駅前留学のNOVAが事実上倒産しました。倒産の理由について様々な方が、様々な見方から論じています。
私の見方を簡単に記しておきたいと思います。
倒産の理由は単純です。NOVAのスクールから生み出される仕事の品質が悪かったということです。それだけです。
NOVAはディズニー・テーマパーク同様にサービスを提供する会社です。そのサービスの品質に問題があった、だから受講生は提供されるサービスに満足せず解約したり、良くない情報を流したりしたという悪循環が生まれてしまったということです。
この悪循環の背景にあるのは、経営陣の売上第一思想とマーケティングに頼りすぎた集客の仕方です。
ディズニー・テーマパークとは180度違う経営方針であるということなのです。
ディズニー・テーマパークの集客方法をお教えいたします。
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キャストの仕事はゲストにハピネスを提供することです。遠くから足を運ぶゲストは、高速道路の通行料や乗車賃、特急券などの旅費を払い、あるいは宿泊費を払います。その上でディズニーランドのチケットを購入します。ディズニーランドの製品は「ハピネス」という製品です。
「中村さん、営業は運営部や食堂部の仕事だよ」営業部門の仕事をしてみたいという私の申し出に対し、当時のマネージャーの加藤さんはこう言ってくれました。
ディズニーランドに勤める前、私は旅行会社の社員をしていました。営業や添乗業務を担当していました。東京ディズニーランドにたくさんのツアーバスが到着するのを見るたびに、「全国の人を東京ディズニーランドに招きたい」と思っていたのです。
加藤さんのこの言葉は、東京ディズニーランドの「当たり前」でした。何回も何回もパークに足を運んでほしい。そのためにはどうする。キャストが最高のサービスでおもてなしをするしか方法がない。
ディズニーランドはリピーター獲得業です。そして、そのリピーターを獲得しているのはキャストです。キャストが営業をしているのです。セールストークはただ一言「また来てくださいね」だけですが。
ディズニーランドのキャストは「営業している」とは考えていません。ひたすら、役をこなしています。もちろん一般の会社で使われる、営業マンの成績を表すための棒グラフ―「キャスト別リピーター獲得数」―などあろうはずはありません。一人の力でリピーターを獲得はできません。サポート部門含めキャスト全員のチームワークが必要なのです。
あらゆるショップにとって大切なことは、スタッフを経費側(コストセンター)と考えるのか、それとも利益を生みだす側(プロフィットセンター)と考えるのかです。コンビニエンスストアに行ってもレンタルビデオショップに行っても、「こんな販売員からは買いたくない」と思うことがあります。そう思った顧客は絶対にリピーターにはなりません。
ディズニーランドのキャストは収益を生み出す原動力です。プロフィットセンターとして考えられています。もちろん人件費のムダは少なくする必要はありますが、削減ばかり考えることはマイナスです。教育によりキャストの力を上げていくことを優先させるべきなのです。
『すべてのゲストがVIP』東京ディズニーランドで教えるホスピタリティ より
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NOVAを再建するためにはディズニー・テーマパークのサービス理論、ホスピタリティ理論が必要不可欠です。
その理由です。ディズニーランドもNOVAも同様に「世界中の人の幸せづくり」に寄与している会社であるからです。
☆ 品質こそ、成功の鍵なのだ ウォルト・ディズニー
世界に冠たるディズニーは、高い品質を生み出す独自で卓越したノウハウや仕組みを有しています。
一方、NOVAに限らず多くの企業は正しく動いていません。正しく動いている所から学ぶことができない企業に大いなる未来はない、私はそう確信しています。