私は、メールのボタンに指を置いたまま、なかなか押せないでいたが、やっとの思いで開いた。
ひろみへ
ひさしぶり。元気? 仕事がんばってるみたいだね。突然ごめんね。変な別れ方したから、ちゃんと言っておきたくて。電話で話すのがいいんだろうけど、声聞くとあきらめきれないと思ってメールにしました。俺、ひろみを好きになってよかった。いろんなこと言ったけど、仕事がんばってね(^^)。ひろみのことだから、きっと、いっぱい悩んでこの仕事決めたんだろうと思います。やるんだったら後悔しないように、とことんやってね。そうじゃないと、別れたこと、俺、すっげー後悔するから。
俺は、ひろみのファンクラブの会員、第一号だからね。じゃあ、本当にさようなら。
読み終わった瞬間に、大量の涙がこぼれ落ち、文字がにじんで見えなくなった。
(なんなの、もう。えいちゃん、なんで今になってこんなメール送ってくるの。ずるいよ。こんなの読んだら、やめられなくなっちゃうじゃん……)
私は画面を指でぬぐい、何度も繰り返し読んだ。
(だめ、私はやめるの!)
私の指が、消去にむかって動いた。
『メールを削除しますか?』
私はそっと『はい』を選択した。
そんな私を榎本は黙って見守っていた。その目の色は沈み、悲しげな表情だ。
「ひろみちゃん、なんとか時間つくるから、さやかちゃんに会ってきてくれないかな。そこでちゃんと話してこない? 今の気持ち、話せば伝わるんじゃないかな」
「榎本さん、私、すでに入ってる仕事はします。プロだから。でも、これからはもう入れないでください……」
ななみ :
2009年5月28日 at 9:47 PM
あつい!!
アイス :
2009年5月30日 at 12:11 PM
榎本さんのすごい優しさに、泣きそうになったよ。
みひろちゃんと一緒に、榎本さんも走り続けてきたんだね。
えいちゃんも、すごい男らしい。
2人ともすごく心のやさしい人。
本当にそう思ったよ。