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help リーダーに追加 RSS 少しはお母さんらしいこともできないとね。

<<   作成日時 : 2009/05/31 12:04   >>

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 昨日の自閉症のお嬢さんと小旅行に行って感じ、考えたことを書きます。私はそのお嬢さんと今後何回会うことができるか、それはたぶん数えるほどしかないでしょう。その彼女のために何かしてあげられるとすれば、発達障害で44年という人生の大半を苦しんできた私がどのように感じ、彼女がどのように感じているか想像し彼女の気持ちを代弁することではないかと思います。私は彼女ではないので、それはある意見に過ぎませんが。
 彼女は高3で特別支援学校に通い、来年から社会に出るために職業訓練を受けているということです。ご両親と障害のない中学生の妹さんがいます。彼女はかなり障害が重く、ほとんど他の人とコミュニケーションを成立させることができません。てんかんの発作もあるそうです。昨日は最初に電車に乗る時には、目が寄ってしまっている感じで彼女と何度か電車での小旅行に行っているKさんも「今日は状態がかなり悪い」というように言われていました。
 小旅行のあいだ中、彼女はずっと同じような言葉を何度も何度も繰り返して言っていました。「コーラ買う?」「メリーゴーランド乗る?」「服着替える?」「トイレ行く?」というような同じことを何度も聞くし、お水を口にふくんでふざける真似をしたりするので、相手をする方はかなり疲れます。腕をずっと掴まえていないとどこかに行ってしまったり、他の人に迷惑をかけることもあるということでKさんの娘さん(同じ高3)がずっと彼女と手を繋いでくれていました。
 彼女が何度も同じことを言うのは、それしかコミュニケーションの言葉を知らないからであり、もしかしたら彼女の中にはもっとたくさんの言葉や想いが閉じ込められているのかもしれません。他人とコミュニケーションを成立させることができない彼女にとって、たとえ知っている人と一緒でも家族と離れて電車に乗って遊園地に行き4、5時間を過ごすということはとても緊張し愉しいというよりも恐怖に近い体験に違いありません。もし自分だけ置き去りにされたりしたりしたら彼女は一人ではどうすることもできないからです。人に助けを呼ぶことも、電話することも、自分で切符を買って電車に乗ることもできないのです。だから一緒にいる人と必死でコミュニケーションしようとするのではないかと思うのです。彼女は途中から体がかゆいとか頭がかゆいとかずっと言っていたのですが、きっと疲れて不安で面倒を見てもらい安心をしたかったのだと思います。とにかく一緒にいる人が彼女からぴったり離れず彼女と一緒に穏やかな気持ちでいられれば彼女は安心できるのだと思います。彼女と一対一でいるのは同伴者の側もとても緊張を強いられるので少なくとも3名くらいの同伴者が必要だと思います。しかも彼女をそっちのけで会話していてはダメで、彼女をみんなで優しく見守り微笑んでいる状態でいられるのがベストです。
 私が今回心がけたことは、目的地ののんほいパークや二川についてできるだけ事前に調べてどんなところかイメージをふくらませ自分自身が行くことを愉しみにできるようにしたことです。それから私は彼女とは初対面で接し方も全然わからないので、同行のKさん父娘と1対1でできるだけ話をしてお互い安心していられるようにしました。同行者が不安な気持ちでいては彼女も不安にさせてしまうからです。Kさんは自閉症の支援の関係で何回もお会いしたことがあり、講演もお聞きしたこともあり共通の知りあいも多くどんな方かある程度わかっているので、一緒にいてもほとんど不安はありませんでした。娘さんの方はボランティアの時にお母さんと二人で来ていたのを覚えていましたが、全然話したこともなく全然知識もありませんでした。事情で待ち合わせが1時間くらい遅れマクドナルドで時間を潰したので、その時にKさんがタバコを吸いに席をはずした時に、進路のことや通っている高校のことなどについて話しました。彼女は先端アートをやってゆきたいということで写真や立体造形、人形などに関心があるということだったので話も弾みました。
 私はこのところずっと体調が悪く、病み上がりの上、初めて行くところで、Kさん以外の二人のお娘さんは初対面だったので、小旅行の間中は3人の後を5メートルくらい離れてついて行くのがやっとで、時には苦行のような気がすることもありましたが、帰りの電車に乗る前に、彼女が肌着を着換えたいというので、障害者トイレに3人で入り、彼女の重いリュックから下着の入った袋から肌着を取り出して脱いだ肌着をたたんであげた時に、「ああ私にはこの子と同じ年頃の娘がいてもおかしくないんだなあ」とふと思い、普通の女性のように子どもに服を着せてあげることも脱がしてお風呂に入れてあげることもなかったんだなあと一抹の淋しさを感じたのでした。私はまだ自分の子どもを持つことを諦めたわけではないけれど、もしそれがかなわなかったら、私は生まれてこれなかった子どものために償いの気持ちを持って障害のある子供達にこうやって少しはお母さんらしいこともしてあげなくてはならない、障害のある子ども達の代弁者であるだけでなく、少しはお母さんらしいこともできなくてはいけないなと思ったのでした。

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>彼女が何度も同じことを言うのは、それしかコミュニケーションの言葉を知らないからであり、もしかしたら彼女の中にはもっとたくさんの言葉や想いが閉じ込められているのかもしれません。他人とコミュニケーションを成立させることができない彼女にとって、たとえ知っている人と一緒でも家族と離れて電車に乗って遊園地に行き4、5時間を過ごすということはとても緊張し愉しいというよりも恐怖に近い体験に違いありません

誤解があると思います。
恐怖に近い思いをする旅行なら絶対行かないし、家族も参加させません。
同じ言葉を繰り返すのも、いつもと違った状況だけど安定させようという場合に出ることが多いです。
自閉症と引きこもりは違います。
自分が自閉症です
2009/05/31 23:28

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