことも確認できました。
模擬国連に参加した学校名についても確認できましたが、ここでは伏せておきます。

今回の一連の出来事でいくつかのことを考えさせられます。

◇水際対策の効果
一つは、「水際対策とは何だったのか」ということです。
今回の場合、機内で39度の発熱でありながら、機内検疫ではインフルエンザA型、B型ともに陰性だったため、水際対策をすり抜けてしまいました。
新型インフルエンザの感染者の状況を見ていると必ずしも高熱になるということでもないと言われており、発熱までしている方が、水際対策をすり抜けるとなると、この水際対策に効果があったのかと疑わざるを得ません。
逆に言えば、すでに、多くの感染者が国内に入りながら、新型インフルエンザではなく、季節性インフルエンザや風邪と診断されていたり、または、軽度であったため、自宅で療養してすんでしまっている事例があり、すでに感染が広がっている可能性があります。

◇学校による海外派遣
2つ目は、学校による海外派遣についてです。
今回、高校生たちが参加した模擬議会は、このブログでも書いている政治教育のプログラムとしても個人的には興味があり、世界中から優秀な学生たちが集まり、プログラムを体験するということも含めて、高校生たちが得る経験は大きなものであり、非常に重要な経験になると思います。
しかし、時期が時期です。
はじめに、感染が確認された大阪府の高校生たちの海外研修の際でさえ、こうした世界規模での非常事態において、なぜ緊急帰国などが考えられなかったのかと指摘しました。
今回のこの模擬国会などへの参加は、今月11日から18日という時期であり、ここ最近の対応を見れば、大阪や兵庫での感染を受けて、京都や奈良への修学旅行さえ取り止める学校が続出しているというような状況です。
こうした状況の中で、果たしてニューヨークに行く必要があったのでしょうか。
結果的に感染という最悪の事態となる中で、学校の責任は、大きいのではないかと感じます。

◇情報調査の遅さ
今日は、朝からこうした情報の調査をしてきましたが、朝9時の時点で市川市には何の情報もない。
市川保健所も濃厚接触者がいないことは把握していたものの模擬国連参加校については、県内校も把握していない。
千葉県も模擬国連参加校についてはまったく把握していませんでした。
それから、様々な調査を行い、10時には県内私立学校の対象者が市川市民でないことを確認、11時には、模擬国連に参加した全学校名を特定したため、こうした情報を逆に市や保健所に提供しました。
今日は別の仕事をやりながらの調査でしたが、それでも数時間で、ほぼすべてのことを把握できました。
今回の場合、市川市ではまだ新型インフルエンザの感染が確認されていないため、水際対策が必要だと考えています。
濃厚接触者や同じように模擬議会へ参加していた方を把握することで、仮にこの方々が発症しても、ここから感染が広がらないように対応していくことが重要でした。
そのためには、できるだけ早く情報を把握することが大事でした。
市川市の職員たちは、県や保健所がなかなか情報をくれないと言いますが、議員とはいえ個人でもこれだけ情報が集められるということを知って頂ければと思います。
自治体職員であれば、個人情報などについてもさらに踏み込んで情報を確認することだってできるはずです。
こうした緊急事態においては、情報収集スピードが市民の命や安全を左右することさえあります。
どうすれば情報が早く確認できるかという考えを持ちながら、情報収集を図ってもらいたいものです。

◇縦割り行政の課題
今回の対応においても、模擬議会に参加した全学校を特定した段階で、市に情報を提供し、これらの学校に市川市在住の対象者がいるかを確認するように要請しましたが、こうした対応は、県や保健所の管轄で、市では対応しにくいとの答えをもらいました。
また、県内私立学校の対象男子生徒の電話番号の頭が市川市と同じだったため、住所を確認して市川市民でないことを確認した経緯があったため、市川保健所にこの男子生徒が浦安か松戸の市民であることから市川保健所の管轄であるかもしれないので、対象学校名まで伝えて、事実確認を行った方がいいのではないかと伝えました。
しかし、こうした確認は、県で行って降りてくるので、確認するのは難しいとのことでした。
情報を収集して、その情報を提供しても、結局こうした縦割りの中で対応しきれない組織構造に、大きな問題を感じました。
今回の件で言えば、現段階では大きな問題にはなっていませんが、こうした一つ一つの対応が一歩遅れるだけで、大きな問題になることもあります。
こうした緊急事態には、こうした縦割りや上下の関係に縛られるのではなく、プラスアルファーで現場が判断し動いて行くことが重要になることもあります。
現場現場で、日々いっぱいいっぱいの中で仕事をされているとは思いますが、市民の命や安全がみなさんにかかっていることを認識して、組織より市民を優先すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。