福岡市が決めた市立こども病院・感染症センターの人工島移転をめぐり、市民団体「市立こども病院の人工島移転撤回を求める市民会議」が30日、同市中央区の市民会館でシンポジウム「こども病院の人工島移転決定のナゾに迫る」を開いた。約200人が参加し、「市の決定の真相解明を求める」などとする決議文を採択。閉会後、参加者は約1時間かけて市役所までデモ行進した。
パネルディスカッションでは、病院の現地建て替え費試算が当初の約1.5倍になるという根拠になったメモを市職員が破棄した問題に絡み、野林信行弁護士が「政策決定の過程が不合理で不透明。強い憤りを感じる」と主張。市男女共同参画推進センター・アミカス元館長の梁井廸子さんは「コンテナターミナルや青果市場が整備される人工島は交通量が増え、病院の建設地にふさわしくない」と語った。
小児科医の高木誠一郎さんは「医師は市中心部から遠い人工島に患者を搬送するのをためらうだろう」と述べ、同病院の患者家族団体代表の佐野寿子さんも「緊急時に1分でも早く到着できる病院じゃないと安心できない」と訴えた。
=2009/05/31付 西日本新聞朝刊=