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北朝鮮で「富裕層たたき」が本格化(上)

故・金日成(キム・イルソン)主席の誕生日を祝う花火が平壌の夜空を彩っている。極度の経済難に直面している北朝鮮は、一部の富裕層に対する監視を強め、社会に不満を持つ人々をなだめようとしている。/写真=朝鮮日報DB

 北朝鮮で「富裕層たたき」が本格化している。国防委員会は最近、「社会に根深く浸透した資本主義的な要素を根こそぎ抜き取ろう」という指示を出し、違法な手段で大金を稼いだ富裕層に対する監察を行っている。北朝鮮情勢に詳しい消息筋によると、今回の監察は、朝鮮労働党中央委員会の高級幹部を最高責任者とし、国家安全保衛部や検察などの権力機関が一体となって、全国を巡回して行っているという。

 最近韓国へ入国した脱北者によると、今回の措置は昨年中ごろ、咸鏡北道清津市で初めて行われた「非社会主義検閲」で、人民警備隊傘下のナムガン販売所のホン少将の自宅から200万ドル(現在のレートで1億9000万円)が発見されたことがきっかけとなった。ホン少将はこの莫大(ばくだい)な金を国家に寄付するという条件でいったん釈放されることが決まったものの、保衛部の調査の結果、「敵線」(敵対国の情報機関)から資金が流れていたことが確認され、結局処刑された。この事件をきっかけに、富裕層に対する監察が始まったというわけだ。

 取得した経緯が分からない資産があると、無条件で保衛部へ連行され、「敵線」からの資金かどうかについての取り調べを受ける。その結果、「敵線」からの資金であることが分かれば、地位を問わず処刑される。北朝鮮で億万長者が最も多い平壌を皮切りに、これまでに清津や新義州で監察が行われたが、先月には新義州だけで3人が処刑され、約10人が強制収容所へ送られた。

 監察団は住民からの情報提供を基に監察を行うという手法を取っている。自宅にフィットネス設備やサウナがあったり、愛人がいたり、あるいは水やコメ以外のすべての食糧を外国産のものでまかなっていたりする者が監察の対象になっている。北朝鮮では最近、カラオケルームや大きな水槽、豪華な庭園などを設けた豪邸を建てることが、富裕層の間で流行している。

姜哲煥(カン・チョルファン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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