みんなのミッキー 独り占め
「家族に東京ディズニーシー貸し切り…開園25周年記念」
皆さんはこのニュースを聞いてどのように感じたでしょうか。
私は正直「ディズニーはすごい、進化している」と思いました。今日はその理由について簡単に書いてみたいと思います。
「すごい」理由とは、「なぜ、こんなことができるのか」という問いに答えることです。反対に言えば「こんなことをして批判されないのか」という問いに答えるということです。
「売名パフォーマンス」「一家族の独り占めはディズニーランドのポリシーと矛盾する」と批判するマスコミが必ず現れることをディズニーランドは知っていますが、それでも実行に移したのは、ディズニーにはある確信があるからに他なりません。
その確信とは「ディズニーランドでは、ゲストにはいつでもディズニーを独り占めしていただいている」という確信です。
確かに今回の東京ディズニーシー貸し切りは、全面的な貸し切りでした。このように全面的貸し切りを行なったのは前例がありません。(マイケル・ジャクソンの来園時のことはこちらの過去ログをご覧ください)
しかしながら、全面ではなく場面、場面においては、すべてのゲストは常にディズニーと名のついた「何か」を貸し切っているのです。それはレストランのテーブルかもしれません。アトラクションの座席かもしれません。
おもてなしを提供するキャストやミッキー達キャラクターがゲストと接する場面では、常に一家族や個人の貸し切り状態なのです。
つまりこういうことです。キャストもキャラクターも「大勢」を相手にした接客をしているのではないのです。一人ひとりのゲストに対し、貸し切り型の個別接客をしているということなのです。
今回の全面的貸し切りは、日々ディズニーランド内で行なわれている場面的貸し切りの延長線上にあるものに過ぎないということを、ディズニーやディズニーランドを運営する(株)オリエンタルランドの社員は理解しているからこそ、批判など恐れずに実行に移すことができるのです。
スペース・マウンテンやホーンテッド・マンションなどの待ち時間が長いアトラクションでも、決して他人との合い席はお願いしません。効率的運営より、ゲスト個人の幸福感を優先させるからです。
このような、小さな、小さな「個人へのおもてなし」を積み上げてきたからこそ、ゲストの顧客満足度も高まり、今日のディズニー・テーマパークの繁栄がもたらされたのです。
「同じ料金をもらっているのだから、同じサービスが当たり前」の時代は終わりました。これからは、一人ひとりのお客様へ質の高いおもてなしを提供できない企業が生き残っていくことは、難しい時代になって行くに違いありません。
そう確信したディズニー・テーマパーク貸し切りのニュースでした。