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あすから東京国際アニメフェア ビジネスにも広がり
2008/3/26
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「東京国際アニメフェア」には、コスプレのコンパニオンもせいぞろいし、ファンの目を楽しませてくれる=昨年の「天元突破グレンラガン」コーナー |
アニメーション大国・日本のパワーを世界に見せる「東京国際アニメフェア2008」が27日から、東京都江東区の「東京ビッグサイト」で開幕する。新作アニメや個人クリエーターの作品などが披露され、アニメが映像文化としても、ビジネスとしても、一段の広がりを見せている現状を目の当たりにすることができる。(谷口隆一)
「東京国際アニメフェア」は02年、日本のアニメを国内外に紹介するイベントとして、石原慎太郎都知事の提案でスタートした。07年は4日間で10万7713人の来場者を集め、初の10万人超えを達成。海外からも1000人近くが訪れた。
内外からの来場者に、いち早く新作アニメを見てもらい、前人気を盛り上げるのが「アニメフェア」の役割だ。テレビ局や映像ソフト会社、アニメ制作会社が、ブースやステージイベントを通じて自慢の作品をPRする。
フジテレビジョンは深夜にもかかわらず、5%の視聴率を得ているアニメ放送枠「ノイタミナ」で4月10日から放送する「図書館戦争」を展開。キャラクターのポストカードを配ったり、インターネット向け放送の出演者を発表して作品を印象付ける。
テレビアニメ「ヤッターマン」が好調な竜の子プロダクション(東京都国分寺市)は、親会社のタカラトミーが手がける玩具ともども作品をアピール。日活(同文京区)が製作する実写版「ヤッターマン」の発表も行い“復活”を盛り上げる。
海外からの関心を集めそうなのがスタジオジブリ(同東小金井市)だ。宮崎駿監督にとって、04年の「ハウルの動く城」以来となる「崖の上のポニョ」の公開を前に、どんな作品になっているかを確かめようと、大勢の関係者やファンが訪れそう。同様に「攻殻機動隊」で世界に知られる押井守監督の劇場作品「スカイ・クロラ」の情報を目当てに、プロダクション・アイジー(同国分寺市)のブースもにぎわいそうだ。
「アニメフェア」は新人が実力を見せてステップアップを狙う場としても機能している。個人クリエーターが「不思議の国のアリス」を題材にしたアニメを作るために立ち上げたプロジェクト「ニブンノイチケイカク」では、1時間の3次元CG(コンピューターグラフィックス)アニメを初披露し今後のDVD販売に結びつける。個人クリエーターが集う「クリエーターズワールド」のコーナーも設けられ、“未来のミヤザキ”を夢見る人たちが作品を披露する。
◇
≪開催日時≫
27日〜30日(27、28日はビジネスデー、一般公開は29、30日)午前10〜午後6時(最終日は午後5時半まで)
≪一般入場料≫
大人1000円(前売800円)、中高生500円(前売400円)で小学生以下、65歳以上は無料。(主催・東京国際アニメフェア実行委員会)
◇
■「DVD販売」曲がり角 迫られる環境改善 “時給500円”の制作現場
日本が世界に誇るコンテンツともてはやされるアニメだが、置かれている環境は良好とはいえない。
1995年にテレビ東京系で放送された「新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒットを契機にソフト会社がDVDソフト販売を見込んで制作し深夜にテレビ放送するマニア向け作品が増えた。最近のアニメブームを支えるのもこうした作品群だが、年間100本超の作品が登場しファンですら追いきれなくなっている。
さらに、高画質録画機が普及したことで、よほど話題にならない限りDVDソフトが売れない。制作費をDVDで回収するビジネスモデルは壁に当たっている。
作り手の確保も悩みのひとつ。アニメ作りを最前線で担うアニメーターは枚数単位の契約制で、収入を時給にならすと、「平均500円程度」と言われている。夢を抱いて業界に入っても、生活に困って離れていく若者も多い。
こうした状況を改善しようと、昨年10月にベテランアニメーターの芦田豊雄さんが「日本アニメーター・演出協会(JAniCA)」を立ち上げた。アニメーターの収入が上がり、優れた人材が集まることで、アニメの質も向上させようと、出資者などに働きかける活動を展開している。
従来のビジネスモデルで成功している例もある。「ガンダム」のサンライズが制作した「コードギアス 反逆のルルーシュ」(毎日放送、TBSなど)は、高いストーリー性を打ち出し、深夜に放送したものの、9巻計70万本を販売するヒットとなった。放送終了から1年を経て、4月からは日曜午後5時台に格上げされて、続編の放送が始まる。
同じ深夜アニメの「らき☆すた」(千葉テレビなど)も人気となり、作品に登場する神社への初詣で客を倍増させる効果を生んだ。
増加する本数に人材の不足という状況が、作品の粗製乱造につながりファンを遠のかせる。この悪循環を絶ち、アニメを名実ともに日本を代表するコンテンツへと押し上げるには、DVDをパッケージでほしくなるようなクオリティーの高さと、作品を支える人材を底上げするための環境改善などが必要だ。
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