「韓国経済の歴史はすべてここに」
韓末時代から1960年代まで
経済・経営書3000冊を集めた出版社代表
大韓帝国時代に出版された『経済原論』(1907年)、『経済通論』(1908年)、日本の植民地時代に出版された『法律経済熟語辞典』(1917年)、植民地からの解放(1945年)直後に出版された『資本論』(1947年)…。
ザナン出版(ソウル市麻浦区西橋洞)シン・ギョンリョル代表(46)の事務室は、韓末時代から1950-60年代までに韓国で出版された経済・経営学関連の古書であふれている。全部で3000冊余りにもおよび、古書ならではの独特の香りが鼻を刺激する。
「経済・経営関連の古書は、大学の図書館にもあまりありません。経済・経営書を専門に扱っている出版社として意義深いことだと思い、収集を始めました」
光武11年(1908年)に出版された『経済原論』は、生産と交換の概念や貨幣・貿易など西洋経済学の基礎理論を紹介している。「財の交換とは、人の有無相通(一方にあり他方にないものを融通し合うこと)から生じるものだ。物件とは元来、我(自分)の無用なるものが人(他人)に有用になり、人の無用なるものが我に有用になるため…」。1908年に出版された『経済通論』では、「経済学とは経済現象を講究する学問」と定義し、価格および需要と供給の法則を説明している。西洋の最先端の学問を学ぼうとした当時の人々の知的好奇心や熱意が感じられる。
シン代表の「コレクション」は本だけにとどまらない。日本による植民地支配時代の商品広告チラシ、太平洋戦争の真っただ中だった1943年に日本勧業銀行が発行した「戦時貯蓄債権」、朝鮮総督府逓信局長名義の保険証書など、韓国の近代経済史研究に欠かせない資料約1000点も収集している。また解放後の年度別経済年鑑、主要企業が発行した10年ごとの社史なども網羅されている。
もともと、古本屋・インターネットの競売サイトで買い集めていたが、2年前にある経営学教授のコレクションを一括して引き取り、現在の規模になった。
昔の本や資料がすぐに出版の役に立つことはない。しかし、シン代表は「当社のモットーは“経済・経営1番地”。社員たちは経済・経営古書のコレクションを持つ自分の会社を誇りに思っています」と話す。1990年に資本金300万ウォン(現行レートで約23万円)でスタートしたザナン出版は、現在社員20人、年間売上高50-60億ウォン(約3億8000-4億6000万円)の中堅出版社に成長した。
「わたしが所有しているのは、韓国経済の流れが分かる貴重な資料ばかりです。日本人はわずかな資料でも捨てずに保管しているでしょう。将来は、大勢の人々が足を運び、“韓国の経済はこうした流れをたどって来たんだな”と感じることのできる経済・経営古書博物館を作るのが夢です」
イ・ハンス記者
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