大相撲の横綱朝青龍(28)=高砂=が30日、右脇腹から腰にかけての治療のために故郷のモンゴルへ出発した。夏場所14日目の日馬富士戦で、外掛けで土俵に倒された際に強打した個所で、玉春日引退楯山襲名引退相撲での取組を「右前胸部打撲により3週間の加療を要する」との診断書を提出して回避。来日は、名古屋場所(7月12日初日、愛知県体育館)の番付が発表される6月29日の予定で、けいこ期間が短く、出場が危ぶまれる事態となった。
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審判部に診断書を提出するのと同時に、朝青龍の関係者が、力士が日本国外に出る際に必要な海外渡航届も出した。目的欄には「治療のための帰国」と記され、期間は5月30日から6月29日までの1カ月という異例の長さ。来日予定日から名古屋場所初日までは2週間しかなく、休場する可能性も出てきた。
楯山親方の引退相撲では、急きょ取組が差し替えられ、白鵬-朝青龍、琴欧洲-日馬富士、千代大海-把瑠都が、それぞれ白鵬-日馬富士、琴欧洲-千代大海、高見盛-把瑠都となった。土俵入りを終えると、朝青龍は「名古屋は(出場)しないと。去年、(途中)休場したから」と出場をアピールしたが、調整不足に陥るのは明らかだ。
患部を「右胸部」としたことについて、報道陣の一人の胸部の骨と腰骨を指さし、「ここから、この辺りが痛い。面で打ったから。動きに対して痛みが走る。神経まで痛い」と説明した。投薬と湿布で痛みを和らげ、夏場所後は都内の病院の高圧酸素室で治療を続けてきた。
この日は、総合格闘家・秋山成勲の都内での道場披露会に顔を出すつもりだったが、姿を見せずじまい。横綱審議委員会の石橋義夫委員は「治療するのが大前提。(名古屋で)横綱の務めを果たしてほしい」と、厳しい言葉を送った。笑顔を振りまいて車に乗り込んだ朝青龍だが、真しに治療に取り組まなければ、批判が噴出するのは確実だ。